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クエスト:腕試しのモンスター退治・後編

 町を出た俺とミケ猫は町を出て森へと向かった。

 森でモンスター退治ってことは炎系の魔法は使ったら危ないな。

 とっさに魔法撃つ時に気を付けないと。


「で、退治するモンスターって何だ?」


「んとね、ワームだって。群れで行動しないから、倒したらマナの塊が残るみたい。目標討伐数十体だから、マナの塊十個だね!」


「ワーム?」


 何だっけ? ゲームで見たような気がするけど、スライムほど有名じゃないからちょっとピンとこないな。

 退治しないといけないってことは危ないんだろうけど、俺にはちょっと危険さがわからない。


「ワームはね、色んな物を食べるの。森なら動物から木まで食べちゃうから、猟師の人とかは困っちゃうみたい。あと、畑に来ると作物全部食べられちゃう」


「なるほど。牧場に行くと飼育されてるのもやられるのか」


 それは絶対に阻止しないと。

 でも俺にモンスターを退治することが出来るんだろうか。


「やっぱ姉さん起きてから来た方がよかったかも」


「何で? あんなおばさんなんて頼ることないよ! リュウは勇者サマなんだから!」


「ミケ、それは俺を買いかぶりすぎだって。俺はまだ新米冒険者なんだからさ」


 ミケ猫は『勇者サマ』にこだわるなぁ。

 俺はジジイに事情も説明されずに異世界に放り込まれた大学生だっていうのに。


「そんなことないよ! 魔法一発でヘルハウンドを倒せるなんてすごいんだよ!」


 そうなんだろうか?

 俺はこの世界のモンスターの強さを知らないんだが、ミケ猫が言うのなら強いんだろう。

 今回は剣を使って戦うわけだけど、ミケ猫をがっかりさせないように戦えるか?

 戦うって言ってもジジイのくれた祝福って奴を試すだけ。

 買ったショートソードを腰の左側に吊るしてるから、重さに慣れないなぁ。

 そんなことを森に着くまでに考えた。

 クエストの現場に到着するまで、他のモンスターには出会わなかった。

 この近辺はモンスターが出たらすぐ退治されてるのか。

 町に近いんだし、考えてみたらそうだよな。


「さて、勇者サマ。森に到着だよ~!」


「それは見ればわかる」


「あ、そうよね。倒す目標は一メートルより大きい奴だからね」


「ああ」


 俺は抜身のショートソードを右手で持ち、左手でスマホを構えるという変なスタイルで森の中をさまようことになった。

 昨日のクエストのように、スマホがマッピングやってくれてるからこんなスタイルなわけだ。

 さすがに森の中はマップがないと永遠に出られないなんてこともあるかもしれない。


「ミケは後ろも警戒してくれ」


 俺は前を見るだけでいっぱいいっぱいだからな。

 やっぱりロレッタ姉さんがいた方が良かったかもしれない。

 俺一人が戦うんじゃ不安だよ。

 念のためにミケ猫には結界魔法を掛けておこう。


「わかりやすい所にいてくれたらいいんだけどね」


「何でも食うんだろ? 木とか食ってる時に出会わないとこっちが食われるよな」


「う……そうよね。その時はリュウは魔法に専念して」


「それ以外の時は俺が剣で攻撃するってことでいいのか?」


 待てよ。自動戦闘ってことは剣と魔法とを併用する戦い方をするってことか?

 剣だけで戦うよりは効率いいのかもしれないな。

 魔法だけか、剣だけか選べれば俺にとっては都合がいい。

 自動戦闘で魔法の効率のいい使い方を覚えるとか、できるじゃないか。

 何にしても実際に自動戦闘を使ってみるしかない。

 俺はそう結論付けてワーム探索に専念した。


「リュウ……! アレ……」


「ああ、わかってる」


 俺たちがワームを見つけたのはそれからしばらく経っての事だった。

 一メートルからが討伐対象と聞いていたが、それよりも大きい。

 てっきり長さの事だと思ってたんだが、一メートルって高さも含まれていたんだろうか。

 俺たちには気づかずに、木を貪り食って進んでる。

 ワームが通った後は一定範囲が土ごと抉れていた。

 なるほど、何でも食うってのは大地もその対象なんだな。


「ミケは下がってて。他にワームが近づいて来ないかにも注意して」


 近接戦闘では初の戦闘だ。

 妙にドキドキするのはきっとそのせいだ。

 俺はワームに近づきながら例のアプリを起動する。

 そして自動戦闘モードをタップした。


【剣技能だけで戦いますか?】


 お、ちゃんと聞いてきた。

 俺は感心しながらも『はい』をタップして先に進んだ。

 その瞬間だった。


【自動戦闘モードに切り替えます】


 通知音と共に、俺の身体の感覚が変わる。

 スイッチが入ったかのように視界がクリアになって、身体が軽い。

 身体も勝手に動くんじゃなくて、俺の身体が戦い方を知っているような感じだ。

 丁寧に俺はスマホを一旦仕舞い込んで、ワームを睨みつけた。

 一撃を加えようと思った時には、足が大地を蹴って駆け出している。

 へぇ、自動戦闘ってこんな感じなのか。

 思ったより戸惑いや不快感はないな。

 まずは第一撃。

 向こうは俺たちに気付いてないし、不意打ちには最初の攻撃が肝心だ。

 そう、何故かその方法がくっきりとイメージできる。

 そしてどう身体を動かしたらいいのかも。


「てええええい!!」


 叫び声と一緒にジャンプ。

 頭上に高く上げた剣に体重を乗せて振り下ろす。

 これ明日に筋肉痛が出てないといいな。

 うわっ……何か嫌な感触がした。

 顔をしかめてる場合じゃない。

 俺はワームの身体に食い込む形となった剣を引き抜いた。

 そして一旦後ろに下がる。

 痛みにのたうつ状態のワームに切りかかったら、絶対危ないもんな。

 なんてことを何故か冷静に考えたりしながら、ワームの動きが止まった隙に再度突っ込んだ。

 一度切ったところを再度狙って切りつける。

 狙いは少しもずれなかった。

 まあ、自動戦闘なんだけども。

 その攻撃でワームは一度大きく痙攣して、完全に動かなくなった。


「わあ、リュウすごーい!」


 これで終わりなのかな?

 ゆっくり消えていくワームの姿を見て俺はようやく安心した。

 良かった。俺一人で倒せた。

 とりあえず、自動戦闘は終わっとこう。

 俺はスマホを取り出して操作する。


「リュウってあんなに強かったんだ!」


「祝福の効果ってすごいんだな」


「これならこのクエストもあっという間だね!」


 ああ、そうだな。

 効果はわかったしさっさと片付けて町に戻ろう。

 俺は自信をつけて、森の奥へとさらに進んだ。



 その後俺はワームを次々と倒し、クエストは早々に達成した。

 これは今日のいい収入になりそうだな。

 昨日の収支ゼロのクエストよりはいいかも。

 ただ、自動戦闘はちょっとチートすぎるから緊急事態の時だけ使おう。

 町へと戻る途中で、自動戦闘の扱いを俺はそう決めた。

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