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ヤンキー執事と変態メイド!  作者: ロイ
第1章 ただのヤンキーですけど?
6/13

6

「で、デケェ……これが神山市最高のマンション、Gマンションか……」



俺はバイクを止めてヘルメットを外し、マンション見上げる。



何階建てか、想像もつかないくらい高い。



このGマンションは、日本でもトップの財力を持つ神山財閥が経営している。



さらに、この神山財閥が物凄い。



俺達が住んでいるこの街、この市は全て神山財閥の領地である。



税金などはどうするのか?と聞かれれば、学校の授業を聞いている優等生なら勿論答えられるだろうが、生憎俺は授業はほとんど寝てた。



ただ、神山財閥はこの市に住むものなら誰でも知っている、それほどまでの権力を持つ、大財閥なのだ。



「住所はこの辺なんだけどな……」



俺は手紙を取り出して、住所を確かめる。



「おい」



「へ?」



俺は後ろから肩を叩かれる。



目に入ったのは紺色の髪。



「『銀狼』が『中心部』に何のようだ?」



紺色の髪を持つ少年は、敵対心剥き出しで俺のことを睨み付けてくる。



「……俺のことを知っているってことは、お前もこっち側の人間か。



『中心部』には一部を除き、不良はほとんどいない。



つまりお前が『幻影』か」



少年はニヤリと笑みを浮かべるとこう言った。



「呼び名など関係ない。



仕事だからな、遠慮なく排除させてもらう」



少年が俺の腕を掴むと思いっきり投げ飛ばす。



その衝撃で手紙を落としてしまった。



「くっ! やるじゃねえか、幻影。



噂通りの強さだ」



俺は何とか空中で体制を整え、着地する。



「一度手合わせしたいと思っていたところだ、遠慮なくいくぞ!」



俺は左拳で少年に殴りかかった。



ガッ!



「なっ!?」



俺の左拳が少年の手によって阻まれる。



「さすがだな『銀狼』、その左拳だけで南部を制しだけはある」



ドッ!



少年は涼しい顔をしながら俺の脇腹めがけ、鋭い蹴りを放つ。



俺は両腕でガードを試みるが、衝撃を受けきれず、壁目掛けて吹き飛ばされた。



「くっ!」



俺はなんとか空中で体制を整えると、壁を蹴って少年に反撃をする。



空中からの左拳だ、よけられねぇだろ!



フルパワーの左拳をうち下ろした。



ドゴォンッ!!!!!











──コンクリートの地面にクレーターができていた。



俺は振り下ろしていた手を引っ込め、少年の方を向く。



少年は5メートルほど前に立っていた。



コンクリートにクレーターができたことに驚きなど全く見せずに。




「なかなかやるな『銀狼』、『四天王』の中でも1、2を争うパワーだ。



さらにその戦闘センス。



久しぶりの強敵だ、少しばかり本気を出すぞ」



少年は首にかけていたネックレスを引きちぎると、リングを2つ指にはめた。


指輪の装着と同時に、少年の髪色が変化していく。



紺色から碧色へ、暗い色から鮮やかな色に、変色していった。



ゾワッ!



俺はその姿を見て戦慄を覚える。



この感覚は知っている。



恐怖だ。



少年の圧倒的な重圧が俺を襲う。



ある程度髪色が鮮やかになったところで、色の変化は止まった。



しかし、一目見ただけで分かる。



少年の強さは何倍にも膨れ上がったと。



「はっ! おもしろい!!



ここまでの強敵は初めてだ!



ここで引くわけにはいかねぇ!



いくぞ!」



俺は恐怖など投げ捨てて、少年に向かって走り出した。



「ふっ、この状態の俺相手に臆することせず、向かってくるか。



その勇気、気に入った!」



少年の拳が俺の腹にめり込む。



俺は何が起こったのか、理解ができない。



少年の動く姿が全く見えなかったからだ。



「……ま、まだだ!」



俺は腹の痛みを我慢し、攻撃を再開する。



ズズン!



「ガハァッ!」



衝撃がどうこうとか言う話じゃない。



痛みを感じるよりも早く、攻撃が二発、腹に入った。







──圧倒的な強さ。



「……ま、だ……だ」



「まだ倒れないか……



俺が戦ったことのある中でも、ここまで持ちこたえたヤツは初めてだ」



少年は拳を握りしめると俺にゆっくり近づく。



「これで……とどめっ……!?」



刹那、少年が頭を抑え呻いた。



「くっ……! 副作用か……!」



「……ガァァッ!」



俺は不意討ちになってしまうことを恥じたが、少年に左拳を打ち込んだ。



「ガハッ!!」



少年は腹に左拳を打ち込まれ、2、3歩退いた。



「……へへっ、……一発入れてやった……ぜ……」




バタン



俺は一発、拳を打ち込んだ後、うつ伏せに倒れた。




「……ゼェッゼェッ、はっ、さすが……神山最強と……言われてるだ……け…」



俺は倒れ込みながらも少年の方を向く。



少年は頭の痛みを振り払うように、頭を振り、俺に視点を合わせる。



「まだ喋れるとはなかなかタフなヤツだ。



……そうだな、お前たち、『四天王』が全員集まったら丁度くらいだな。



ま、指輪を2つ着けた俺に一発入れたことは誉めてやるかな……」



少年は俺の方へ疲れなど微塵も見せず歩いてくる。






「ん? この封筒……」



少年が封筒に手を伸ばす。



俺は朦朧とする意識の中、少年が言う言葉を聞いた。



「……お前は神山財閥の───」



そこまで聞いたところで俺の意識は途切れてしまった。


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