0049★その頃のアゼリア王国6 国王の苦悩と後悔
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
すぐ隣りで、崩れ落ちた妃が、喘ぐような声で言う。
「……陛下……学院です……今日は…卒業式です……」
ああ、そうだ、今日はアゼリア王国貴族学院卒業の日だったな。
情けないコトに、それすら私は忘れていたようだ。
そして、私は、間に合わなかったというコトか………。
転移の場にて、戻って来た直後に、これだけの様々な負が降りかかって来たのだ。
きっと、卒業パーティーは、混乱していることだろう。
私達がこれだけ苦しいのだから、エイダンもきっと苦しんでいるだろう。
あれは、鍛錬もだいぶどころではなく、サボっておったからな。
そのコトを知った時の………はぁ~…切ないのぉ………。
この国の為政者である王は、この国を常に浄化する為の生贄でもある。
これは、この不浄の土地しか行き場のなかった、私達の祖先がした選択だ。
その為に、常に王家の王となる者は……生贄として、立って来た。
だが、建国の折に協力した者達の末裔である公爵達は、自分達こそが生贄だと、何かと騒ぐ。
よくいうものよ。
実際には、自分達が、気に入らない娘を王家に差し出すだけだだろうが。
それも、ただ順番にだ。
それで、自分達は犠牲を払っていと、声高に言うなど、おこがましいわ。
王となる者を常に出す王家に、順番で休むコトが出来るなどというコトは無いというのに。
私に、強欲王や冷酷王の強さがあったならと、何度思ったコトか………。
だから、私は強欲王に、あこがれる。
強欲王と呼ばれた、彼の治世は確かに血にまみれていた。
だが、その後の代の王は、とても楽な治世を統治できたのだから………。
なにかと言い訳をして、常に楽をしたがる公爵達を筆頭とする貴族達に怒り、冷酷王は王妃と側妃という、生贄を公爵達貴族に求めた。
本来なら、魔力も持つ公爵達貴族が、ちゃんと魔物を狩り、その魔石を魔道具に入れて使えば良いだけなのに、それを理由をつけてサボる。
冷酷王と呼ばれた王とても、王太子時代に生贄を出したくなくて、王自身が賛同する貴族達出身の近衛騎士達を連れて、何度も魔物狩りをしていた。
それを、王になってもやっていたというのに、それに文句をつけたのが公爵達を筆頭とする建国の折の貴族達だった。
王自ら魔石を得る為に魔物狩りをしているのに、なにかと理由をつけて、魔物討伐に協力しない彼らの立場は、時をおうごとに、次第に不味くなっていた。
そう、魔物を狩ってもらい、生活圏が広がっていた新興貴族や、庶民達の支持が冷酷王と、その側近達に集まっていたから………。
農地を耕す者達にとって、危険な魔物を狩ってくれる王とその近衛騎士達は、身近に居た領主である貴族より好ましい存在だった。
このときに冷酷王は着々と、従わない貴族達を廃して王家直轄領を増やし始めていた。
それに、危機感を感じた旧来の貴族である公爵家達は、冷酷王に反旗を行う(大規模な内乱を起こす)ぞと脅したのだ。
自分達が滅べば、この国を浄化する者達が極端に減ると………。
その代わりに、王妃と側妃を順番に必ず差し出すと提案してきたという。
なんと惨いコトを言うと、冷酷王は激怒したそうだ。
だが、彼らをすべて排除するだけのチカラを、冷酷王と呼ばれた彼も持っていなかった。
冷酷王は、建国の折に働いた彼らの祖先の功績に、免じてそれを許した。
建前と本音を計りにかけて、折れるしかなかったのだ。
今、無理をして減らせば、国が滅ぶと………。
チカラの無い王とは、ほんとうに惨めなものだと、日記に書き残していた。
そして、冷酷王は、将来を見据えて、公爵家と侯爵家すべてから、生贄の娘達を受け取った。
その娘達の産んだ子供達で、将来の王家の浄化能力を持つ魔力を、王族を増やす為に………。
そして、自分に忠実に従い共に、魔物を狩った近衛騎士達に、王女達や王子達を与えていった。
王族の血を、多く散らす為に………。
王族の血が増えれば、この国の王や王妃や側妃達、それに公爵家達の浄化能力が落ちても、浄化能力を持つ王家の血を引く者達に分散して、負を浄化できるようにと………。
だから、気高きかの方が、冷酷王と貴族達がさげすむように言う度に、真の歴史を知っている歴代の王達は、何度嘆き怒ったのか………。
そして、娶った家族にかえりみられない、王家に差し出す生贄として生み出された、哀れな娘達を不憫に思ったか………。
生贄を差し出し、残りの家族達は、その生贄の娘達の悲しみをよそに、栄華を謳歌していた。
それ故に、歴代の王達は王妃と側妃達を愛おしんだ。
自分と同じ生贄なのだからと………。
冷酷王の思いを知っていた近衛騎士達の子孫は、積極的に神官と騎士を輩出した。
この国を、武力と浄化能力で守る為に………。
今代の神官長も、冷酷王の近衛騎士団長の血統の者だった。
そして、ハイドランジア公爵家達とも、王家とも血の交換を行う、俗物としての神官家系として、有名になっていた家だった。
近衛騎士団長は、権力というチカラの無い自分達近衛騎士に怒っていた。
だから、言葉巧みに強大な権力を持つ、建国の折の貴族である公爵家達に接近して、分家から入り込んでいくコトを選んだ。
いずれは、ハイドランジア公爵家達を乗っ取る為に………。
その他に、神官として国の辺境部にも、新たな神殿を作り、浄化と結界の魔石を設置していくコトを率先して行っていた。
それに必要な魔石を冒険者や騎士達から買取して………
その費用をあがなう為に、ポーションを作り、神殿での治癒を繰り返していた。
それは、今代の神官長も行っていた。
だが、まだ乗っ取りは成功していなかった。
だから、セシリアにすべてを肩代わりさせて出来た余力で………よりいっそうコトを進めていた。
私は、セシリアが来たときに、心臓に不調が出ていた。
このまま浄化をしていけば数年で死ぬと言われるほどに………。
だから、私は、あの時に、醜悪にも喜んでしまった。
これで、少しの猶予が出来たと………。
だから、幼いセシリアに、悪いと思いつつ、肩代わりしてもらう為に魔道具を着けさせた。
悪いと言う思いはあった、だが、エイダンを教育する時間が欲しかった。
だから、私は、哀れなセシリアに、浄化の負担をさせた。
だと、いうのに………悔やんでも…もう、どうしようもないのだろう。
だが、くやしくてしかたがない。
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