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クエスト:腕試しのモンスター退治・前編

 初めてのクエストを無事に終えた翌日、俺たちは次のクエストを物色していた。

 正確には俺とミケ猫だが。

 ロレッタ姉さんは宿で寝てるみたいだ。

 狼女みたいな姿になるのは相当疲れるみたいだね。

 魔法が効きにくいモンスターにロレッタ姉さん一人ってのは辛いかなぁ。

 俺が近接技能覚えるには時間がなさすぎる。

 こんなので世界を救うことができるのか?

 そもそも二か月にも満たない時間だぞ。俺の夏休みって。


「なあ、ミケ」


 俺はクエストを貼り付けた掲示板を難しい顔して見ているミケ猫に聞いた。

 カメラ通してしか文字が読めない俺にはクエスト内容がさっぱりだ。


「何ー?」


「クエストってそんなに急ぐもんか?」


 そもそも次のクエストをさっさと探そうって言い出したのはミケ猫なんだ。


「だってリュウは世界を救う勇者サマなんでしょ? 名を上げてクエスト指名されるぐらいにならなきゃ」


 何故かミケ猫がヒソヒソ声で囁いてくる。

 名を上げるとかクエスト指名ってなんだ?

 クエストをこなすと名が上がるのか?


「なんだそりゃ」


 俺が純粋に疑問を投げつけると、ミケ猫は別の掲示板を指して言った。


「モンスター討伐数とか、難易度の高いクエストを数多くこなしたりするとね、こっちの掲示板にランキングで名前が出るの」


「へぇ……」


 カメラを起動してないと文字は読めないけど、ミケ猫が指した掲示板は確かにランキングっぽいかも。


「でも俺みたいな新米がランキングに載るなんてできるのか?」


「貢献度が高いクエストとか? 遺跡調査なんかがそんなクエスト。荷物運びとか護衛のクエストだから人気はあんまりないんだよ。冒険者ギルドでも時々扱ってるの」


 遺跡調査か。今までエルフや獣人の文明が栄えたっていうけど、今は人間が多いみたいなのは何故なんだろう。

 その辺に俺がこの世界を救うヒントってのがあるのかもしれないな。


「で、クエスト指名ってのは?」


「有能な冒険者を個別指名するようなクエストよ。すっごく難易度が高くて報酬もすごく高いの。国が依頼主だったりするわ」


 国が依頼主なのか。

 ならよくゲームで見るような『王様から魔王退治を依頼される』みたいなこともあるのか。

 それは俺にとって好都合だよな。

 名を上げるのは本当に良さそうだけど、今の俺たちじゃあパーティも三人だしできることも限られてるよな。

 やっぱり前衛がもう一人ぐらい必要なんじゃないか?


「……ミケ、もしかして遺跡調査のクエストを探してるのか?」


「うん。リュウには有名な冒険者になってもらおうと思って」


 おいおい。何で俺をそこまで有名にしようとしてんだ。

『勇者サマ』って言ってるけど俺はただの新米冒険者だぞ。


「でも荷運びはともかく護衛っていうには俺たちじゃあちょっと無理じゃないか? お前は戦闘向きじゃないし俺は魔法専門。魔法が効かないモンスター出てきたら一発でアウトだぞ」


 俺やミケ猫が近接戦闘で役に立つならともかく。


「確かに短剣技能で申請してるけど、私はこれでの戦闘経験ないしね。せめて経験が詰めれば役に立てるんだけどさあ」


 なんて俺たちが会話している時だった。

 スマホが着信音を流し始めた。

 まさかまたババアじゃないだろうな?

 俺が慌てて画面を確認すると、画面表示は通知不可能という表示だった。

 つい最近この表示見たよなぁ。

 反射的に冒険者ギルドから出て、俺は電話に出た。


「もしもし?」


 前みたいにジジイじゃありませんように。

 と、願った俺の祈りは無視された。


『おお、つながったか』


 俺をここに送り込んだジジイだった。

 ジジイっていうかこの世界の至高神か。


「俺に何の用だよ」


『どうやらお困りのようだったのでな。ワシが祝福を授けて――』


「いりません。っていうかそろそろ俺が何をすればいいのか教えてくれよ」


『残念ながらそれはできん。先入観はお前の目を曇らせる。己で辿りついてみせよ』


 何でできないんだよ!

 ヒントぐらい教えてくれたっていいだろう?


『ワシからは具体的な事は言えん。ただ、お前がクエストをこなしやすいようにお前向けの祝福を与えてやろう』


 祝福はいいから、ヒントとかくれよ!

 俺の心の声はジジイに届くことなく、唐突に通話が切れた。


「一体何だったんだぁ、もう……」


 通話が終了した画面に新たな通知が出てることに気づいて、俺はため息をついた。


【自動戦闘機能が追加されました】


 自動戦闘ってゲームじゃないんだから。

 俺は何度この手のツッコミを頭の中で考えたんだろうな。

 俺向けの祝福っていう時点で何もかも間違ってるぞ。


「リュウ~。急に出て行ってどうしたのよ?」


「あー……神様って奴から祝福貰った」


「マジ!?」


 何か急にミケ猫の目が輝きだしたぞ。


「どんな祝福よ」


「俺もまだわからない。多分戦闘用の祝福なんだと思うけど……俺の身体で実験してみるかなぁ」


 この近辺のモンスター退治のクエストでも受けて試してみるか?

 自動戦闘が自分だけに掛けれるならいいけど、ミケ猫とかにも掛けれるなら悪用したい放題じゃないか?

 オチとしては悪用しようとしたら取り上げられるとか?


「じゃあ、まずは冒険者ギルドに近接武器の申請だね。何にする?」


 ミケ猫に話を振られて俺は困った。

 マジシャンとして登録したから、武器については全く知らないんだ。


「マジシャンに向いてる武器ってなんだ?」


「片手でも扱える武器じゃないかな? ショートソードとか」


 やっぱりそうなるよなぁ。

 ショートソードを買って、まず申請でもしてみるか。

 という事で俺はミケ猫と一緒に武器屋に向かった。




 申請の結果だけど、俺の冒険者としての技能に『片手剣』が追加された。

 そのまま腕試しのクエストに挑戦してみる。

 頼れるロレッタ姉さんはいないけど、まあ何とかなるんじゃないか?

 多分だけど。

 近場のモンスター退治のクエストを受けて、俺たちは二人で出発した。

 クエストの内容は、町の近くで最近発生してるモンスターを退治するものだ。

 最近モンスターが異常発生してるみたいで、この手のクエストが増えてるとクエスト受付の人が言っていた。

 モンスターの異常発生なんて、謎がありそうだよな。

 その謎に世界の危機が関わってたりして。

 ってさすがにそれは小説の読みすぎかゲームのやりすぎってもんだろ。


「二人でクエストなんてワクワクしちゃうね」


「俺は逆にヘマやらないか心配だな」


 ピンチになったら魔法乱打して逃げることになりそうだ。

 俺たちがピンチにならずに済めばいい、と俺は思った。

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