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クエスト:初めての遺跡調査2

 次の日に冒険者ギルドに顔を出すと、遺跡探索のクエストが出ていた。

 俺たちはさっさとそのクエストを受けて、依頼人のオレリアさんのところへ向かった。

 オレリアさんは昨日と同じ黒いケープに白い服で俺たちを待っていたようだ。


「お待ちしてました」


 オレリアさんは頭を一度下げると、俺たちを神殿の奥に案内してくれる。

 クエスト内容について説明をしながら。


「今回の遺跡探索ですが、盗賊が根城に使っているという噂があります。もし、盗賊がいれば捕縛。盗掘された遺跡の品があれば回収します」


 相手が人間か。

 魔法は慎重に使わないと殺してしまいそうだな。

 使うなら状態変化系の魔法かな?

 マヒとか眠らせるとか、そんな魔法だってあるだろう、多分。


「それでいいよ。ただ、加減間違えたらごめんよ」


 怖いことをロレッタ姉さんはさらりと告げる。

 加減間違えたらどうなるかなんて聞きたくない。


「貴方のことですから、それは考慮済みです」


 考慮済みなの!?

 オレリアさんがあんまり涼しげに言うものだからびっくりしたぜ。

 俺が脳内でツッコミを入れてる間に目的の部屋に到着したようだった。

 そしてその部屋へ俺たちはオレリアさんと一緒に入った。

 オレリアさんの仕事部屋かな?

 棚が壁にずらっと並んでる。

 本棚と、石に何か彫られた物が飾られた棚と。

 壁が見えてるのはドアのところと窓のところの壁だけじゃないか。


「あ、壁の棚が気になりますか?」


 何だかうれしそうにオレリアさんが聞いてくる。

 目がキラキラした眼鏡美人にそんな風に見つめられると、言葉がうまく出ないじゃないか。


「それはこの間発掘された石版でしてね、私はそれを解読してるんですよ。でも、なかなか解読の手がかりになるようなものが少なくて……」


 いきなり語りだしたぞ。

 しかし俺相手に語っても何もいい事なんてないぞ。

 ん、待てよ。この石に彫られてる文字に見覚えがある?

 そんな馬鹿な。でも、この柔らかな感じのする文字は……。


「……この薬草をすりつぶす前によく乾燥させ、火であぶる……?」


 読めた。内容が合ってるかはわかんないけど。

 ところどころ掠れたり、全体としてはつぶれた形の文字だけどこれはひらがなだ。

 え? 何でここにひらがながあるんだ?


「え?」


「ん?」


 俺はその声に我に返った。

 オレリアさんが信じられないものを見たような表情で俺を見てる。

 もしかして俺、読んだ内容言ってたのか?


「どうして読めるんですか……?」


 俺に聞かれてもどう答えたらいいかわからない。

 ひらがなだからって言って信じてもらえるわけないし、そもそもそれが何だって言われても困るのだ。


「合ってるかどうかなんてわからないぞ。俺が読める風に読んだだけだから」


「そんはずないです。この石版は獣人が栄えた時代の病院のものなんですから」


 確かに今読んだのは薬の作り方っぽかったけどあれで当たりとかマジかよ。

 ひらがなだけだから、めちゃくちゃ読みにくいっていうのに。


「……わかりました。ロレッタさんの思ってる通り、リュウさんは相当有望な方なんですね」


 オレリアさんは一体何を言ってるんだ?

 一人で納得して頷いてるけど、何に納得したんだろう。


「ロレッタさん。リュウさんを是非神殿が貰い受けたいのですが」


 はい?

 納得するだけじゃなくてロレッタ姉さんに交渉しだした!?

 やめてくれよ、俺がこっちの文字読めないのとか、どこから来たのかとか突っ込まれると思うと怖いな。

 ロレッタ姉さん、頼むから俺を手放さないでくれよ。


「神殿が、じゃなくてお前が欲しいんだろ? だーめ。リュウには冒険者として名を上げてもらうんだから」


「そこを何とか! 古代文明を解明するチャンスなんですから! リュウさんがいてくれれば古代獣人の古文書や石版が読めるんです!」


 オレリアさんの目が妙にキラキラしてる。

 研究に熱中しすぎると周りが見えなくなるタイプか。

 眼鏡美人なのにもったいないなぁ。

 俺がそう思ったのは現実逃避じゃない。絶対に違う。


「アタシはあいにくご先祖様たちが何をしていたのか、なんて興味はなくてね」


「むむむ……どうしても、ですか?」


「アタシらはリュウを冒険者として名を上げさせる、リュウは名を上げることを目標としている。アンタが入り込む余地はないよ。諦めな」


 どっしり構えてるロレッタ姉さんの姿にすごい安心感。

 交渉内容が俺の事じゃなければ、ね。

 ミケ猫は口を挟むことが出来ずに空気だ。

 俺も空気になりたい。


「仕方ないですね。なら、古文書の解読が必要になったら彼を指名してクエスト出します」


 図らずとも、こんなところで指名クエスト、だと?

 なんということだ。

 いや、でも名を上げるチャンスなんだろうか?


「報酬を弾んでくれるなら貸してやってもいいよ」


 ロレッタ姉さん、案外現金な人だなぁ。

 いや、でも報酬弾んでもらえたらけっこういい宿に泊まれるんじゃ?

 しかも俺はつぶれかけたあのひらがなを読むだけっていう。

 楽に稼げるクエストだ。問題は俺がこっちの文字が書けないことだけど。


「いいでしょう。その話はまた後で。今回のクエストの本題に入りましょう」


 あ、よかった。

 やっと本題に入れる。

 オレリアさんが机に地図を広げて俺たちに見せてくれた。


「私たちが探索・調査する遺跡はここから二日ほど北へ行ったところにあります。途中野宿ですね」


 お、もしかして初野宿か?

 キャンプ、とまではいかないけどこの面子で野宿って俺が大変だな。

 何が大変かって男が俺しかいないことだ。

 遺跡の中の物持って帰るったって男俺一人だけなのにどうするんだろうな。


「それで、遺跡までなんですが、盗賊が多いみたいです。野宿の時も交代で休んでください」


 まあ、全員で眠るっていうわけにはいかないだろうな。

 俺は夜遅くまで起きていても平気だし、先に見張りをしてもいいだろうな。


「盗賊は倒していいってことかい?」


「とりあえずは捕まえておいて、後でまとめてしかるべき場所へ突き出します。まずは無力化からですね」


 オレリアさんの話は続く。

 大学での講義と違って眠くならないのがありがたい。

 俺が興味を持ってるからっていうのが大きいんだけど。


「マジシャンのスリープミストやパラライズミストが対盗賊では必要になるので、リュウさん。お願いしますね」


 俺は頷く。

 でも俺が作戦の要っていうのはパーティとして健全なのかそうじゃないのか。

 ネトゲだと魔法使いが火力としてドーンってのはよくあったりしたんだけども。



 まあ、そんなこんなで説明を聞き終えた俺たちは出発を明日朝と決めて、神殿を出たわけだ。

 今日じゃなかったのは俺たちに野宿の用意がなかったからだった。

 俺とミケ猫は野宿セット持ってないんだよな。

 だから神殿を出てすぐにやったことは、このクエストのための買い物だ。

 携帯食料とか、野宿用の携帯マットとか、色々。

 俺はスマホの魔力切れが怖いからマナの欠片を買っておいた。

 これはマナの塊を加工したものだそうだ。

 モンスター退治じゃなければ、多分必要だろう。

 この先マナの欠片の出番が来なければいいんだけどね。

 でもどうやって使うんだろう? 行く前にヘルプ画面で探してみるか。

 何となくジジイがくれただろうアプリに慣れてきた俺だった。

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