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「……んぁ」
目覚めると、そこは全く知らない部屋だった。
俺は体を起こす。
「クッ……!」
身体中を痛みが襲う。
おそらく少年にやられたものだ。
「……ここは、どこなんだ?」
俺は辺りを見回す。
ベッドはキングサイズで、高級感がプンプン漂っているし、ここは寝室なのか?と思えるくらい広い。
さらに置いてある家具は、有名なメーカーのものばかりだ。
「……なっ!?」
俺は窓の外に視線を向けるとそこは、物凄い光景だった。
下に広がる街並みからすると、この部屋はとてつもなく高いところにある。
なぜなら、窓から見える家が、豆粒並みの大きさに見えるからだ。
ここはおそらく、かなり高い位置にあるマンションの一室だ。
そう結論付け、俺は自分の身体に目をつける。
上半身は裸、身体中に包帯がまかれていて、湿布なども張られている。
包帯の巻き方は完璧で、少しのズレもない。
「……よっと、イテテ」
俺は痛む身体にムチをうち、ベッドから降りた。
まずは状況確認が先だ。
一体ここは誰の家なのか。
それを調べるために、寝室から出てみた。
廊下を歩いていくと、リビングらしき部屋のドア。
俺は少し警戒をしながら、ドアノブに手をかけた。
ガチャッ
「───っ!?」
リビングに入ってみると、そこには───
「……やっと起きた」
───美女がいた。
金色に輝くロングヘアー。
ハーフなのか。色素の薄い茶色の目、それはクールな印象が漂う猫のような瞳だ。
日に当たったことがなさそうなほど、白い肌。
頭にはどこかで見たことがあるようなカチューシャ。──メイド喫茶か?
そして、豊満な胸。 ここまで大きなものは初めて見る。
まるで、美の神とも呼べるような美女が─────
裸エプロンで料理をしていた。
俺はドアを閉めるのも忘れ、固まってしまった。
彼女の美しさに見とれていたのも理由の1つだが、裸エプロンとは聞いていない。
「……ねぇ」
美女が料理の手を止めこっちへやって来た。
エプロンの後ろで豊満な胸が揺れているのが、安易に想像できる。
「えっ!? あ、いや、な、ななななんで俺……」
「……幻夜様が連れてきた」
裸エプロンの女は、俺の腕を引っ張るとソファに座らせる。
「……身体、痛くない? ……大丈夫……?」
「お、おう! 君が手当てしてくれたのか? ありがとう」
俺は笑顔で彼女に礼を言う。
「……私、あなたのこと……好き……」
「……はっ? えっ、うそっ、なな、何でっ!? たった今、会ったばかりだろ!?」
彼女は少し哀しそうな目をすると、
「……そんなの、関係ない……」
俺に抱きついてきた。
勿論、裸エプロンでだ。
むぎゅうっとエプロン越しに、たわわな胸の感触が俺の左腕に伝わる。
ヤバい、非常にヤバい。
正直、女性経験が皆無とも言える俺には、これは刺激が強すぎる。
俺は何とか鼻血が出るのを我慢し、彼女を押し退けようともがく。
「……ぁ……んっ……」
俺がもがく度に彼女は悩ましい声を出す。
それが何とも色っぽく、このままでは俺の方がどうかなってしまいそうだったので、強く体を動かす。
「……ゃ……ぁ……」
「ちょ……離れろ……って」
スルッ
──あっ……!
「……ぇ……っち……」
やってしまった。
強く動いたせいで、エプロンが落ちた。
「あっ────!」
俺は見てはいけないと思い、目を手で覆う。
「……もぉ……見たいなら見たいって……言ってくれたら……」
ピーンポーン
「……いいトコだったのに……」
彼女はスルりと俺から離れる。
キュッ
エプロンを装着する音が聞こえたので、目隠しを外す。
「……ちょっと待ってて……」
彼女はリビングから出ていった。
「……ふぅ〜……ナイスタイミングだ……」
俺はソファに深々と座り込む。
このソファも高級なもので、肌触りが最高だ。
リビングも綺麗に整頓されていて、汚れなど一切ない。
改めて見るとスゴい部屋だ。
ガチャッ
「よぉ、やっと起きたか」
入ってきたのは俺をボコボコにした少年。
隣には裸エプロンの美女も。
「げ、幻影! 一体ここはどこだなんだ!?」
俺は勢いよく立ち上がる。
「っつ!」
だが、再び体を痛みが襲う。
「……大丈夫……?」
彼女が俺に近づいてきてソファに座らせる。