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クエスト:?????1

 黒い甲冑男に先導されて俺たちは歩く。

 だんだん森の中が暗くなっていくのが不気味すぎる。

 まだ朝だぞ。


「この先に誰がいるって言うんだい?」


 機嫌悪そうなロレッタ姉さんが言う。

 やっぱり敵かもって思ってるかな。

 俺も正直警戒はしてるんだけどさ。


「姫様がいらっしゃいます」


「アンタたちの姫様ってことでいいのかい?」


「はい。そうなりますね」


 何か相手が丁寧だと俺たちもやりにくいな。

 姫様ってあの羊娘かな?


「だいたい、アンタさぁ。アタシらの遺跡探索にあんなモンスターけしかけといて、その態度はないんじゃないの?」


 ロレッタ姉さん。それ、相手がキレたら俺たち死んじゃうから。

 煽るのだけは止めてくれ。

 本当に切実に。


「けしかけただなんて。ちょっと姫様のペットが逃げ出したから捕獲しに行って、貴方たちと会ったんですよ」


 ペット?

 うーん……確かに昨日見たケルベロスは羊娘の飼い犬にも見えた、ような。

 本当にそうなのかは知らないけどね。


「姫様ってどういう人? あんたたちの姫様なんだろ?」


 とりあえず相手が怒ってないから俺も聞いてやれ。

 気になってることだしな。


「姫様は可愛らしい方ですよ。寂しがりで泣き虫でこの世界の種族が大好きです。ただ、人見知りが激しいので部下たちが勝手に『お友達』をあてがおうとするんですよね」


「まさか、行方不明事件ってそれが真相なのか?」


 ははは……そんな間抜けなオチがあるはずないだろ。


「行方不明事件と言うのがよくわかりませんが、たいてい姫様に怯えるので丁寧にお返ししているはずですが」


 やっぱり帰してるんだ。

 記憶とかも魔法で弄ってたりするんだろうなぁ。


「でもねぇ、実際モンスターに攫われて帰ってこない事件とか起こってるわけなんだよねぇ」


「昔の文献にも載ってます」


 ロレッタ姉さんとオレリアさんの言葉に甲冑男が考え込む。


「姫様が気に入った人間を連れ込んでいるとしたら大変な事ですね。――人見知り激しいより怪しいのはお付のケイの方ですが」


 その辺俺はさっぱりわからん。

 説明してもらおうって気もないから、早くその姫様のところまで案内してほしいんだけどね。


「まあ、会えば姫様の人見知りぶりはわかると思いますが」


 そうして進んだ先にはいかにも怪しげな洋館があった。

 レンガ造りの塀が合って、鉄の門が合って、その奥に多分でかいのだろう屋敷がある。

 いくらなんでもこれはどうなんだ。

 怪しいってもんじゃないぞ。

 薄暗い森の奥の洋館って。

 しかも、俺がジジイに見せられた洋館じゃねぇか。


「あー……あそこに姫様とやらがいるの?」


「はい、何かおかしなところでも?」


 おかしなとこだらけだよ!

 って突っ込んでも仕方がない。


「この中にいるわけ?」


「ちょっと待ってくださいね。姫様。姫様? どちらにいらっしゃいますか?」


 甲冑男が声を張り上げて呼ぶと、しばらくして門柱から銀の頭がそっと出てきた。


「何……?」


 そして、一緒にいる俺たちを見ると小さく悲鳴を上げて顔を引っ込めてしまった。


「……姫様は見ての通りです」


 何か俺も前に変なところで会った時に、そんな反応されたなぁ。


「アレは違うね」


「連れ去るような性格に見えないよ」


 ロレッタ姉さんとミケ猫の感想はごもっとも。

 俺もそう思うもん。


「ちょっと待っててくださいね。姫様と話をしてきます」


 なんて甲冑男は言って門の向こうに行ってしまう。

 俺たち敵地ど真ん中に置き去りである。

 緊張するからこういうシチュエーションやめてくれよ。


「さっきの子が犯人だと思う? ロレッタ姉さん」


「うーん。あれはない。多分だけどねぇ」


 ロレッタ姉さんに聞いてみると、ロレッタ姉さんは首を振る。

 うん、俺も同じ気持ちだ。

 むしろどんな奇跡が起きたらあの子がラスボス的な物になれるんだ。

 ……まあ、闇堕ちとかすれば別だろうけど。


「早く話し合いが終わるといいですよね」


 早く帰りたいオーラを出しつつ、オレリアさんがそんなことを言う。

 俺だって早く帰りたいよ。元の世界にさ。

 それにしても甲冑の人遅いな。


「さっきの子に逃げられたのかな?」


「姫様って言うくらいには強いんだろうから、きっとそうさ」


 あの様子だと戦ったりはしないタイプだろうけどな。

 しばらく待っていると甲冑男が戻って来る。

 あれ? やっぱり一人だ。

 あの子はどうしたんだろう。


「すみません。どなたか一人だけとならお話されるそうです」


「誰が?」


「姫様が」


 俺も変な事を聞いたな。

 一人、となると俺か?

 でもそうしたら俺以外はここに残るのか。

 敵地(仮)で一人ってのは心細いな。

 どうしたもんかな。


「一人なら会うと言ったのだろう。ならばリュウが行くべきだろう」


 ニーナさんは堂々と俺を推してくるなぁ。

 やっぱり神託が効いてるのか?


「他の奴は? 自分が行きたいって思ったりしない?」


 とりあえず他のメンバーにも聞いてみる。

 じゃないと後で文句言われそうだ。


「リュウが行けば? 私、引っ叩きそうだもん」


「アタシも子猫ちゃんに同じく~。早く帰せって揺さぶっちゃいそう」


 後はオレリアさんは色々質問攻めにして泣かせそうだ。

 やっぱり俺が行くしかないのか。


「はい、じゃあ俺が行く。ってことで案内してくれ」


 また甲冑が門の向こうへと足を踏み出す。

 前と違うのは、俺が一緒にいること。

 行方不明事件に、羊娘は関係あるのかないのか。

 どうにかして聞き出さないといけない。

 俺は甲冑男に続いて門柱の境界を越えた。

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