表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/48

クエスト:?????2

 足を一歩、塀の内に踏み出した。

 その瞬間に俺の世界が反転する。

 庭に足を入れたはずなのに、今俺たちがいるのは何っていうか宇宙空間みたいなところだ。

 上も下も右も左も前も後ろも闇の中に星屑が散らばっている。


「あれ?」


「――緊張しすぎてまた姫様が自分の世界に籠っておられます」


「はい?」


 甲冑男は一緒にいる。

 ってことは俺だけが攻撃受けたってわけでもないのか。

 てっきりだまし討ちみたいに襲われたのかと思ったぞ。


「また、ってことはよくあるのか?」


「ありません。姫様の身体にもこういう術は負担が掛かるはずなのですが」


 それはさっさと術とやらを解いてもらった方がよさそうだな。

 この宇宙空間のどこかにいるのか?

 これだけ視界が広けりゃすぐに見つかると思うんだけど、違うものなのか。


「で、姫様本人は?」


「おそらくあちらでしょう。ついてきてください」


 やっぱり部下にはどこにいるのかわかるのか。

 じゃあ俺はついて行くだけだな。

 ただ、一つだけ確認しとくことがある。

 ここで頼みのスマホが使えるか、ということ。

 アンテナ立ってりゃ何とかなるだろ。

 スマホを取り出して確認すると、アンテナが一本。

 一本かぁ。まあ、なんとかなるんじゃないの?


「それが貴方の祝福された武器、ですか。今までのリュウジンの中で、一番光る板に近いですね」


 そういや、俺の前にも何人かリュウジンがこの世界に来てたんだよな。

 全部俺のいた世界からだったらどうしよう。


「お前、俺以外のリュウジン……にも会ったことあるんだよな? 武器って何だった?」


「形状は板というより小さな杖と言った感じだったですね。光る部分も上の半分、とかでしたし。折りたたんだりするものもありました」


 んん?

 それってもしかして俺たちの言うところのガラケーじゃないの?

 ってことはこっちの時間と俺たちの世界の時間の流れって違うのか!

 もうちょっと寄り道しても夏休み、だったらいいなぁ。

 良くないか。うん、良くない。


「それで、貴方はその武器を姫様に向けるのですか?」


「いや、俺はあんな可愛い子に武器向けたりはしないよ。これは護身用。敵地に一人いるようなもんなんだから、これぐらい大目に見てくれよ」


「それなら、仕方ありませんね。先に進みましょうか」


 俺の言い分に納得したのか、甲冑男は引き下がる。

 おいおい、それで納得できちゃうのか。

 まあ、いいや。この甲冑男について行ったら羊娘に会えるんだろうから。

 そして、こいつについて歩いてから気付いたんだけど、この宇宙空間ってどこまでも続く空間じゃなかったみたい。

 くねくね曲がっていくと、少し広い所に出た。

 多分、少し広いんだろう。

 壁っぽいところまで氷のような結晶の柱がたくさん立っていたんだから。

 しかも、その中に人影が入ってると来れば、行方不明事件の消えた人だってことは俺にもわかった。


「姫様、これはどういう事ですか!」


 その結晶の乱立する空間の真ん中に立つのが羊娘。

 ふわふわとした銀髪が揺れるのが見えた。

 甲冑男が声を掛けると、ビクッと肩を震わせて結晶の影に隠れる。


「だって、ケイが……おともだち……」


 声が震えて涙声になる。

 これじゃあ俺たちが弱い者いじめしてるみたいじゃないか。

 俺がいじめてるわけじゃないんだけど。


「ケイ、いるのでしょう。これはどういう事です?」


 甲冑男が声を上げると、羊娘の後ろに仮面をつけ、ひねくれた角を持つ男が現れる。

 今までどこにいたんだ、こいつ。


「何って、見ての通りっす。ルシール様のお友達になってもらおうとおもいましてね」


「元の場所に帰す話だったはずです」


「だって、こうでもしないとルシール様の傍に人間や獣人なんて寄ってこないですよ」


 こいつら何の話をしてるんだ?

 言っちゃ悪いが、種族が違う上に住む世界が違う俺には全然理解できないんだけど。


「どうせ、このリュウジンもルシール様をバケモノだって言って傷つけるんだ。なら、その前に俺が排除してやりますよ」


 仮面男が俺に迫る。

 って俺が何かする前にやってくんなよ!

 俺にはさっぱり事情が呑み込めないぞ。


「ぅわっ!」


 俺が反射的に避けようとする、その前に。


「いい加減になさい、ケイ」


 甲冑男が仮面男の腕を握り、抑え込んでいた。

 あっぶねぇ。

 スマホの準備をしておくべきだったな。

 いや、ほんと。

 今のは危なかった。


「彼は話をしに来ただけです」


「信用できねぇって言ってるんですよ! ルシール様はどうか下がっててください。この人間をつまみ出します」


「待ちなさい! ケイ!」


 甲冑男の制止も聞かずに、仮面男は自由な方の腕を振り上げる。

 何だかわからんけど、俺が今ピンチってことは良くわかった。

 俺の手持ちで対処できるのはあったかなぁ。

 できれば、穏便に済ませたいところではある。

 とりあえず、俺が選んだのは戦わない方向。

 だって、攻撃したらそれだけで非難されそうじゃん。

 向こうからかかってきたにしてもさ。

 でも、この魔法ってゲームだとボスキャラには効かないんだよな。


【スリープ!】


 俺から向かう光。


「なにっ……!?」


 攻撃魔法が来ると思ってたのか、身構えていた仮面男がガクッと倒れた。

 甲冑男の方は、いきなり倒れた仲間を見て俺の方を振り返る。


「何をしたんです?」


「眠りの魔法。一時的にでも大人しくさせないとダメだと思ってさ」


「はあ……」


 甲冑男が首を捻る姿がおかしくてこっそり笑っていると、羊娘が結晶の向こう側から顔を覗かせた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ