第1部~引っ越し先に掛かってきた間違い電話
この話は、令和3年から36年前(昭和60年)に、自分の家族が引っ越した先で体験した出来事です。
時代背景が、今とはかなり違い、情報の少ない社会でした。
白物家電は一通りありましたが、今のようにネットで何でも検索することは出来なかったのです。
当時は、都市部の地価が上がり始め、地上げ屋がはびこっていました。
地上げ屋から立ち退きを迫られると、逆らうと最悪の結末を迎えるので、相応のお金を受け取り、引っ越しをする人が多数いました。
この流れにより、うちの一家も長年住んだ家から引っ越したのです。
「やれやれ…これで地上げ屋からの嫌がらせから解放された」
引っ越した先では、安心して寝ることが出来る…と思いきや、そうはならなかったのです。
それから、どんな事があったのか?
5年間に渡る苦しみと、その結末を読んで頂ければ幸いです。
この話は、1985年に自分が中学3年の時の出来事です。
中3の夏に、東京23区のある家から、他の23区にあるマンションに引っ越したのですが、その時に起きたの話です。
当時、父親は現役で勤めていて、母親は専業主婦で、高校生の兄と小学生の弟と自分の5人で暮らしていました。
この一家の中で、霊感を感じるのは、父親と自分でした。
異変が起こったのは、引っ越しをしてから2ヶ月になった頃です。
声の感じ、30代後半~40代前半くらいの女性の方から、頻繁に電話がかかって来るようになったのです。
言ってくる内容はいつも同じでした。
「小学校5年生のコウヘイ君いますか?」
その当時、小学校6年生の弟はいましたが、名前が全然違うので、間違いの旨を伝えるのですが、上記の文言の電話が何度も何度も掛かってくるのです。
「さすがに、これはおかしい!」
と、思い、その電話が来た時に、
「どちらにお掛けになっているのですか?」
…と、聞き返すと、名字だけは合っているのです。
「何番の電話番号にお掛けですか?」
…と、尋ねると、明らかに下4桁の数字が違いました。
ただ、それでもうちの電話に掛かると言うのです。
その電話に出ていたほとんどは、専業主婦の母親で、それが3ヶ月も続いたところで、電話に出るのに恐怖を覚えていました。
「相手にどんなに違うと説明しても掛かってくる!」
「困るよな…誰と間違えているのやら」
「どうすれば分かってもらえるんでしょう!」
…と、母親が言うと、
父親が、
「しばらくは日中の電話に出ない様にしてくれ!俺が電話をとるから!」
そして、
「あと、発信先をNTTで確認してくる!」
とも、言いました。
その間、自分も兄弟も、何度かは同じ内容の電話を取りましたが、日中は学校に行っている為に、ほんの数回の事でした。
その数日後、父親がNTTに何度も問い合わせて、やっと発信先を特定しました。
ダラ~っと長い紙で、着信履歴が印刷してありました。
そのほとんどが、例の間違い電話でした。
NTTの方と交渉したものの、家の電話機が黒電話だったので、着信拒否は出来ないとの回答でした。
数日後、父親は引っ越した先のマンションが、地鎮祭をしていたかどうかを調べる…と、言って出掛けて行きました。
その結果、地鎮祭は確実に行われていて、その時の写真まで見せてもらえました。
それでは、一体この現象は何で起こっているのだろうか?
一家全員で、頭を抱えしまいました…。