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クエスト:リュウジンの伝説3

「では私は先に神殿に話をつけてくる」


 ニーナさんは今後の段取りを話した後そう言って先に宿を出て行った。

 残った俺たちはクエストの為に二手に分かれることになった。

 人が消えた理由を探す聞き込みをするロレッタ姉さんとミケ猫。

 ニーナさんに同行する俺とオレリアさんとシルヴィアさん。

 ミケ猫たちの方がちょっと心配……。

 元気にミケ猫は出て行ったけど、ロレッタ姉さんと喧嘩してないといいなぁ。

 俺たちを代表してシルヴィアさんがミケ猫たちと一緒にクエストの受領しに行った。

 オレリアさんと俺は自然と二人で待機することになった。


「でも、ニーナ様……どう話をつけてくるおつもりでしょう?」


 ああ、それは俺も気になってる。

 神殿に話をつけに行くったって、当然相手は偉い人だろ。

 しかも至高神の神殿って全員貴族の家出身の奴らだと思うし。

 よっぽどコネがあるにしても、こんな急に話持って行って、ホイホイ話を聞いてもらえるとは思えないんだけど。


「うーん……ニーナさんの家についてオレリアさん何か知ってる?」


「私はニーナ様のお兄様が神殿にいらっしゃるとしか聞いていません」


 お兄さん、ねえ。

 ニーナさんのお兄さんはよっぽど年が離れてない限り、若いと思う。

 お兄さんに話をして、そこから時間が掛かるとしたら、ニーナさんの仕事に入るのはだいぶ後になるだろうなぁ。

 二人でそんな会話をしていると、シルヴィアさんが帰って来た。


「あれ? ミケたちは?」


 二人が一緒だからシルヴィアさんを行かせたんだけど、一人で帰ってきちゃったのか。


「……お二人はさっそくクエストに取り掛かるそうです」


「それでシルヴィアさんを一人で帰らせたの?」


 俺がちょっと不機嫌になったのがわかったのかな。

 シルヴィアさんが困ったように表情を変えた。


「いえ……お二人は宿まで私を送ってくださいました」


 ミケ猫にしては気が利いてるじゃん。

 いや、これはロレッタ姉さんの気遣いかな?

 そして、三人そろって待っていると一時間後ぐらいにニーナさんが帰って来た。


「さて、話はついたぞ」


 結構あっさり話がついたんだな。

 それで、一体いつに俺は神殿に行ったらいいんだ?

 神託ってことはそれなりに準備も必要だろう。

 もしかしたら神殿への寄付金も積まないといけないのかもな。


「これから神殿に向かうぞ」


「はい?」


 これは予想外。

 俺にも、オレリアさんにも、シルヴィアさんにも。

 そんなあっさり神託授けてもらえるような神殿なの!?

 仮にも至高神でしょ!


「……ニーナ様、いくらなんでも今日話をして……神託を賜るのは……おかしいのではないでしょうか……」


 シルヴィアさんが不思議に思うのもやっぱり他の神殿ではありえないんだよね。

 俺の感覚がおかしいわけじゃなくてよかった。


「仕方ないだろう。私も明日ぐらいにはなると思っていた。――兄上には敵わない」


 お兄さんに話をしたら、準備ができてたってこと?


「まさか予言者じゃあるまいし」


「……いや、兄上はある意味予言者だ……預言者、かな。会えばわかる」


 会えばわかる?

 よくわからないけど、神殿に行けばわかるってことか。


「まさか、ニーナ様のお兄様が神託を預かる神官なのですか?」


 コネがすごい所だったー!

 お兄さんが神殿にいるって聞いてたからコネ使うんだろうなぁって思ってたけど、まさかのまさか。

 神託くれるのがお兄さんなのか。


「そうなる。とにかく時間が惜しい」


 そしてニーナさんは俺だけが神殿に来るように言う。

 何でも神託を聞けるのは一人だけなんだそうだ。

 それぞれ神官なオレリアさんとシルヴィアさんはそれを承諾して残り、俺はニーナさんと一緒に神殿に行くことに。


「初めに言っておく。兄上の姿を見て私の言葉を疑わないでほしい」


「え?」


「これから会う相手が私の兄だと信じてほしいのだ」


 何かよくわからないけど、すごく複雑な事情でもあるのかな。

 全然似てない……とか?

 覚悟だけはしとこう。

 そう思ってニーナさんと一緒に神殿まで行ったわけだ。

 至高神の神殿自体は、信者が貴族しかいないだけあって凄い金が掛かってる感じがした。

 四人の女神と至高神の像があるんだけど、目は本物の宝石使ってるみたい。

 どうなの、これ。

 お金持ちには見慣れてるかもしれないけど、庶民の俺には厳しいものがあるよ。


「この部屋だ。兄上が待っているはず」


 細かい彫刻で飾られた扉の前で、ニーナさんがそう告げる。

 何だかすごいドキドキしてきたぞ。

 どんな強面のお兄さんでも俺は驚かずにいたい。


「兄上、私だ。入るぞ」


 ノックを二回して、ニーナさんが扉を開く。


「やあ、待っていたよ」


 やや高い声が答える。

 あれ?

 ニーナさんに続いて部屋に入った俺を待っていたのは、俺より年下に見える少年だった。

 兄だと疑わないでってこういうことなのか!

 別の意味でびっくりしちゃった。


「君が、ニーナの言っていた人だね。――うん、僕が見たイメージともぴったりだ」


 ニーナさんのお兄さんはニーナさんとよく似た色の目で俺を見て微笑んだ。


「僕がニーナの兄だっていうのがおかしいかな?」


 俺がちょっと困ってるのに気付いたお兄さんがそう言ってくる。

 ここは頷いとくべきなのか、それとも否定すべきなのか悩む。


「えーっと……どう呼んだらいいですか?」


 ここは答えずに、逆に質問してみよう。

 そうだよ。俺この人の名前知らないじゃん。


「ああ、僕はシメオン。ここの司祭を務めている」

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