クエスト:リュウジンの伝説2
ニーナさんの質問内容に空気が凍った。
オレリアさんが俺とニーナさんを見比べてるし、シルヴィアさんも固まって動けない。
一体何だってそんな突拍子もないことを言い出すんだニーナさん。
「おや、その反応を見ると正解といったところか?」
「ニーナ様、突拍子もない話で皆さん固まっているだけです」
オレリアさんがフォローしてくれてるけど、ニーナさんどう出る?
ミケ猫は現実逃避に歌を歌い始めたんで誰か止めてください。
「根拠はある。昨日、冒険者ギルドでリュウのクエストの記録を見せてもらった」
記録、閲覧できるんだ。
多分依頼を出す側、だからかな。しまったなぁ、記録、見れたんだ。
「冒険者として登録して一か月足らずの間に上げた功績でお前はマジシャンクラスからウィザードクラスになっている」
「え、ちょっとリュウ。それ聞いてないわよ」
あああああ! ここでバラされた……!
昨日の今日でもうバレたなんて、ミケ猫が拗ねると面倒だから黙ってたのに!
「しかも、クエストの傾向もモンスター退治、遺跡探索、古文書解読と一つに極める専門もなさそうだ」
あ、うん。そうだね。そうだったね。
そういえばまだ一か月経ってないんだよな。
「モンスター退治に特化していたら勇の女神の加護があるのだろうと納得できる。だが、リュウは智の女神の神官にも困難な古文書の解読が出来るのだという。これはもはや勇の女神や智の女神の加護のレベルを超えていると、私は考えたわけだ」
その結果が至高神の関係、な。
大当たりじゃないか。
どうする?
とりあえず、ロレッタ姉さんに意見を聞いてみないと。
説明が面倒だからって理由で隠すのは決めたわけだし。
「ふん、いいじゃないか。リュウ、お前の持ってるアレを見せてやっても」
ロレッタ姉さん。スマホの名称、忘れたでしょ。
まあ、馴染みないからいいかな。
「スマホの事?」
とりあえず俺はそう答えておいて、スマホを取り出してテーブルの上に載せた。
「それは、まさか光る板なのか?」
「これは俺の持ち物、スマホだよ」
えっと、正式名称って何だっけ?
スマホとガラケーって言ってると元の名前忘れちゃうな。
「これはニーナさんの言う至高神から貰ったものじゃなく、元々俺が持っていた物なんだけど。至高神からちょっとした機能を色々入れられたんだ」
適当に経緯は端折る。
この世界を救う云々もこの際まだ隠しとこう。
世界を救うったって何したらいいか全くわからないからな。
「で、まあ……ロレッタ姉さんたちには未来の勇者サマなんて言われたりしてるんだ」
俺の話を信じたのかどうか、わからない。
ただ、ニーナさんは綺麗な顔をしかめっ面にして黙り込んでしまった。
「リュウの言っていることは、私にも理解しがたい。しかし光る板を持っているという事は、間違いなく至高神に選ばれた存在――もしかしたらリュウジンなのかも」
また出たよ、リュウジンの話。
至高神の御使いだっけ?
オレリアさんにちらっと聞いただけだから、詳しい伝承は知らないんだよな。
でも、貴族なら至高神を信仰してるって聞くし、ニーナさんは詳しい内容知ってるんだろうか。
「早急にリュウがリュウジンなのかどうかお伺いを立てる必要が出てきたな」
「は?」
いきなり何を言い出すんだ?
どこにお伺い立てて何を聞くって言うんだよ!
「至高神の神殿で神託を賜るんだ。そうすればはっきりするだろう。リュウがリュウジンなのかどうか」
「……それははっきりさせた方がいいのか?」
「当然だ。リュウジン降臨ともなると、歴史が塗り替わるかもしれない出来事だぞ。それに、人間種族の未来にも関わってくる」
「それってリュウジンが種族の行く末を決めるって言う?」
冗談じゃない。
俺はそこまで大した人間じゃないっていうのに。
だけどニーナさんは俺の感情なんて全然気にしていないようでさっさと先に話を進めていく。
ずいぶんと饒舌な人なんだな。
「ああ、そうだ。エルフも、獣人もリュウジンの決定により衰退したと伝えられている」
そうなの?
ああ、でもリュウジンは過去にも現れたから言い伝わってるんだよな。
俺の選択でこの世界の人間が滅ぶとか絶対嫌だから、自分がリュウジンかなんて知りたくはないのに。
「リュウ、ごねるのは得にはならないぞ。何せスポンサー様の意見だからね」
ロレッタ姉さんが俺にそう忠告してくる。
うん、わかってる。わかってるんだけど。
ここは降参するしかないのかなぁ。
「わかったよ。ニーナさんと神殿に行けばいいんだろう?」
ここはもう逆にポジティブに考えないといけないかもしれないな。
一般庶民じゃ一生入れない至高神の神殿が見れると思えば――。
いや、でも俺じゃあありがたみわからないかも。
そんなわけで、俺はニーナさんと一緒に至高神の神殿に行くことに。
他のメンバーは先にギルドに行ってクエストを受領してくることとなった。




