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プロローグ

 ――時は大航海時代。七つの海には世界中の多くの商船、客船、海軍の戦艦などがひしめき合っていた。

 そして(あく)(みょう)高き多くの海賊団の船もまた、七つの海に(ばっ)()していた。


 船乗りのほとんどは、その海賊旗を目にするだけで震え上がり、手にしてい(かい)を手放して逃げ出してしまう。海軍が目を光らせていてもどこ吹く風、客船や商戦からは積み荷から金貨、銀貨、宝飾品などを根こそぎ奪い、ひどい時には人の命までも危険に(さら)すならず者たち。船乗りたちからは「海の悪魔(シー・デビル)」と恐れられている、それが海賊たちだと思われた。

 ただ一隻、グレティン王国に属する〈ゴールドバロン号〉の一団を除いては――。


 通称〈金色の男爵(ゴールドバロン)海賊団〉は、船長であるキャプテン・バリー・ブライスが「略奪はするが強奪はしない」、「罪のない人には危害を加えない」という二つの方針を掲げていたため、乗組員たちや乗客たちを傷つけることをよしとせず、悪徳商会の商船ばかりを狙っては隠し財宝を奪って退散していた。

 そして奪った宝は、王国内の貧しい人々に分け与えられていたため、彼らのことを義賊と呼ぶ者も多くいた。

 グレティン王国の法では、海賊は見つかり次第捕縛され、絞首刑となることが定められていたが、ゴールドバロン海賊団だけはその例外となっていた。穏健派である現国王が彼らの義賊行為には目を(つむ)っていたためである。


 ブライス船長には、十八歳になるレイラという美しい一人娘がいた。

 彼女もまた海賊団の一員で、海賊らしからぬ父の振る舞いに誇りを持っていたので、ゆくゆくは自分が父の後を継いで船長になるものだと思っていた。

 そのため、レイラは結婚どころか恋すらしたことがなかったのだが、ある青年との出会いが彼女の運命を大きく変えていくこととなった――。

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