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ヤンキー執事と変態メイド!  作者: ロイ
第3章 ……最初は、……掃除……
11/13

3

カチャ



ドアの鍵を外し、訪問者を確認する。



「……ただいま、銀……」



メイド姿の歌音が抱きついてきた。



「うぉっ、か、歌音!?」



俺は抱きついてきた歌音を引き離す。



「……着崩した執事服も……いい……」



再び抱きついてくる歌音を頭を抑えて止める。



「ちょ、落ち着けって!



仕事はどうしたんだ?」



俺は歌音があきらめたのを見て尋ねた。



「……1時間だけ休憩……」



歌音は靴を脱ぎながら言う。



「家に用事でもあるのか?」



「……銀に、会いに来た……」



歌音は真っ直ぐリビングに向かう。



「……いい匂い……パスタ……?」



「あぁ、昼飯はミートスパゲッティだ」



リビングに入ると歌音は席に座った。



「……私も……」



まったく、仕方ないやつだ。



ま、歌音も仕事頑張ってきたんだし、構わないか。



「ほら、口に合うかわからないけど」



俺は皿にスパゲッティを盛り付け、フォーク、スプーンと一緒に歌音の前におく。



「……おいしそう……いただきます……」



歌音はそう言うとスパゲッティを食べ始めた。



「……おいしい……」



歌音の感想を聞き、俺は少し楽になる。



「良かった、スパゲッティは久しぶりに作ったからな」



俺もスパゲッティを口に運ぶ。



うん、俺にしては上出来だ。



「……このくらい、料理できたら……厨房も入れる……」



「執事の仕事に料理もあるのか?」



「……うん、私は夜の担当……」



歌音ほどの料理の腕前があれば不思議じゃないな。



俺達は仕事の話……俺が質問して歌音が答える、という会話をしながら昼食をとるのだった。






「……ごちそうさま……」



「あ、歌音、ソース口についてるぞ」



俺は執事服と一緒に渡されたハンカチで、歌音の口についているソースを拭う。



「……ぁ……ありがと……」



「フッフッフ、執事たるもの、これくらいの気遣いは当然だ」



俺は使用済みの食器をキッチンに持っていく。



とりあえず、軽く水洗いして、食洗機に入れてスイッチオン!



これで大丈夫なはずだ。



「よし、じゃあ歌音、昼から何すればいい?」



俺は手をタオルで拭きながら訊ねる。



「……掃除は……?」



「掃除なら昼までに何とか終わらせたけど」



「……うそ……私でも初めは、丸一日かかったのに……」



「まぁ、必死で頑張ったからな。



それに、窓拭きのコツも掴めたし」



俺は窓を拭くジェスチャーをする。



「……さすが、銀……



……じゃあ、昼からは外の掃除……」



歌音は書類や本が並んでいる棚から紙を一枚取り出した。


「これは?」



歌音から紙を受け取りながら訊く。



「……神山市中心部の地図……



……パトロールのついでに、掃除……」



歌音が中心部の周りを指す。



「……ここが、Gマンション……」



それぐらい分かるっての。



「……そだ……」



歌音が何かを思い出したように、ポケットをまさぐる。



「……あ、アドレス……こ、こうかん……」



たく、裸エプロンとかは普通にする割に、こういうことは恥ずかしがるんだな……



「オッケー、アドレス交換すんだろ?」



俺はポケットからケータイを取り出す。



最新式のスマホだ。



「……貸して……」



歌音が素早く俺のケータイを取る。



歌音のケータイはローズピンクのスマホ。



対して俺のは青色だ。



カシャッ



「……これでオッケー……」



「今なにした!?」



俺はケータイを取り上げる。



画面には……



「自分の写メ、プロフに張っちゃてるよ……」



俺の電話帳の歌音にはメイド姿、上目遣いの写メが張り付けてあった。


正直、すげぇ可愛い。



「まぁいいか……



よし、じゃあ準備しようかな」



俺はケータイをしまうと、ネクタイを手に取った。


「……私がやる……」


歌音がネクタイを奪い取り、俺の首にかける。


「自分でできるって」


「……ダメ、料理のお礼……」


歌音は素早くネクタイを締め、俺に上着を着せる。


「……うん、カッコいい……」


「そ、そうか? サンキュ」


俺は歌音の頭を撫で、玄関に向かう。


歌音もそのまま仕事に戻るようで、一緒に玄関までやってきた。


「……私は最上階だから……」


「おう、また後でな」


俺はエレベーターで上に向かう歌音を見送って、ゴミ袋とハサミを持って下に向かった。





ピーン


「んじゃ行きますか」


俺は歩いて街に繰り出した。


夜には実家の荷物が届くらしいからな、夕方には帰ろうかな。


まずは行き先を決めるため、先ほどの地図を取り出す。


「そうだな……神山高校でも見に行こうかな」


不良はほとんど立ち入ることのできない中心部。


東部付近に存在する神山高校には、不良はいないと聞く。


不良がいない高校生活ってのも見たくなったんだよ。


俺は神山市 中心部 東部方面へ歩き出した。


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