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野郎兎、冒険の始まり序

始まるよ!


編集、言語理解の追加


空気を圧縮し打ち出す音、擬音にするなら「パン!」と言う甲高い様な発砲音の様な物が魔物の住処と言う表現法が生ぬるいと言われる『魔境:魔物の坩堝』別名魔の森から響く。其処に住んでいるのは魔力を大量に吸収した生き物、所謂『魔物』と呼ばれている生き物しか居らず、野生の動物や植物は魔力に汚染され全て魔物となるとまで言われている、魔物しかいないが故にその環境は過酷かつ混沌としており食物連鎖が成り立っているのかどうかすら怪しいこの場所だが、この空気を破裂させる様な異音を発しているのは魔物ではなく、ましてや人でもなく、1匹の少しだけ変わった『ウサギ』だった。


パン!パン!パン!パン!


一定のリズムで鳴るその音は武術家の様な構えを取る真っ黒なウサギによって放たれているものだった。音の発生方法は至極単純である、前脚を前に突き出す。ただそれだけの動作で周囲の草木が揺れ空気を破裂させるのである。


パァン!


一際大きな音が響きそれを放った兎は構えを解いて次は身体の三倍ほどの鉄製の棒を一瞬で精製し振り始めた。基本的な動きは剣道の様な行儀のいい構えだが一度振り始めるとお世辞にも行儀がいいとは言えない『生き残るための剣舞』が繰り出される。よくよく彼の周囲を見ると様々な魔物の血や破片が巻き散っている、彼を取り巻く森を構成する木も幹が円形に吹き飛んでいたり、何か大きな生き物が叩きつけられ半ば折れている様なものもある。


次々と武器を変え振って行く、次第に水や炎、氷、可視化出来るほどに圧縮された空気の球体、金属的な光沢を放つ球体、暗黒の球体や光り輝く球体が兎の周りを回転して行き、時たま全てがピタリと静止する。そんな景色が数百回繰り返されようやく兎は動きを止めた。






(今日で異世界転生34日目か・・・旅に出る前にやれるだけ修行すると決めたはいいけど結局戦闘スタイルは決まらないな・・・まあいいか、なんか知らないうちに5回くらい進化したし、そろそろ森は卒業かな〜)


相変わらず中身はシリアスのカケラもない、30日前がピークだったのだろうか?しかし、その時点と比べると体は一回りほど大きくなり、どことなく某狩ゲーのオトモをウサギにした様な見た目になっている。少なくとも身体的な成長は見える。


(にしてもな〜、やっぱ此処魔境だったか〜。いや、薄々気付いてはいたけどさ?初日に倒したKUMAが霞む様な化けもんばっかで死ぬかと思ったわ。)


水汲みと水浴びを同時にしながら更に魔法で今日の献立のKUMAシチューの材料、モヒカン人参、マンドラ芋、カタリ玉ねぎ、KUMA肉を加工して行く。この時耳を塞いでいないとマンドラ芋が斬られた時にうるさいので塞げないときは耳を伏せる。


「グエアーヒトデナシー!!」


(ふー、さっぱり、てかやっぱ進化しすぎだよ、昨日久々に『超跳躍』しようとしたらなんか別のスキルが発動したのかお空の星になりかけたし・・・やっぱステータス見た方がいいのかねえ?)


材料を中に浮かせたまま家に入りフライパンで各材料を大雑把に炒め、鍋には血濡れトマトを突っ込んで煮る、水分はトマトから出るのを使用するので後は少しずつ調味し具を入れて最終調整をする。


(にしてもアレだな、ちょっと拠点を改造しすぎたな。・・・魔法様様だぜ!)


鍋は暫く見なくていいので少し休憩、周りを見れば石と土製だった拠点は木と毛皮、それと精製した上等な石で構成された『家』になっていた。家具も木で作ってありまるで木を切らずにそのまま整形した様な繋ぎ目のなさである。


(まあ、でももうそろそろ此処ともお別れか。)


鍋を火から下ろし、時空間魔法を発動して一日時間を吹き飛ばす。それを更に火にかけているうちに皿を用意する、勿論スプーンも、そして完成品を皿によそう。


(いただきます!うまい!)


手を合わせて食べるまでの動作がほとんど見えなかったがそれを除いても兎が手を合わせてスプーンを使い物を食べる様子は何処と無く某シルバニアを彷彿とせる。そして鍋一杯のシチューを食べ終え洗い物をし終わり何と無しに作った兎用服を洗濯していると兎の眼に何かが写った。


(?)


眼を凝らすと空に黒い点の様なものがある。


(鳥か?)


そう思っていれたのも今だけであった。


(飛行機か?いや・・・・人だよ!?アレ!)


そう、人である、しかも女の子である。某天空なサムシングを思い出し放った言葉は勿論


(親方!空から女の子が!)


巫山戯つつも全力で魔法を展開して行く、まず風魔法で展開し落下速度を殺して行き、水魔法でトランポリンを生成する。


(超跳躍では上空100mが限界だったが・・・この前跳んだときは軽く500・・・かそこら飛んだはず。)


そして、トランポリンに乗って超跳躍を発動。一気にかっ跳び女の子をキャッチ、160cm位だろうか、少なくとも兎よりでかい。


(グッ!風魔法だけじゃ落下死不可避だなこりゃ、ええい、ままよ!)


普段はローリングで落下分のエネルギーを殺しているので両手がふさがり人を抱えている今の状態では勢いを殺しきれないのである。そこで宇佐月がとった行動は・・・


(エクスプロージョン!!)


爆発による落下の相殺だった。





(よく考えたら魔力ゴリ押しの物理障壁で良かったかもしれんな。てか短距離転移しとけば良かった。)


自身の作ったクレーターの真ん中で少女の応急手当てをしながらそう思った兎であった。


作ったものは直す、それが地形へのダメージならなおさらである。一先ず少女を拠点に運び込み拡張したベッドに寝かせてから凄まじく破壊された地面を土魔法で修復して行く。


(やっぱ、空から女の子が降ってきたらビビるわ、パズ○スゲェ。)


修復が終わりアイテムボックスから薬草を取り出してから拠点に入り少女への処置を開始する。


(にしてもすごいな、これで生きてるのが不思議だぜ。)


全身に軽い打撲、四肢の骨折、裂傷複数とそれが原因の出血多量、そして最も危険なのが腹部から背中に貫通しているでかい穴。


(応急手当てをした時に瓦礫とかよくわかんないカケラとかを摘出して回復系光魔法を掛けたが効きが悪かった、呪いか回復系魔法の使用しすぎか・・・多分回復系魔法の使いすぎだな、余剰分の生命力がスッカラカンだ。)


現状は時間の局地的操作で腹部へのこれ以上の損傷を抑えているが、言い方が悪いが中身が大分足りない。暫く再生魔法と再生系の薬品溶液ずけか、どちらにしても時間がかかる。


(まあ、それで済めばいいんだが此奴・・・精神が摩耗しすぎてんな、なんでこんなことに?)


30日間の修行は戦闘だけでなく自分や魔物、植物を実験体にした薬品生成や回復魔法などの情報収集、鑑定スキルの強化の修行もきちんとしている。現在なら『圧倒的の実』の見え方もより詳細な使い道や、効能、位階や持っているスキルの構成まで見える。因みにアレは唯の果物らしい。


再生樹の実:rankS

魔力が水と土に偏りより生命力が高くなった属性木、その生命力がぎゅっと詰まった木の実。

効能

欠損部位、体力の急速回復。

使用法

芽がでるくらいの魔力を注いだ後バケツ一杯程度の水に浮かべ、水が緑色になったら『再生水』の完成。


動く植物溶液:rankA

魔力を過剰に取り込み生命力が溢れまくっている草を生きたまますり潰し水出しした液体。

効能

生命力補完、疾病回復。

使用法

飲むか幹部にかける。


アイテムボックスから出した二つの素材を適切な加工後に混ぜる。


復活薬:rankS

ほぼ死亡状態からでも復活出来ると言われている秘薬、少なくとも現在の錬金術、薬品生成技術では精製出来ない幻の秘薬。

詳細

材料の入手難度が高すぎるのと、現在の錬金術が金属加工に特化したために失われた『魔導調薬』によって出来る薬品、製作難度は必要スキルと新鮮な素材があれば誰でも出来るレベル。

効能

部位欠損、疾病、瀕死状態の回復。精神構造体(アストラル体)の修復、再生。

使用法

飲む。


出来た薬品を少女の口に近づけようとするが・・・違和感に気づく。何がしかの魔法の効果が術者の魔力の減退でとけかかっているのだ。


(ぬ?偽装魔法・・・じゃ無いな変身魔法か、解除しねえと飲ませられないな・・・っと、解除完・・・るお!?)


変身されていると体力を消耗し更に体格の偽装をされていた場合口や頭の位置が変わる事があるので何かを飲ませる時などは非常に難しい、また今回の薬品は魔法薬なので魔法によって変質してしまう恐れがあった。因みに外傷の治療については特に問題無い、変身魔法は体の変形をするだけで損傷した部位は変わらないからである。


さて、変身魔法を解除すると160cmほどだった体が縮み最終的に140cm程の、最早幼女が出て来た。少々宇佐月も動揺を隠せなかったがやることは変わらないのでささっと口に瓶詰めした薬品を押し当て飲み込ませる。すると薬品は効果を発揮しみるみるうちに外傷の治療は完了した。まだ眼を覚まさないのはおそらく精神構造体の損傷を修復するのに手間取っているのだろう。


宇佐月は木製の椅子に腰をかけ腕を組む。


(はあ〜、にしてもよっぽどな魔法を行使したり魂にテコ入れしたりしねえと傷つかない精神構造体が崩れそうってどんな事してたんだ?・・・いや、わかってる。というか今現実から眼を背けたいだけだわ。)


そう、彼はこの少女の身元を確認してそこにこっそり送り届ける、というやんわりとした旅の始まりを期待していたのである。決して、今鑑定した時この少女の職業欄を見てしまったのは故意ではない。


(勇者ねえ・・・)


どう考えても波乱しか感じないそのふた文字に頭を抱える兎であった。










ステータス表示!


名前 宇佐月 圭樹

種族 精霊兎

身長 90㎝

体重 6㎏

職業 兎lvMAX/魔法戦士lv30/精霊lv10

位階 Lv50

称号 大物殺し 神への挑戦者 転生者 世界渡り 精霊になった兎 魔の森東の主人 求道者

年齢 1

性別 男

保有スキル

言語理解new

高等算術

並列処理new

吸収学習new

話術

柔術

日本式拳術

兎流武技術new

隠遁

解析眼new

ステータス操作

アイテムボックス

七色魔法new

時空間魔法new

魔法合成

魔力操作

魔導調薬new

錬成術new

瞑想

疾走new

超跳躍・改new

調理new

雑食

変革new


基礎能力


筋力 中

魔力 大

信仰力 小

精神力 大

敏捷 極大

耐久力 中

魔法素養

各属性 大


職業特性

兎:魅力、毛並み、脚力及び聴覚の(極大)強化。

魔法戦士:魔力、筋力補正(大)、技量向上、各属性各状態異常耐性向上(中)

精霊:精神構造体の強化、魔力、信仰補正(極大)、心眼。

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