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明賢の物語(日本建国物語)正式版  作者: 大和草
第三章 外部拡張主義

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182/284

182話 多数の師団

東京総司令部の設立


日本の首都・東京。

ここに「日本陸軍総司令部」が設けられた。


灰色の空の下、厚い鉄筋コンクリートで造られたその建物は、まるで都市そのものを支える柱のように静かに立っている。


この本司令部は、世界に広がるすべての陸軍師団を束ね、作戦・補給・教育・編成の最終決定権を持つ中枢であった。


地下には有線通信線が張り巡らされている。


各大陸の現地司令部と直結する回線は、遠く離れた地の報告を即座に運ぶ。


紙の地図の上で引かれた線が、そのまま電流となって世界を走る。


司令室の中央には巨大な地図。

赤と青の印が無数に並び、師団の配置と補給線が一目で分かるように整理されている。


静かな部屋。

だがその内側では、世界規模の鼓動が響いていた。


本土十一師団


東京本司令部の傘下には、日本列島全域を網羅する十一の師団が配備された。


それぞれは地域特性に合わせた防衛・補給・工兵・戦闘の複合部隊。

地理と気候、産業と交通を理解した上で配置されている。

•関東師団(東京・横浜・千葉・埼玉)

•北陸師団(新潟・富山・石川)

•東北師団(仙台・青森・秋田)

•中部師団(名古屋・静岡・長野)

•北海道師団(札幌・旭川・函館)

•九州師団(博多・熊本・鹿児島)

•近畿師団(大阪・京都・神戸)

•山陽山陰師団(広島・岡山・松江)

•四国師団(高松・松山)

•琉球師団(那覇・宮古・石垣)

•台湾師団(台北・高雄)


それぞれの師団は地元出身の兵士を中心に編成され、「自らの土地を自らの手で守る」という思想のもと、高い士気を誇った。


郷土の山を知り、川を知り、風を知る兵。

その知識は戦術と同じ価値を持つ。


山番市陸軍司令部


次に作られたのが、太平洋の向こうの大陸、山番市司令部である。


この司令部は、広大な北米大陸全域と中南米の一部を管轄した。


山番市の丘の上に建つ本部庁舎は、日本からの輸送船によって運ばれた鉄筋とコンクリートで築かれた。


通信塔が空に突き立ち、地下には発電設備と無線・有線の通信網。


壁一面に貼られた大陸地図。

そこに並ぶ無数の師団印。


点ではなく、網。


大陸二十余師団


その配下には、二十を超える師団が置かれた。


西海岸から東部のノーフォークまで。

そして南のパナマ、さらに南端のフォークランド諸島まで。


海岸線をなぞるように師団が配置され、大陸を守る「陸の鎖」を形作る。


山番市、サンディエゴ、バンクーバー、シアトル、ロサンゼルス、ポートランド、アルバカーキ、カルガリー、サンアントニオ、ヒューストン、カンザスシティ、ミネアポリス、シカゴ、クリーブランド、オタワ、ケベックシティ、アトランタ、ニューオリンズ、ノーフォーク、ジャクソンビル、マイアミ、チャールストン、ハリファックス、パナマ、フォークランド。


その広がりは、大陸そのものの輪郭をなぞっている。


この師団群の特徴は明確だった。


鉄道と港湾を中心に展開していること。


兵士だけではない。

工兵、補給部隊、通信兵が常に隣り合って動く。


一度命令が下れば、どの都市からでも即座に部隊が動く。


線路が兵を運び、港が物資を送り、通信塔が命令を伝える。


戦うためだけではない。

支えるための構造。


東京の指揮と山番市の現場が、一本の通信線で結ばれている。


世界規模の陸軍は、こうして静かに形を整えていった。


シドニー陸軍司令部


最後に、南半球のシドニー司令部。

ここはオーストラリアと南太平洋諸島を統括する基地である。


シドニー湾を見下ろす高台に、石造りの堂々たる司令部が建てられた。


南洋の暑さを防ぐため、厚い断熱壁と深い庇が特徴的だ。

強い日差しを遮り、海風を取り込む設計。


ここには海軍とも連携する統合作戦室が置かれ、太平洋南部の防衛と輸送を一手に担っている。


陸と海。

二つの力が同じ机を囲み、同じ地図を見つめる。


南洋九師団


配下には九つの師団が所属した。

•シドニー

•オークランド

•メルボルン

•ブリスベン

•アデレード

•パース

•ダーウィン

•ポートモレスビー

•グアム


この地の師団は、防衛一辺倒ではない。


支援と展開能力に重点を置き、鉱山都市や港湾都市の守備、物資輸送、災害時の緊急派遣など、多様な任務を担っていた。


広大な砂漠地帯。

熱帯の島嶼。

長大な海岸線。


環境が異なれば、求められる力も異なる。


そのため各師団は、輸送車両と工兵部隊を厚く持ち、迅速な展開を最優先に設計されている。


守るだけでなく、動く。


それが南洋陸軍の本質だった。


三大陸の骨格


こうして、三大陸に跨る陸軍の司令体制は形を成した。


東京。

山番市。

シドニー。


三つの都市は、それぞれの大地を繋ぐ三本柱となる。


北半球の中枢。

大陸の拠点。

南洋の展開基地。


通信線が海を越え、鉄路が大陸を貫き、港が世界を結ぶ。


陸軍の力は国土を超え、世界規模で動き始めていた。


明賢は司令部の地図を見つめ、静かに言った。


「これでようやく、世界に広がる日本を守る骨格ができた。」


その声は誇示ではない。

完成でもない。


骨格とは、肉と血を通わせてこそ意味を持つ。


守る力。

支える力。

動く力。


三大陸を結ぶその構造は、静かに、しかし確実に脈動を始めていた。

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