0026★怒涛でコンフェ状態です
作者は豆腐メンタルなので、石は投げないでやってください。
設定はユルユルガバガハなので、突っ込みはしないで下さい。
感想は受け付けていません。(すぐにへこたれて書けなくなるのでゴメンナサイ)
主人公は、かなりマイペースです。
生活環境が最悪だったため、この世界の常識はほとんどありません。
買い取った後にどうしようか?と悩んだコトが一瞬で解決したコトに意識が追い付かないセシリアは、ちょっとした逃避行動として、腕の中の幼体の猫型の魔獣を一心にもふもふする。
その触り心地抜群の手触りに癒されながら、セシリアの脳内では色々な事柄がグルグルとする。
取り敢えず、身体と魂の交換ってヤツは解決したと思って良いのよねぇ
うわぁ~うわぁ~…どうしよう……男の人とどうやって喋ればいいのよぉ~
今までは、猫型の魔獣が入っているから……全然平気だったけど………
えーとぉー……奴隷だから、逆らわれるコトは無いから平気だろうけど
前世、コミュ症で今世もずっと魔道具で制御されていたから………嗚呼
退陣……じゃなくて…対人スキル……限りなく……ゼロに近いのよねぇ
そんなコトをグルグルと考えていたセシリアに、聞きなれない低い声が、話しずらそうに話しかけて来る。
「…あ…ご…主人…さま……その……助けて…いただき……ありが…とう…ございます」
その声に、びっくりしたセシリアは、ガバッと顔をあげて、声の方を向く。
えっ…えええええぇぇぇぇぇ………ン………て………いま……なんて…ン……
もしかして………ご主人様って言ったの?……えぇぇぇ…ムリムリムリムリぃ~
混乱しながらも、セシリアは自分を見詰めて、なんと言えばいいのかという表情と、喉に違和感があるのか首元…というか、喉の当たりを撫でながら、困惑しているグレンと視線が合う。
「えっと……その……今の…グレンの声で良いのかな?」
いやぁぁぁぁ~……極上のイッケメンに『ご主人様』なんて呼ばれるの無理ぃぃ~……
うえぇぇぇぇ~ん……見た目が真紅色の長髪の俺様のイッケメン…刺激がきつ過ぎるわ
驚きすぎて、冷静に見えるセシリアに、グレンが頷いて答える。
「…はい……すみません…ご主人…さま…まだ…喉が……おかしくて………」
ふぇぇぇ~ん……ダメっ……無理っ……とにかく『ご主人様』は無しにしないと
私の繊細なこころが…精神が……許容を超えて……崩壊…しそうだわ
再びのご主人様呼びに、内心ではものすごぉ~くコンフェのヒヨコが頭上で無数に飛ぶのを感じつつも、セシリアは根性で言葉をかける。
このままじゃ……私のこころが……持たないわ…ここは…ユナと同じように……
そうよ……『リア』って、呼んでもらうのよ……たとえ『命令』を使ってでも
じゃなくて……本来の状態に戻ったら……イッケメンが更にグレードアップしてるし
えぇーと…えぇーと…そうよ…私とグレンの立ち位置を…決めれば良いのよ
年上だろうから、ここは……お兄ちゃん…てことにしましょう…
グレンは、私お兄ちゃん…グレンは、お兄ちゃん……私は妹…私は妹
こころの中で、一生懸命に、自分に何度も何度も言い聞かせてから、セシリアはやっとの思いで、グレンを見て言う。
「えっと…その『ご主人様』は…無しで…私のコトは…『リア』と呼んでちょうだい」
そう言ったセシリアは、内心で握りコブシを作って、言い切ったわとゼイゼイしていた。
そんなセシリアに、グレンは首を傾げてから、コクッと頷いて答える。
やだ…もぉ~…焦りすぎでしょう、私…取り敢えず、ここは治癒の魔法をかけないと
「わかった……リア…だな」
まだどこか喉に違和感があり喋りづらそうなグレンに、セシリアはハッとする。
やだ…もぉ~…焦りすぎでしょう、私…取り敢えず、ここは治癒の魔法よ
ここは無詠唱って横着しないで、ちゃんと詠唱しての方が良いわよね
そのコトに気付いたセシリアは、慌てて猫型の魔獣の幼体を片腕に抱いたまま立ち上がり、グレンの側に近寄って、つらそうな喉に手をかざして治癒の魔法をかける。
「ヒール」
セシリアの詠唱と共に、ふわりとした光りと温かいモノを感じたグレンは、自分の喉に感じていたいがらっぽさなどを含む複数の違和感が消えるのを感じて目をパチパチする。
「えーと……大丈夫かな?…その……まだ…変な感じする?」
コミュ症の私…よく頑張った…なんとか…普通に見えるように喋れてるかな?
はぁ~…それにしても……ほんっとぉ~に…物凄いイッケメンだわ
それも、俺様系……少しちょい悪が入ってる……真紅の長髪…カッコイイわぁ……
本当のコトを言うと…こういうのは………そう…遠くから鑑賞する系の美形なのよねぇ
そんなコトを考えている間に、戸惑いを纏わせた俺様イッケメンはサッと片膝を付いて、セシリアの手をとり、スッと頭を下げ、額を手の甲に近付けて言う。
「リア様…助けていただき、ありがとうございます………」
うわぁぁ~……『リア様』も……むりぃぃぃぃ~……
そう思ったと同時に、セシリアはグレンの言葉をさえぎって言ってしまう。
「あー…『リア様』も…やめてぇぇ……まんま『リア』でお願い………」
「ですが……」
「えっと…そう兄妹扱いでお願いっ…私のコトは妹だと思って…お兄ちゃんでお願い」
必死な様子のセシリアに、それまで黙って成り行きを見守っていたユナが口を挟む。
「それ以上は、リアお姉ちゃんが困るから止めてあげて…可哀想だよぉ……」
と、グレンがとったセシリアの手を、さっと取り戻して、ユナはグレンの前に立つ。
小さい身体をいかし、2人の間に立って、セシリアを守る姿勢を見せる。
グレンとしても、小さな女の子を力尽くで退かすのははばかられて、困ったと思い頭を掻く。
「あぁー…その…すまない……俺は…貴女の奴隷だから……なにをしたら良い?」
ちょっとした、三竦み(さんすくみ)状態の其処に、新たな声がかかる。
妖艶さを含んだ女性の声が言う。
「ほらほら……マスターが困っているじゃない……兄妹扱いして欲しいって言ってるんだから………」
と、言いながら、猫耳と猫尻尾を持つ獣人の美女が、何時の間にかセシリアの側に立っていた。
豊かな長毛を持つ長い尾が、やはりセシリアを守るようにその身体をクルリッと包み込む。
えっと…えっと……誰?……またしても美形…というか、美女…それも物凄い美女
でもって、妖艶な肢体まで持ってる……いや…うらやましいです…その姿…じゃない
側に立つ猫型の獣人を見て、その向こうに居たはずの猫型の魔獣が居ないコトに気付く。
同時に、その妖艶な…姐さんという言葉が似合う美女が、誰かを認識する。
「えっ…『ルリ』なの?」
思わず、セシリアは、前世で好きで読んでいた、あるマンガの主人公が連れている、ネコマタ呼ばわりされている猫の名前で呼んでしまう。
そう呼び掛けられた、姐さん風の妖艶美人がニッと嗤う。
「ルリ…それがアタシの呼び名かい…気に入った…良い名をありがとう…マスター」
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