第88話 秘伝じゃない秘伝レシピ
マヨネーズ。
卵黄を使う悪魔の調味料である。
現代日本でも多数の依存患者を生み出し、一時期は朝にマヨをチュッチュするのが流行ったほどである。
ということで大量消費するならこれでいいのでは、とジルベルトに提案してみたところ、
「……マヨって卵から出来てるの?」
とちょっと斜め上の方向で驚かれた。
どうにも巷ではマヨネーズはあるのにレシピは誰も知らないらしい。
んで、そのレシピを知っているのが異世界人の村と……、
「貴方の義兄さんも異世界人なのに知らなかったんですか?」
「義兄は『小学校か中学校で作った気がするけど覚えてないなぁ』と。
買った方が旨かった記憶はあるって言ってたね……」
紫キャベツも小学校の自由研究で有名な題材だった気がしますが何でそっちは覚えてるんですかねぇ。
「そもそもあんまりマヨネーズ好きじゃないんだよね、うちの義兄。
野菜も畑でもいで水洗いしてまるかじりしてるし」
あぁ、アレ旨いよね。
祖母の家で良くやった。赤カブなんか酢漬けにするより生食した方が好きになったくらいだ。
「たまに夫婦できゅうりにつけるもので揉めるんだ、良い大人がさ……味噌だろうがマヨだろうがどっちでも良いよ」
何度か巻き込まれたのか彼の顔から悲壮感が漂ってくる。
味噌マヨで手を打てよと思わなくも無いが、言ったら俺も巻き込まれる気がしたのでやめた、三大派閥になったら目も当てられない。
君子危うきに近寄らず、くわばらくわばら。
とりあえず大量消費の件はこれでどうにかなりそうとのことで一度胸をなでおろし、未だディスプレイを凝視しているヴェルさんに話しかける。
「ヴェルさん、何から食べたい?」
「良いのかっ?!」
涎だらっだらの純真眼で振り向かれると、さすがに後ずさる。
マヨネーズにたどり着くまでに検索した色んな卵レシピをそんなに物欲しそうな眼で見つめてちゃ作らないわけにはいきますまい!
10年以上独り身だった俺の料理スキル、とくとご覧に入れましょう!!
……だからあの、ヴェルさん。
難易度の高い料理はご勘弁願えれば幸いです。
感想欄にコメント頂きました、ありがとうございます!
風邪を治して今週中には修正しようと思います。




