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この回ではまだ冒頭部分に辿り着きませんすみません…
「最近、私、シアン様の夢に出現している気がする。」
と母に手紙を出したら、町の病院のチラシが送られてきた。
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ここは、ローズタート帝国。
小さいけど、美しくて資源の豊富な、素敵な国だ。
私、メイ=マゼンタはこの国の城下町、オリヴァータウンでジャム屋さんを営んでいる。
特に人気なのは真っ赤なローズジャムだ。
さて、今日も仕入れたものが届いたので、ジャム作りに取り掛かる。
まずはローズジャムをつくろうと、箱から薔薇を取り出していると、
一本だけ明らかに違う種類の薔薇が混じっていた。
(何これ?)
そこには、緑がかった青、言うならばシアンの薔薇が入っていた。
(すごく綺麗。でもこんな色の薔薇見たことない。どうしたらこんな色になるの?)
不思議で気になって仕方がなかったが、ジャムを作り始めなければならないので
とりあえず、近くの花瓶にそっと挿した。
ようやく一息つける。
先ほどの薔薇をもう一度、手に取ってみた。
「わあ。すごく良い匂い!!!!」
普通にバラよりも濃厚で甘くて、それでいてしつこくない香り。
思わず声が出てしまうほどである。
(これ、食べれるよね?)
嗅いでいるうちに食べたくて仕方なくなってしまった。
これもジャム屋の性、というよりは食い意地が張っているだけだろう。
とは言ってもジャムにしてしまえる量ではないし、何かに乗せるのも食欲減退色なだけに憚られる。
と言うことで、頂き物物のバタフライピーティーに浮かべて飲むことにした。
食欲減退色×食欲減退色、マイナスマイナスプラスの原理である。
この薔薇とお茶のそれは美味しいこと。
美味しさに目をまん丸にしたまま3杯ほど飲み干した。
(美味しかった。シアンの薔薇なんて初めてみたなあ。シアンの薔薇…これを機になんかシアン様と面識持てるようにならないかなあ。)
シアン様と言うのは、この国の第二王位継承者である。
この国の数少ない魔法の使い手で、イケメン。私の推しである。
(シアン様の夢に出演したい。「最近夢に毎回知らない女の子が出てくる。あの子は一体誰なんだ?国中を探してみようか。」みたいな!?恋始まっちゃうみたいな!?)
妄想は膨らむばかりである。
これが妄想で終わったなら、平穏に暮らせたはずだったのに。