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クエスト:?????3

「ケイ……? ケイ……!?」


 顔を覗かせた羊娘は涙声で叫んでる。

 やっべぇ。これじゃあ俺が悪者みたいじゃないか。

 どうする? どうする?


「姫様、落ち着いてください。ケイは寝ているだけです」


「ねてる……?」


 甲冑男が言うと、そっと羊娘が近づいてきた。

 やっとこれで話し合いができるのかな?

 いや、でも話し合いができる気しないぞ。

 近づいてきた羊娘をよく見ると金色の目をしてる。

 これで怖がりや人見知りじゃなかったら友達できたんじゃないかなぁ。

 とりあえず、観察した俺の結論からすると普通に友達つくるのは難しいんだろうなぁってこと。

 相手の方が羊娘に強い興味を持って、近づいて行かないことには。

 うーん……。


「あ、あの……」


 ん?

 気がつくと羊娘が俺を見ていた。

 甲冑男の後ろに半分隠れてたけど。


「どうして、ケイを殺さなかったの?」


 おっと、いきなりハードな事聞かれた。

 殺すとか殺さないとか物騒な話を可愛い女の子から言われると返答に困るな。

 でも普通に考えたら、きっとこの仮面男が無言のまま遺跡とかで襲いかかってきたら、問答無用で殺してた、ような気がする。

 言葉が通じる相手をどうこうする気は、俺にはないから。

 まあ、前に遺跡で会った盗賊団にしたのと同じようなものかな。


「頭に血が上ってるだけだろうし、落ち着けば話もできるだろうと思ってさ。俺がやりたいのは行方不明事件の調査だったんだし」


 羊娘にはそんな話をした。

 驚いてる羊娘の様子からすると、今までここに来た奴らはそういう感じじゃなかったのかな?

 仮面男が俺に攻撃しかけたってことはきっとそうなんだろうなぁ。

 何とも悲しい話だ。


「……」


 もしかして、いや、もしかしなくても人間は怖い存在だと思ってた?

 甲冑男とは身構えずに話してるような気がする。

 でもどうしよう。

 羊娘黙っちゃったし、俺から何を話していいものか。


「姫様。ケイがやったことだとは思いますが、この中に閉じ込められた人間たちには帰るところがあります。帰してやってください」


 俺が言うべきことを、甲冑男に言われてしまった。

 まあ、俺が言っても羊娘を泣かせることになるからいいや。


「でも……そしたら、寂しい」


 仮面男や甲冑男がいても寂しいのか……ってそりゃそうだ。

 近い年だったり、同じ女の子ならともかく年の離れた男(推定)じゃなぁ。

 ここは俺が発言するチャンス。


「じゃあ、さ。俺のパーティメンバー紹介しよっか?」


 人間は俺含めて三人だけっていうパーティだけどな。

 わりと獣人はパーティにいることが珍しいみたいで、よくジロジロと見られたもんだ。

 エルフに至っては、見たことある人自体が珍しいからな。


「え……あの……」


 いい考えだと思うんだけどな。

 俺たちは事件を解決できるし、羊娘は友達が出来て。

 どっちも幸せになるいいことじゃん。


「なんで……そうなるの……?」


 不思議そうに羊娘が言う。

 だってしょうがないじゃん。

 行方不明の人たちが戻るなら、戦う理由なんてないよ。


「おかしいかな?」


 俺が聞く。

 羊娘は少し考えて頷いた。


「あなた、変……だよ」


 羊娘は言ってしまってから慌てて口を押えた。

 失言だと思ってるのかな?

 でも、まあ、その辺は俺が異世界の人間だってことで。


「そうかもね。でも、少しは考えてくれるかな? この人間たちを帰したら寂しいんだろ。俺のパーティは賑やかだから、寂しくないと思うんだけど」


 音源は主にミケ猫とロレッタ姉さんだが。

 ロレッタ姉さんは世話好きそうだし、ミケ猫は文句言いつつ世話焼いてくれそうな。

 ミケ猫には文句を言わないようにだけ言っとけばいいかな?


「……いじめない?」


「俺みたいな奴とパーティ組んでるメンバーがいじめみたいなことやらないって」


 俺が力説すると羊娘は黙り込む。

 考えてくれるかな?

 考えてくれるといいな。

 じゃないと俺が元の世界に帰れない。

 いや、でも帰っても問題か。

 俺と結婚するつもりのロレッタ姉さんたちをどうなだめるかだけが問題だ。


「あなたのパーティの人たちに……会ってみたい……」


 小さな震える声が答えを出す。


「おお……姫様……」


 甲冑男が何か感動しちゃってるぞ。

 どうしたんだ、おい。


「じゃあ、元の所に戻りたいんだけどさ」


 ロレッタ姉さんたちは洋館の門をくぐった途端消えた俺を心配してないといいなぁ。

 心配しすぎて暴れでもしたら目も当てられない。


「うん……ちょっと待ってね……」


 羊娘が目を閉じて何やら唱えると、俺はまた眩暈を感じる。

 自分の立ち位置がわからないほどぐるぐる世界が回り、気がつくと元の洋館の前に戻ってきた。


「あー、帰って来た!」


 返ってきた途端にミケ猫の声だ。


「ひっ……」


 羊娘が肩をビクッてさせて怯えてる。


「あー、気にすんな。ミケの声に他意はないんだから」


 俺はそう告げてパーティメンバーに向き直る。

 さて、『悪魔』だのは伝承でしか知らないわけだけど、どうやってこの子の事を説明したもんかな。


「ミケ、この子が怯えるから大声は止めろって」


「ほーら、子猫ちゃん。言われちゃったねぇ」


 ロレッタ姉さんが低く囁く声も丸聞こえで、これ以上ミケ猫が大声を出さないようにと祈りながら俺は紡ぐ言葉を探した。

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