第81話 笹茶と生薬
数日かかると思っていた作物の種まきと苗の植え付けはジルベルトの協力もあり、1日足らずで完了した。
あとは無事育つことを祈って毎日適量の水を撒いたりして育てていこうと思う。
手伝ってくれたお礼にジルベルトにお茶をふるまったところ、すごく驚かれた。
「だってこの辺に茶葉なんてないじゃないか」
「ないですね。
それ笹のお茶ですから」
ジルベルトが口に含んでいたお茶を勢いよく噴き出した。
失敬な、ちゃんとお茶の味がしただろうに。
「なにこれ雑草のお茶なのッ?!」
「雑草じゃなくて笹です」
俺はとりあえずあっちの世界の熊笹茶の効能について説明する。
説明の最中何度も手元と杖で展開した画像を見比べているのが面白い。
どうやら竜王国では笹は生薬としては用いられていないようだ。
「ちなみに我輩は茶が出来てから毎日飲んでいるぞ♪」
口臭予防と体臭予防になるって教えたら朝の日課に加えられました。
ごめんねヴェルさん、前に言ったこと気にしてたんだね。
「あぁ~……なるほど。
サトウくん、前に笹が神様として崇められている国があるって話をしたのは覚えてるかな?」
「あぁ、言ってましたね」
「僕はその国にも足を延ばしたんだけど、どうにも国全体が胡散臭くてね、出されたお茶や料理には全く手を付けずに出国してしまったんだ。
あのとき出されたお茶はこれかぁ……」
しみじみと味わうジルベルト。
まぁ宗教狂いみたいな国だったんだろう。
そんな国で出されたものを口にしたくないっていうのはわかる気がする。
「笹だけど、お茶以外にも何か利用方法があるのかな?
さっき生薬と言っていたけど」
「もしかして生薬ってこっちにないんですか?」
「それに類するものは薬草やポーションかな。
薬草の中にもグレードがあるんだけど、それを魔法で抽出して他の薬草の抽出液と調合してポーションを作るね」
 




