第9部~平穏な生活を取り戻すまでの5年間〈最終章〉
あの手紙を焼却してから、遂に電話も手紙も来なくなりました。
とにかく、この5年間は長かった~。
その翌日、いいタイミングで父親が御札を持って帰って来たのです。
埼玉県の秩父市にある神社の御札で、効力が強いとの事でした。
そして、扉の内側の左上に貼ったのです。
これで、一家が苦しめられていた一連の出来事は全て終わった…。
誰もが、そう思いました…。
しかし、その3日後の昼過ぎに…、
「ドンッ!ドンドンドンドンドンドン!」
玄関の扉を、かなり強い力で何者かが叩いてきたのです。
更に、扉の叩く勢いが激しくなり、
「おいっ!開けろっ!居るのは分かっているんだぞ!」
その時、自分と母親がうちに居ました。
あまりの尋常でない出来事に、自分と母親は考える余地もなく、すぐに扉の鍵を開けたのです。
すると、そこには体格の良い2人の男性が立っていました。
すると、開口一番、
「国税庁の者だ!事務所を見せろ!」
…と、言って国税庁の手帳を突き出してきました。
その時、自分は初めて国税庁の黒い手帳を見たのです。
しかし、母親の対応は冷静でした。
「この部屋は、ここのマンションが新築してから、ずっとうちが住んでいますけど、何の騒ぎですか?」
その間、国税庁の二人は、すごく怖い顔をして部屋の中を覗き込んでいました。
そして、靴のまま勢いよく入ろうとした時、母親がそれを制して、
「自宅なんですから、靴は脱いで下さいね」
「分かりました、靴は脱ぎましょう」
「何かお探しの物があれば持ってきますけど」
「帳簿だ!早く帳簿を出せ!」
「だから、自宅なんでそんな物はないです」
うちに踏み込んできた時でこそ、もの凄い剣幕で捲くし立てていたものの、事務所ではないと分かった瞬間、しばらくガッカリとした感じでした。
用が済んだところで、職員の方は無言で帰ろうとしました。
そこで、母親はすかさず尋ねました。
「何があったんですか?教えて下さい」
「この部屋に住んでから、不審な電話がつい最近まであって本当に大変だったんです!」
初めは教えてくれなかったのですが、何度も尋ねたところ、訪問の経緯を教えてくれました。
「…実はね、この地域一帯で詐欺事件がありましてね、被害者が何人も出ていて、中には自殺された方もいたんですよ」
「その詐欺の首謀者が語っていたのが、あなたと同じ名字で、拠点とされていた事務所がお宅の住所だったんですよ」
「我々は、その案件を3年前から捜査していて、やっと分かったと思ったのに…」
「クソッ!最初から捜査のやり直しだ!」
吐き捨てるように言って帰っていきました。
「まさか、自分の知らないところで、こんな事があったなんて…」
今までの騒動が、最後はこんな形になるとは、想像もつきませんでした…。
引っ越してから5年間に渡り、不審な電話と手紙に苦しめられましたが、その後、やっと平穏な生活を取り戻したのです。
昭和60年に引っ越しをしてから、異常な不審電話や手紙が解決するまでは、本当に大変でした。
今の時代なら、あらゆる情報が瞬時に手に入るので、ここまで時間を要さなかったと思います。
余談になりますが、引っ越し先には、かなり強い霊がいたのでは?と、思います。
よく、部屋に霊がいるかどうかを確認するのは、透明なガラスのコップに、きれいな水を入れて窓際に置き、部屋を真っ暗にしたまま、深夜の12時にそれをじっと見るというのがありますよね。(ただし霊感のない人には見えませんが)
試しにやってみたら、深夜12時を少し過ぎたところで、コップの10センチ下辺りに、モヤのような白い光が集まり、それがだんだんと人の顔の形になったかと思うと、フッと消えたのです。
この話では、家族で1番被害をこうむったのは母親ですが、父と兄弟と自分は、平日は会社か学校にいたので、最初の半年以外はずっと悩まされていた訳ではなかったのですが、母親が途中から豹変してしまってからは、本気で取り組みましたよ。
引っ越したのは昭和でしたが、解決は平成になっていました。
最後に一言、最後まで御拝読頂きまして、誠にありがとうございました。