006
「まずは、魔法の説明からしようか。この世界には数百種類の魔法がある。魔法の使い手は少ないから、それ自体が特別な存在ではあるが、その中でも特に特殊な魔法が6つあるんだ。基本的にその魔法特有の魔法、特有魔法は一つしかないんだが、この6つの魔法の使い手は、自分で特有魔法を生み出せる。かなり長い年月がかかるし難しいから生涯に一つ編み出せるか出せないかくらいなんだが、昔からある魔法だからな。この6つの魔法の使い手たちは、ご先祖さまが編み出した特有魔法も使えるというわけだ。」
「なるほど。その6つの魔法は、なんて呼ばれるんですか?」
「Poppy、Cymbidium、Nemophila。それからRose、Tweedia、Mimosaだ。」
「へ−!全部花の名前なんですね。」
「ああ。魔法を使う時に出る光の色に近い色の花の名前がつけられている。といっても、この六つのように昔からある魔法もあれば最近になって現れた魔法もあるから、名のない魔法の方が今では多くなっているんだ。
私が使うのはNemophila、ブルーの光を放つ魔法だ。ちなみにPoppyはレッド、Cymbidiumはグリーン、Roseはマゼンタ、Tweediaはシアン、Mimasaはイエローの光を放つ。」
「ふむふむ。あれ、でもシアン様はシアンのTweedia じゃないんですね。」
「ああ。実は自分が持つ魔法が何かわかるのは、15歳になってからなんだ。魔法使用の可不可は基本的には遺伝するから_君のような突然変異もあるが_自分が使い手かどうかはわかることが多いが、何が使えるかどうかはその時にならないと解らない。私は瞳の色で、シアンという名を授かった。もし私が本当に__」
「ばあ!!!!!!!」
「うわあ!!!!」
「やっほー!!遅くなっちゃったぁ。」
「アンバー、遅いぞ!!!」
シアン様の後ろからひょっこり顔を出したのは、イエロー=アンバーという男。
シアン様のいとこで、シアン様と同様、魔法が使える。
シアン様とアンバー様は2人とも美形で優秀で街では人気高かったが、
アンバー様は女遊びがすごいという噂があるから私はどうも苦手だった。
「ちゃんと来たんだしいいじゃん。それに遅れて来た方が、長ったらしい話の息抜きになるかなって。君が噂のメイちゃんね。こんにちは。イエロー=アンバーだよん、アンバーって呼んでね。」
「ああ、シアン様のいとこのアンバー様ですね。初めまして。」
「あれ、意外と冷静だ。なんでよ、君、シアンのファンなんでしょ?ってことは僕のファンでもあるかなーって思ったんだけどなあ。だいたい女の子たちって僕たちのことセットで推してるじゃん。」
「そうなのか?それは初耳だな。」
「べ、別にファンっていうわけじゃないです。シアン様ってすごい方なんだなーって憧れてただけで。アンバー様への興味は特にありません。というかそんな情報、どこで手に入れるんですか。」
「僕はなかなか顔が広いんだよ。それにしても、初っ端からなかなかひどいなあ。ね、シアン?」
言葉ではこう言っているが、すごく楽しそうな表情で話している。
「コイツは女遊びはするわしょっちゅう城を抜け出すわの問題児だからな。メイ、気にせず強気で当たっていいぞ。」
「2人とも冷たいなあ。まあいいや。とりあえず話を戻そうよ。」
「お前が脱線させたんだろ。私は少し口が疲れたから、次はお前が話してくれ。」
「オッケー。僕おしゃべりは得意なんだ。話は僕たちが生まれた時に遡るよ__」
ぐうぅぅぅぅぅ。
「ん?」
「へ?」
メイのお腹の音が鳴り響いた。
「「あっはっはっはっは!!!」」
シアン様とアンバー様の笑い声が重なる。
「そうか、もう昼時か。続きは昼食を取りながら話すとするか。」
「うう…すみません…」
2人はまだ笑っている。
シアンもアンバーも、メイだったらこの澱みだした世界を変えてくれるかも、と心の中で小さく呟いた。




