0033★馬達が何か踏んづけてました
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
先導されて馬車を降りれば、紐を外された軍馬が、塊り肉を守っていた。
ちなみに、その蹄の下には、踏みつぶされている小さなオオカミのようなモノが居た。
げっ……なんか踏んづけている……アレ…死んでるのかなぁ?
うわぁ~…なにあれ……物凄い血が飛び散ってない?
って、もしかして…アレは、ルリが獲った獲物の血じゃないのかな?
塊り肉の側に壷みたいなのいくつもあるけど?…あの壷の群れは何かな?
……ん?…あれ?……今…もしかして…足がピクッて動いた?……生きているの?
もし、生きているなら…助けてあげたいかも……いや、その生き物次第だけどね
流石に、コボルトみたいなのだと、居ても困る魔物だからパスだけど
人に迷惑かけないような生き物なら…助けてあげたいかも………
あら…思ったよりも小さいわね……せいぜい…前世のシバ犬程度くらいかしら?
魔物と言っても、モフモフ系の魔獣だったら見逃してあげたいけどねぇ……
そんなコトを考えながら、セシリアは軍馬達のところに歩み寄り、1頭ずつ鼻筋と首筋を撫でて褒めてやる。
「良い子ねぇ……お肉を守ってくれたのねぇ…んぅ……ヨシヨシ……足で踏んづけている子…放してくれるかなぁ?」
セシリアの言葉に、ちょっと考える仕草をしてから、4頭が足をあげて少し下がる。
足元の生き物は、馬達が蹄をはずしても全然動かない。
動いたように見えたのは、私の気のセイだったのかしら?
まぁ…取り敢えず、馬達を休ませないとね
「動かないみたいだから、大丈夫ね……ふふふふ……それじゃみんなに、ご褒美ね」
そう言って、干した甘味が少し強い果物を、4頭の口にそれぞれ入れてやる。
「ありがとう、ゆっくりしててね……そうだ『綺麗になれっ』」
と、4頭に絞ったタオルで全身を拭いて、ブラッシングをかけるイメージで魔法を使う。
4頭は、その気持ち良さと美味しいモノをもらった嬉しさで、ルンルンで各自が決めたらしい定位置へと散って行く。
残されたのは、頭を踏まれていたモノだった。
それは、よくよく見ると薄汚れているうえに血塗れだが、サンドウルフの子供ではないことを見て取れた。
「えっ?…体毛が砂色だから…てっきり、サンドウルフの子供かと思ったのに………」
どう見ても頭部が鳥だった……それも、嘴が鋭利に曲線を描く猛禽系のモノだ
なのに、胴体……特に下半身が短毛のがっしりした犬のような……
いや、これって………もしかして、アレなの?
ラノベとかマンガによく登場する…空の覇者の一角
よくよく観察してみれば、ライオンの下半身じゃないの
薄汚れているから、短毛むっちり系の犬の下半身に見えただけね
後ろ足のがっしり度が全然違うもの……それに前足は猛禽系の足だし
いや…でも…そもそも…なんでこんなところに、グリフォンの雛がいるの?
どう見ても、かなり子供よねぇ……卵から孵化してそんなに経ってないんじゃない
だって、まだヒヨコが持つ、ふわっふわの絹糸のような羽毛だし………って…んっ?
見間違いでしょうか?……なのか翼が多いような気が……
グリフォンって、上半身が猛禽類だ下半身がライオンで一対の翼ですよねぇ?
「ねぇ……ルリ…グリフォンってさ……翼…1対だよね……」
思わず、確認するように言えば、側に寄って来て、同じように軍馬に踏まれていたナゾ生物?を覗き込んでいたルリが答える。
「本来は1対だね………けど、こいつぁ……3対あるねぇ…それで捨てられたんだね…こんなに小さいのに、異形だから親に巣から摘まみだされたんだね」
そこに、調理道具一式を箱に入れて持って出て来たグレンが、箱を置いて近寄って来る。
「どうした?」
「うん…あのね…異形のグリフォンの雛が紛れて来たみたい……馬達が踏んでたの」
どれどれと覗き込んだグレンも、その姿を見て頷く。
「うん…確かに異形のグリフォンだな……親に捨てられて…腹減って血の匂いに釣られたのかな?………だけど…もう死んでるんだろ」
言外に、可哀想だけど、それもしょうがないコトだから、見ないふりして食事の準備をしようと、セシリアを促す。
グレンの言いたいコトは理解るが、一瞬だがピクッと足が動いたのを見たセシリアは、このまま見捨てるコトが出来なかった。
そんな中、セシリアの腕の中から、やはり下で踏みつぶされているグリフォンの雛を見ていたレオが言う。
「リアママ…その子……まだ生きているよ……ママなら治せるんじゃないかな?」
自分と同じように、親に見捨てられたコトを感じているらしいレオの言葉に、セシリアはソッと右手をグリフォンの子にかざして、唱えてみる。
「ヒール」
足元で半分どころじゃなく踏み潰されていたグリフォンの子が、ふんわりと光り輝く。
よし……今回も成功したわ……あんなに…何回も唱えて成功しなかったのに
やっぱり…あの悍ましい魔道具達のセイで…成功しなかったんだわ
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