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クエスト:初めての遺跡調査5

 多分効いたかな?

 俺が魔法を放ってしばらくして、ロレッタ姉さんが扉を開いた。

 よしよし、ほとんどの奴が寝てる。

 数えてみると十人ぐらいか。

 部屋の明かりに照らされる中、起きてるのは奥にいるフードを被った人だけだ。

 マントのせいで男か女かわからないな。

 結構背が高いけど何となく細い気がする。

 でも、部屋の中でフード被ってるってどうなんだ?


「よーし、よーし。そこの奴、動くなよ」


 ロレッタ姉さんがフードの人に近づいていく。

 オレリアさんは異空間に眠った盗賊を放り込もうとしてる。

 ってかこれは俺がやらないと。

 男を持ち上げるのなんて嫌だけど、俺がやらないとオレリアさんとミケ猫の身体が盗賊のおっさんの身体に密着することに。

 それはいくらなんでも駄目だ。

 せっせと俺が何人かをオレリアさんの異空間に放り込んだ時だった。


「リュウ!」


 ロレッタ姉さんの鋭い声に俺は振り返った。


「姉さん!?」


 ロレッタ姉さんが起き上がった盗賊のおっさんたちに囲まれてる。

 人数は俺たちが放り込んだ奴を除いて五人。

 こっちの人数が少ない。

 ってかこいつら寝てなかったの!?


「気をつけろ。このフード、ヒーラーだ」


 ヒーラーって回復専門職だっけ?

 何で盗賊にそんな奴がいるんだ!

 ロレッタ姉さんが大剣の腹で盗賊をブッ飛ばしていくが壁が近くて姉さんの武器では不利だ。

 ブッ飛ばしてもフードが何か動作するとブッ飛ばされたおっさんも立ち上がる。


「リュウさん、お願いがあります。この松明に火をつけてください」


 オレリアさんが松明を差し出す。

 言われたとおりに松明に火をつけると、オレリアさんがそれを片手に一歩、足を盗賊たちの方へ踏み出した。


「智を求める女神より賜りし、炎よ!」


 オレリアさんが叫んで松明を振る。

 すると炎が蛇のように伸びてロレッタ姉さんの近くにいるおっさんを薙ぎ払う。


「ロレッタさん、近くにいたら不利です」


「おい、ヒーラーがいるなんて聞いてないぞ」


「私だって初めて知りました!」


 そうだな。

 ヒーラーがいるって知ってたらもうちょっと別の作戦立ててたよな。


「どうすんの?」


 一番いいのはミケ猫にありったけ強化魔法使って自動戦闘させることだと思うんだけど。

 ヒーラーがいる限り眠らせても起きてくるわけだし。

 一番武器が短いミケ猫がこの中では有利だと思うわけだ。

 うん、でもフードのヒーラーを無力化できないかな?

 俺たちが考えてる間、オレリアさんの炎の蛇が盗賊たちを阻んでいる。


「シルヴィ、こいつを何とかできないのか?」


 そんなおっさんのヒーラーへの言葉に、俺は驚いた。

 あのフードの人、男じゃなかったんだ!?


「シルヴィ……? 貴方シルヴィですか……! どうしてこんなところに……!?」


 オレリアさんが俺以上にその言葉に反応した。炎の蛇がぐん、と伸びてヒーラーのフードをはじき飛ばした。

 後ろに飛び、燃え落ちるフード。

 そして露わになったのは金髪碧眼の美少女だった。

 ただ、耳だけがピンと尖っている。エルフ娘だ。

 震える唇は声も上げずに、助けを請うような目を盗賊たちに向けている。


「やっぱり、シルヴィ……。和を為す女神の信徒の貴方がどうしてこんな……盗賊たちに……!」


 オレリアさんの知り合いかな?

 話を聞いた限り神官仲間か。

 本当にどうしてこんな美少女が盗賊なんかの仲間に?

 縛られて捕まってるとかならわかるんだけど。


「……仕方、ないの……」


 小さな声が震えて俺たちのところへと届く。


「そうだよなぁ、シルヴィ。俺たちが助けてやらなきゃお前は野垂れ死んでたもんな」


 つまり、命を助けられたから盗賊たちに協力してる?

 これはさっさと盗賊を叩きのめして、あのエルフ娘を救出せねば。

 とはいえ、俺の手持ちの魔法で使えそうなのあるか?

 多分魔力封印とかそんなのか?


「シルヴィ、私たちと町へ帰りましょう!」


 オレリアさんはエルフ娘の説得をしてるけど、説得は難しそう。

 でも、気を取られてる今なら俺がこっそり魔法使って、エルフ娘の魔力封じれるんじゃないかな。


「……ダメ……できないよ……」


 こっそりスマホを操作して、俺はある魔法をエルフ娘に放った。


【マジックケージ!】


 エルフ娘の足元に魔法陣が現れる。

 そして光の線が魔法陣から立ち上って、エルフ娘を取り囲む鳥籠が出来た。

 この魔法は魔力封印の効果があるから今のうちに全員眠らせてしまおうか。


【スリープミスト!】


 残った盗賊のおっさんたちは仲良く夢の中へ。

 無事に盗賊退治できてよかったな。


「光る……板……」


 光の鳥籠の中からエルフ娘が俺の手元を見てる。

 やべっ!

 慌ててスマホを隠す前に振り返ったオレリアさんにもそれを見られてしまった。


「あ……」


 さっきまで割と堂々と使っててバレなかったから平気だと思ってたら!


「リュウさん……貴方は……」


 やべ。問い詰められる。

 どうする? どうやってごまかす?


「まさか、どこかの貴族の子弟なのですか?」


 どうしてそうなる。

 と思ったが、至高神のジジイの神殿に入れるのは身分高い奴だけだから当然か。


「それとも、総本山から遣わされた使者の方ですか?」


 総本山? 何だそりゃ。


「違うよう。リュウは勇者サマなんだよ!」


 こら、ミケ猫。ここでそれをバラすんじゃない!

 話がややこしくなるだろう!


「勇者サマ……ねぇ」


 ロレッタ姉さんの目が光ったように見えたけど気のせいだよね?


「とりあえず、リュウ。盗賊どもを異空間に放り込んだら詳しい話を聞こうじゃないか」


 っていうことで、盗賊を全員異空間に入れた後、俺は皆から問い詰められることに。

 世界を救うとかいう話は置いといて、俺がジジイに選ばれてここにやって来たことは話した。

 石碑の文字は俺がいた世界の文字に似てることも。

 納得してもらえたかどうかはわからん。

 でも俺が説明した内容は事実だから仕方ないだろ。


「なるほど。名を上げるのは勇者として必要なことだったんですね」


「まあ、でも言いふらすようなことじゃないからな」


「アタシは仲間だっていうのに黙っていたのかい?」


 ロレッタ姉さんは責めてるような声だけど、目が完全に笑ってる。

 やっぱ結婚相手として見られてんのか?


「リュウの為にはもっと大きな街でクエストこなさないといけないねぇ」


「いえ。ここは古文書をがっつり読んでもらって古代文明の謎を解き明かすっていう方向で」


 オレリアさんは古代文明にこだわるなぁ。

 俺としたら近道になりそうな方がいいんだが、どっちになるんだろうか。

 ロレッタ姉さんとオレリアさんの議論は夜遅くまで続いた。

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