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おと偽話  作者: 笑い男
3/6

赤ずきん02



 頭を捻ってばかりいても仕方がないので、僕はとりあえず今持っている情報を並べ、整理してみることにした。

 まず念頭に置かなければならないのは今回のミッションの最終地点を明確にしておくこと。まぁ、それは言わずもがな高給ラム肉を僕の胃袋に納めることにある。ここを目標とし、僕が今いるこのスタート地点からあらかじめ道しるべをおいておく必要があるのだ。

 一、白ずきんちゃんはおばあさんの家へ一人でいく。

 二、白ずきんちゃんはお母さんから地図を受け取っていて僕は遠距離からそれを覗き見た。ここからおばあさんの家までおよそ五キロ、いや五.二キロと言ったところか。ちなみに自慢ではないのだけれど僕は生まれてこのかた視力を二.〇以下に落としたことがない。一度もだ。

 三、白ずきんちゃんの家は村の真ん中辺りに位置するのだけれど、おばあさんの家は村を出て森を抜けなければならない。抜けると言うよりは森の中にあるのだ。

 今ある情報と言えばこれくらいか。

 これだけか。

 うーん。三つって言うのは確かに心もとない話だけれど、はっきり言ってしまうとこの三つで僕の中ではあらかた筋道は構成されたかな。いやほんとに。三つあるってのはこれは結構恐ろしい話なんだぜ。例え話で言うのなら三びきの子豚って話があるだろ? 最終的に狼は下等な豚にやられてしまうわけだけれど、実際勝ってんだよな。三分の二の確率で勝ってるわけ。ていうか負けてないんだよ。それを一回勝利を納めただけでそれをまるで伝説さながらに語り継ぐ豚ども。体では負けたけど心では勝ったみたいな。ほんと豚は嫌いだ。不潔で下劣で下等な生き物。まぁ美味しいんだけどさ。

 あぁもう。

 豚のせいで右脳辺りから出てきてかけていた今回のミッションクリアまでの道筋が消えてしまったじゃないか。くそっ。全部豚のせいだ。僕が何一つ作戦を思い付かなかったわけじゃない。豚のせいだ。

 まぁいいや。

 相手は小さな女の子だし。

 今回のミッション、確かに難易度は高いけれど何も肉を手にいれるのが難しいって訳じゃない。

 子供の心を傷つけずに――事を成すのが難しいだけの話さ。


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