赤ずきん04
その時、孤高の狼(僕)に電流走る。
待てよ……蝶……お花……幼女……おばあさん……。
ここへ来て、ようやく僕の頭はフル回転を始め、抜けていたパズルのピースが全て当てはまった。
「そうか! 僕がおばあさんになりかわって、合法的に肉を食べればいいじゃないか」
思わず口に出す。
作戦はこうだ。
まず白ずきんちゃんに、近くに綺麗なお花畑があるんだなどといい寄り道をさせる。母親に寄り道をしないよう釘を刺されていた気がするけれどそこは所詮子供である。目の前の誘惑には勝てまい。
僕はその間におばあさん宅へ向かう。この際、どれだけ早く目的地にたどり着けるかでミッションの成功率が変わってくるので――ダッシュ。さながら走るというよりは飛ぶ。翔ぶ。翔る。そしてそのままフライング土下座。頼み込むのだ。危害は一切加えない。だからどうか一時間だけ僕にあなたの代わりをさせてくださいと。恥の一切を捨て、全身全霊で。しかし、もしそれを断られるようなら狼少年のように嘘で家を離れてもらうという方法もある。
どうにかして現場からおばあさんを排除。そして僕はおばあさんの代わりにベッドへ潜り込み、おばあさんのふりをし――白ずきんちゃんを騙す。騙しきる。ここが一番厳しいと思われるが……なんとかなるだろう。僕は狼だ。狼の中でも八百の嘘を持つと言われたこの僕に、騙せない相手などいるはずがない。
ここまでだ。
これで全部。
この全ての行程をクリアしたとき、僕は当初の目的である――合法的に幼女から、あーんと言われながらご飯を口に……いやいや、目的をみあやまるな。肉だ。生きるための――糧を手にいれることができる。
これはあくまでも色欲ではなく、食欲を満たすためのミッションだ。
自然界の厳しさをもう一度体に刻みこむ――試練なのである。
そうと決まれば!
「ちょいとそこの白ずきんちゃーん!」
幼女からご飯を口に運んでもらえる至福の瞬間を想像し、ご満悦だった僕だが。
それに時間をかけすぎたか――いつの間にか白ずきんちゃんを見失っていた。