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──幻海学院
ブロロ……ガチャッ
「ふぅ、もうこの学院ともお別れか……」
喧嘩に明け暮れた3年間だったが、本当に楽しかった。
これといった行事には参加してなかったが、たくさんの仲間ができた。
それだけでこの3年間の日々は俺の財産となるだろう。
……彼女は1人もできなかったが。
やっぱりあれだな、外見が怖いからかな。
卒業したらこの特効服はしまっておこう。
「銀の兄貴ー!」
俺がバイクに跨がりながら物思いにふけっていると、聞き覚えのある声が俺を呼んだ。
「よう、昂。 卒業式見に来たのか?」
俺と同じくバイクに跨がり、灰色の特効服を身に纏った少年、桐崎 昂【キリサキ ノボル】はヘルメットを外す。
「当たり前です! 兄貴の卒業式を見逃すなんて『シルバー・ウルフ』の名折れです!」
「ははっ、嬉しいこと言ってくれるじゃねーか」
俺は昂の頭に手を置くと、ガシガシと揺らす。
「そんなお前に頼みがある」
そうして俺は『シルバー・ウルフ』を引退した。