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クエスト:消えた仲間を探せ1

 まず、宿に戻った俺にオレリアさんが真っ青な顔でロレッタ姉さんたちがいなくなったと告げてきた。

 日もまだ落ちていないのに、騒ぎ立てるなんて変だな。


「クエスト中だろ? 案外あっちこっち店を覗いてるんじゃないか?」


 それかはぐれて迷子になってるかだよな。


「それが、私たちの前であの子たちが消えたんです」


「はい?」


 目の前ってどういうことだよ。


「リュウさんがニーナさんと神殿に行ってる間、私たちは冒険者ギルドにクエストの受領に行ってました」


 うん、そういう段取りだったよね。

 それは間違いない。


「帰りにロレッタたちを見かけて声を掛けたんです」


 オレリアさんが何故か喉を鳴らす。

 何だか聞いてる俺も緊張してくるな。


「そしたら、二人から反応が全くなかったんです」


 ん?

 どういうことだ?

 ロレッタ姉さんとミケ猫がわざとオレリアさんを無視するなんて考えられないし。


「それで、近づいて肩を叩いてみようとしました」


 肩叩いても反応なかったのか?

 でも二人行方不明って事なんだよね。

 まさか……。


「近づいて肩を叩く前にある路地に入っていったので追いかけて、角を曲がってみたら……そこは行き止まりで二人の姿はなかったんです」


 ほとんど目の前で消えてるじゃないか!

 しかも、これが俺の知ってる相手じゃなかったら怪談として終わっちゃうような話のパターンだろ!

 どこ行ったんだろ……ってほぼ確実に羊娘たちの種族のせいか。

 いかん。俺も混乱してる。


「行方不明事件を追いかけていた二人が行方不明に……ねぇ……」


 ミイラ取りがミイラになるってこういう状況だっけ?

 俺はどうしたらいい?

 どうやって探しに行けばいい?


「うーん……」


 俺に思いつけるのは、二人の足取りを追うぐらいだけど。

 ニーナさんの方を見ると、これまた難しい顔で考え込んでる。

 困ったな。俺にもクエストがあるんだが、そっちをニーナさんが延期とかしてくれるならミケ猫たちを探しに行くんだけどね。


「これは由々しき事態だ」


 ニーナさんは重々しく言った。


「リュウ。私のクエストより彼女たちの捜索を優先してくれ。それがお前の使命だろう?」


 あー……そう来たの?

 じゃあ俺が何とかするしかないじゃない。

 でもどうしろって言うんだよ!

 手がかりゼロじゃん!


「ニーナ様……リュウさんの使命というのは神託が下されたんですか?」


 オレリアさんがニーナさんに聞く。


「ああ。兄上とリュウで神託を受けたそうだ。リュウは相次ぐ行方不明事件を解くことで、リュウジンとなるそうだ。だから私のクエストよりはこちらを優先してくれ」


「優先ったって……手がかりもないのに……」


 出来る事と言えば、オレリアさんたちとミケ猫の辿った道を歩くことぐらいだけど。

 ミケ猫たちがオレリアさんたちの声に気付かなかったなんて、まるでズレた場所にいるみたいだ。

 そう思うと、連想してもう一つあることを思い出した。

 俺が急に誰もいない路地に迷い込んだ、あれも羊娘たちの仕業かな。

 実際、そこであの子に会ったわけなんだけどね。


「とりあえず、私たちがロレッタたちを見失ったあたりを探してみませんか?」


「ああ。でも、バラバラにならない方がいい。また今度は誰がいなくなるかわからないからね」


「ニーナ様はどうされます?」


「同行しよう。リュウの使命を見届けたい」


 うげ。

 何か緊張するなぁ。

 って贅沢言ってる場合じゃない。

 早く探さないと羊娘の所でロレッタ姉さんが暴れてる可能性もあるぞ。


「とりあえず、行ってみるか」


「割とすぐ近くですよ」


 オレリアさんに案内された場所は確かに宿の近くだった。

 冒険者ギルドに向かう道の途中。

 大きい店と店の間の狭い路地。その奥には何やら木箱が積まれていて通れない。


「店が倉庫みたいに使ってるのかな」


「ここをロレッタ達は曲がっていなくなりました」


「うーん……ここは通り抜けできないなぁ……。ニーナさんはどう思う?」


 俺がニーナさんに問いかけると、彼女は首を振った。


「私には見当もつかない。逆側に回ってみるか、積まれた荷物が幻覚かどうか確かめるぐらいだな」


 うーん。幻覚かぁ。

 そういう魔法があるなら、ここ奥に踏み込んで探してみるしかないよね。


「じゃあちょっと奥に入ってみるよ。俺だけ消えたらマズいから、ついてきて」


 ニーナさんも一緒に全員で狭い道に入る。


「裏口として使ってるのか?」


「それにしては、お店の入り口が見当たらないのもおかしな話です」


「どうだ、リュウ。何かわかったか?」


 何かわかったかって言ったって、オレリアさんの感想ぐらいしか思いつかないよ。

 ここに積んでるんだから、これを取りに来たり置きに来たりする裏口があるはずなんだけど。


「中は何が入ってるんだろうな」


 木箱に近づいて、俺が手を伸ばすと触れる事も出来ずにすり抜けた。


「あれ?」


 何? やっぱり幻覚?


「これ偽物かぁ……」


「ってことは奥に進むしかないですね」


「治癒の準備をします」


「奥に進もう」


 オレリアさんたちには離れないように言って、俺たちは木箱の置いてあるところめがけて足を一歩踏み出した。

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