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バキィッ! ゴキッ!
「ふぅ、よくも俺の仲間を傷つけてくれたな……」
バキバキバキッ!
「ギャアッ!! う、腕がぁっ!」
「……肋骨は3本までで許してやるよ」
ゴッ!!!
「か……はっ……」
ドサッ
「さーて、お前らはどうしてやろーかな?」
「こ、この強さ……お前は一体……!?」
薄暗い倉庫に月明かりが差し込む。
それに照らされている襲撃者の髪は───
銀色
「ただのヤンキーですけど?」
ズガガガガッ!!!!
鋼鉄のごとき右拳によって、彼の仲間を襲った不良たちは殴り飛ばされたのだった。
俺は血のついた手をティッシュペーパーで拭うと、倒れていた仲間に声をかける。
「おーい、野郎共、帰るぞー」
「……ん、んぁ……そ、総長!?」
仲間たちは次々と起き上がり、俺を見て驚く。
「な、何でここに!?
明日は高校の卒業式じゃなかったんですか!」
「あー、そういえばそだったな、今から帰って準備しねぇと」
すでに時刻は深夜の11時、少し眠い。
「よし! そうとなったら早くここを出るぞ!」
俺は勢いよく倉庫のドアを蹴破ると、俺のバイク『ブラック・クロウ』に跨がる。
闇に溶けてしまいそうな程の漆黒。
黒光りするその車体は、俺と共に闘い続けた友である。
ブォンブォン!
よし、今日も最高の乗り心地だ!
「いくぞ野郎共!!!」
『オッス! 総長!!』
俺たちはバイク音を響かせて大通りへ続く道へ走り出した。