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クエスト:遺跡調査再び2

「ところで青年」


 ニーナさんが唐突に俺に声を掛けてくる。

 一体何だ?


「俺はリュウだよ」


 とりあえず自己紹介するしかない。

 でも、俺にわざわざ声を掛けてくるなんてどうしたんだろ。


「ではリュウ。どうやって古代文字を読んでるんだ?」


 うーん。これはなんて言ったらいいか。

 こっちの文字については俺は簡単な単語の意味が分かるだけなんだよなぁ。

 はっきり言って声に出してる言葉と、読んでる文字が同じわけないしな。

 どうやって答えよう?


「うーん……読めるから……としか言えない。それでもすっごく読みにくい」


 だってこれ以上どう説明したらいいんだよ。

 異世界云々の説明は二度だけで十分だ。

 三度目は頼まれても嫌だ。


「答えになっていないぞ」


 確かにな。

 でもそれで勘弁してくれよ。


「俺にも答えようがないんだ。読めるだけだし」


 本当は書けるけど。


「……ニーナ様……リュウさんが困っていますから」


 なんてシルヴィアさんの助け舟。

 良かった、これで逃れられる。


「ふむ。そうか。ならば聞いてくれるか、エルフ」


「……シルヴィアです」


「シルヴィア。お前はエルフだろう? 何故冒険者をしている?」


 うわっ。これはシルヴィアさんの答えにくいプライベートなことだぞ。

 シルヴィアさんも表情曇らせちゃった。

 ここは俺が席を外すべきだろうな。


「あ……俺はちょっと外に出とくよ」


 だって、ここで聞いたら可哀想だろ。

 オレリアさんから聞いてるけどさ。


「……リュウさんも……聞いてください……」


 え? 俺も?

 まあ、指名されたなら仕方ないよな。

 シルヴィアさんの話を聞こう。


「ニーナ様……エルフの里を調査したくて……私に声を掛けたんですよね……」


 シルヴィアさんがこんなに長く話すのは初めてだ。

 ニーナさんは当然と言った風に頷いた。

 そりゃエルフの里の事は気になるだろうなぁ。

 俺も気になるし。

 シルヴィアさんみたいな美人もやっぱり多いのかな。


「ああ。純血主義のエルフが何故里から出て冒険者をしてるんだ」


「……エルフが純血主義だから、ここにいます……。私は……父がエルフではないので……」


 その辺はオレリアさんに聞いた。

 父親はどの種族だったんだろ。

 ってシルヴィアさんの顔が青白い。

 これ以上聞くのはまずそうだけど、どうやって止めた物か。


「エルフがエルフ以外の種族と結婚したのか?」


 ニーナさん、結構無神経何だな。

 もしかしたら貴族ってそういうのが普通なのか?


「……いえ、私も父の事は知りません。ただ……母の様子からだと私は望まぬ子だったのかも……」


 何て重たい話なんだ。

 シルヴィアさんが美人なことを考えると、シルヴィアさんのお母さんも美人だったわけで。

 それはつまり……。

 いや、俺がそれ以上何か考えるのはやめとこう。

 それ以上に辛いのはシルヴィアさんなんだから。


「ふむ。それで、里に居づらくて外に飛び出したと」


「ええ……幸いにも神殿が私を拾ってくださったので……私は今……こうしています」


 ついでにシルヴィアさんが俺にチラチラ目を向けてくるのは気のせいかな。

 ははは……。まさかシルヴィアさんまで重婚狙いってことはないよな。


「そんな話を突っ込んで聞いてすまなかった」


「……いえいえ」


 貴族はちゃんと謝罪も出来るんだな。

 高飛車なイメージがあったんだが違ってよかった。


「シルヴィア、当然お前はエルフの文字は読めるな?」


 そういえば獣人は今文字がなくて口伝で全部伝えていて、エルフの方はどうなのか知らないな。


「はい。……確かに私は今のエルフの文字は読めますが……古代の文字から今の文字は簡略しすぎたので無理です……」


 時代によって文字って変わるもんなぁ。

 大学の講義で江戸時代の古文書見たけど全く読めなかったもん。

 解読用に買わされた事典も役に立たねぇし。

 崩して書いてあるのと、ひらがなの形が違う奴あったし。


「ほう。今のエルフの文字について教えてくれないか? 私は古代エルフについて研究しているんだ」


 貴族自らが研究してたのかよ!

 視察って言うけど実は趣味だったんだろ。

 何となく今、そんな気がした。


「……はい、私でよければ……」


 お、シルヴィアさんがニーナさんと打ち解けた?

 いやいや、まだだろうけど俺から興味が反れたらいいなぁ。

 なんて思ってたらニーナさんが古代エルフの残した文献だと、シルヴィアさんに差し出す。


「え?」


 あ、しまった。つい声に出しちゃった。

 だって仕方ないだろ。

 どこからどう見てもそれ、漢字なんだから。

 漢字だから読み方は知らないけど漢文と一緒なのかな。

 いや、そんなはずないだろ。

 でも意味が分かる!

 何だこの世界!

 振り返るニーナさん。

 ああ、また俺に興味が戻ってきた。


「リュウ、もしかして読めるのか?」


「読めるわけじゃないよ。合ってるかわからないけど意味が分かる……何となくだけど」


 ここは諦めてそう言うしかないだろ。

 俺は果たして、異世界から来た事実を貴族のお姉さんから追及されずに済むんだろうか。

 俺の予想ではそろそろ駄目かもしれない。

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