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明賢の物語(日本建国物語)正式版  作者: 大和草
第六章 覇権国のさらなる発展

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399/427

399話 主要道路開発

放射する未来、環状に巡る文明


東京の血管を描く


1628年。


江戸城天守閣の最上階。


明賢は、城下町を静かに見下ろしていた。


眼下には、1600年代初頭から少しずつ整備されてきた街並みが広がっている。


真っ直ぐに伸びる道路。


規則正しく並ぶ住宅。


遠くでは建設中の高層住宅群が空へ向かって姿を現し始めていた。


しかし、その景色を見つめる明賢の頭の中には、さらに数十年先の日本が描かれていた。


側には国土交通省や都市計画局の幹部、建築技師、測量士たちが集まり、大きな地図を囲んでいる。


明賢は一本の定規を取り、大きな円を描いた。


さらに、その中心から何本もの直線を外側へ伸ばしていく。


挿絵(By みてみん)


「都市は無秩序に広がってはならない。」


「人が増えれば道が混み、物流が滞り、都市は自らの重さで崩壊する。」


「だから最初から、都市が百万、千万、いや数千万人を受け入れることを前提に設計する。」


「放射道路は都市の骨格。」


「環状道路は都市を循環させる輪。」


それまで日本の都市は、城を中心に自然に発展するものだった。


しかし、明賢が描いているのは、最初から完成形を計算し尽くした人工都市だった。


都市計画局長は静かに頷く。


「まるで都市に血管を張り巡らせるようです。」


明賢は笑った。


「その通りだ。」


「都市も人間も同じだ。」


「血が流れなければ生きられない。」


「人も物も情報も止まることなく流れ続ける都市。」


「それが私の目指す日本だ。」


こうして、日本史上最大規模となる道路建設計画が正式に始動した。


放射道路


翌年から、日本各地で一斉に測量隊が動き始めた。


何百人もの測量士が測量器を抱え、放射状に基準線を引いていく。


山を削り、川に橋を架け、湿地を埋め立て、一本一本の道路が未来へ向かって延びていった。


完成した放射道路は、それまでの街道とは比べものにならない規模だった。


挿絵(By みてみん)


片側四車線。


中央分離帯。


両側には広い歩道。


さらに街路樹が植えられ、人と車が完全に分離されている。


道幅は場所によっては100メートルを超え、車が何列並んでも余裕があるほどだった。


都市の人々は、この異様な広さに驚いた。


「こんなに広い道が必要なのか。」


誰もがそう思った。


明賢は知っていた。


今は広すぎると思われる道も、百年後には狭く感じる日が必ず来ることを。


そして、この道路にはもう一つ、大きな特徴があった。


道路の中央分離帯。


そこへ巨大なコンクリート製の橋脚が一定間隔で建設され始める。


一本。


また一本。


橋脚は何キロにもわたり並び続けた。


やがてその上へ巨大な高架橋が組み上げられていく。


高架橋の上には複線の線路。


いや、場所によっては複々線。


さらに複数の層構造によって急行線と各駅停車線まで整備されていた。


都市高速鉄道。


世界で初めて、本格的に都市交通だけを目的として設計された巨大鉄道網だった。


朝になれば、3分間隔で列車が到着する。


駅へ集まった人々は整然と乗車し、高速で郊外へ向かう。


急行列車は主要駅だけに停車し、各駅停車は住宅地を細かく結ぶ。


列車は自動制御によって一定間隔を保ちながら走行し、最高時速140キロという驚異的な速度で都市を駆け抜けた。


道路を走る車。


その上を走る鉄道。


二つの交通網が一体となることで、人と物流は飛躍的に効率化される。


環状道路


放射道路が完成すると、続いて巨大な環状道路の建設が始まった。


都市をぐるりと取り囲む巨大な輪。


第一環状から第二十五環状まで


それぞれが放射道路と直角に交わり、都市を幾重もの層へ分けていく。


道路同士が立体交差する場所では巨大な高架橋が建設され、車は信号で止まることなく流れ続ける。


交通は都市全体を循環し、一か所に集中することがなくなった。


車も人も物資も、この輪を巡り続けることで都市は生き続けるのである。


地下に息づく「環状地下鉄」


環状道路の地下では、さらに巨大な工事が進められていた。


巨大なシールド掘削機が地下深くを掘り進み、直径十数メートルにも及ぶ円形トンネルを築いていく。


そこへ線路が敷設され、地下鉄が建設された。


内環。


中環。


外環。


三重の環状地下鉄は、それぞれ異なる役割を持って都市を結ぶ。


内環は官公庁や行政機関を。


中環は住宅街や商業地区を。


外環は工業地帯や物流拠点を。


地上と地下。


二重の交通網が完成したことで、東京は昼夜を問わず止まることのない都市となっていった。


昼には地上を車と人が行き交い、夜には地下鉄と物流列車が静かに物資を運ぶ。


まるで巨大な生命体のように、都市は絶え間なく脈動し続ける。


この道路網の完成は、日本という国家の姿そのものを変えた。


それまで貧相な湿地帯であった東京は、もはや一つの都市ではない。


数千万人が暮らすことが可能な、世界中のどの国家も実現できなかった規模と効率を兼ね備えた、世界初の計画超巨大都市へと生まれ変わろうとしていたのである。

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