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気苦労令嬢の悩み事〜私の居ない所でしてもらってもいいですか?〜

作者: 漆原 凜
掲載日:2026/05/20

「セシリア嬢に近づくなって言っているだろ!」


「私が誰と居ようが関係ないですよね!ね?セシリア様!」


何故毎日毎日この2人は言い争っているのだろう。遠い目をしながら聞いている。ここは図書館なので騒がず静かにして欲しい。いつからこんな事になったのだろう。



ーーーーー



セシリアは仕事に行くため急いでいた。王宮内の王立図書館で勤務をしているのだが、寝坊をしてしまったのだ。


同僚に謝りながら昨日返ってきた本の整理へ向かう。毎日の日課である。


「セシリア嬢おはよう。」


「おはようございます!今日も資料探しですか?」


魔術師団長のリュート様。魔術師の制服である黒いローブがよく似合う。スラッと背が高く白い髪に金の瞳。妖精の化身と囁かれるほどだ。歴代最強の魔術師と名高く天上人である。


部下を使わずいつも自分で本を借りに来る。来られた際は話かけて下さる。天上人なのにこんな私にも話しかけてくれる優しい方だ。茶髪に茶色の瞳、その辺によくいるモブなのに。


急にリュート様が私の髪へ触れる。ここ跳ねてるよって優しく笑って直してくれた。走ってきたので跳ねてしまったようだ。


「探してる本があればおっしゃってくださいね。」


ありがとう。とリュート様は微笑み、本棚の奥へと消えていった。


私は震えていた。天上人の普通が怖い。あんな自然に髪を直してくれるなんて。いつも割と距離が近いのだが、モテるから慣れてるんだなと結論付けている。あれが普通なんだ。気にしたら負けだと。



昼休憩になりお弁当を持って中庭へ行く。天気が良くて気持ちが良い。


いつも決まったベンチへ座るのだが今日は先客がいるようだ。男女2人組。違う所へ座るかと考えながら歩く。


ん?揉めている?女性に対して男性が強く言い寄っている様だった。


「警備の人呼びますよ。」


私は思わず止めに入る。男性はそんなんじゃないと言い離れていった。


ありがとうございますと女性が顔をあげる。ものすごい美少女!笑顔が眩しい!こんな可愛い子がいるのかと引く。黒髪にクリっとした黒い大きな瞳。愛らしい見た目。


朝から立て続けに容姿端麗の方たちを見て、自分の平凡さが嫌になる。お父様に似たのがよくないのかな…


「あの…ここで一緒に食べてもいいですか?」


ボーッと容姿について考え事をしていたら、美少女が話しかけづらそうに声をかけてきた。


もちろん!と言い一緒に食べ始める。美少女はルイと名乗り教会に勤めてるらしい。今日は用事があって王宮に来たのだが、迷っていたら変な人にからまれて困っていた所を助けたようだった。


また来たら一緒に食べようと約束し解散した。


ーーーーー


「セシリア様一緒に食べましょう♪」


なんでもしばらく王宮へ通う事になったらしく、度々ルイ様はお昼を誘いにきてくれるようになった。


「仕事相手が本当ネチネチ嫌味な奴で、セシリア様とご一緒できるのだけが日々の楽しみなのです!」


「私で良ければ、いつでも話を聞くからね。」


王宮内での仕事相手が合わないみたいで、ルイ様はいつも愚痴っている。魔術師団にそんな人いるんだねと軽く聞くともう止まらない。


「あのネチネチ!笑いもせず無表情で、あれダメこれダメ役立たずって全否定!弱みでも握って脅してやりたい…」


お昼からも頑張ろうと励まして見送る。あんなに可愛いルイ様を悩ます人がいるなんて。リュート様に今度聞いてみようかな。


次の日お昼前にリュート様が現れた。こんにちはと微笑むお姿は今日も素敵だ。ルイ様の事を相談しようと思った時、


「セシリア様ー!ネチネチがぁー」


と勢いよく入ってきた。


「ギャーー!なんでここにいるのよ!?」


叫びながらルイ様が抱きついてきた。誰?と私はキョロキョロと周りを見る。


「セシリア嬢に触るな。」


「嫌よ!私がセシリア様に抱き着こうが貴方には関係ないでしょ!」


何故かリュート様と揉め出した。この2人どういう関係なのか。


お昼休憩になったので食べながら話をしようと2人を誘う。ベンチに座り話を聞くとルイ様は聖女様であり、魔力の事で魔術師団長のリュート様と共に検証していたとの事だ。


「セシリア嬢のお弁当美味しいね。分けてもらって申し訳無い。今度お礼にディナーでも。」


「セシリア様を誘わないで!妖精は妖精界へ帰れ!」


「うるさい。だれが妖精ですか。貴方こそ教会に帰ったらどうですか?」


美少女と天上人が話している。今日も良い天気だなーって、私は現実逃避をしていた。


「セシリア様ぁー。ネチネチ妖精がいじめるんです。」


「いじめてないですし、セシリア嬢に近寄らないで下さい。」


「まさか…ネチネチ妖精セシリア様の事…」


「言うな。」


ギャーー!!と叫ぶルイ様を落ち着かせて、休憩が終わるので失礼しますと2人に伝える。いつもと違う子供っぽいリュート様も素敵だなと的外れな事を考えながら図書館に戻った。



ーーーーー



リュート様は後日、本当にディナーに誘ってくれた。天上人は今日も優しい。


何やらルイ様とリュート様の言い争う声が聞こえるが、私は2人を見ながらリュート様と何を食べに行こうかなって考えていた。



ーーーーー






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