第77話 炭作り
素焼きが結構うまくいったので、次のステップを考えよう。
まずはじめに考え付くのが釉薬。
素焼きは水を吸収しやすく用途が限定されがちだ。
釉薬を用いることによりやきものの表面をガラス質が覆い、小孔をふさぐために耐水性が増す事が出来る。
更には焼く温度も重要だ。
温度を上げるにはやはり窯、そして炭が必要になる。
では窯を作ってから炭を作らなければと考えてしまうが、賢者の杖で調べたところそんなことをせずとも炭を作ることが可能だと判明した。
端的に言えば材料を燃やす際に空気に触れさせなければいいのだ。
ということで早速実験。
材料は竹を使おうかと考えたが、まずはオーソドックスに木を使ってみることにした。
乾いた枯れ木を集めてある程度の大きさに揃える。
次に1本支柱となる木を立ててその周りに大きめの木を立てかけていく。
外側になるほど細い木になるように立てかけたら周りを枯葉、さらにその上を頂上部と底に数か所の空気穴を残して泥で覆う。
そして頂上を着火。
「小さな火山みたいだな」
その様子を見ながらヴェルさんがつぶやく。
「このあたりにも火山ってあるの?」
「ああ。
海よりも少し遠い距離にな」
もしかしたら火成岩が取れるかもしれないな。
心にしっかり刻み込んでおこう。
火が空気の流れに逆らって下へ燃え広がるのを確認しながら泥のひび割れを丁寧に塞いでいく。
雑に作業すると中に空気が入ってしまうので頑張って塞ぐ。
泥の天辺から中を覗くと空間が出来てきていたのでさらに枯れ木を投入。
「くべろ、くべろ、どんどんくべろッ♪」
「くべろ、くべろ、どんどんくべろッ♪」
「(ころろん、ころろん、ころころころろん♪)」
どこかの部族のように泥の山を囲んで変な振り付けで踊る俺たち。
シャーク現象再び。
空気穴から火が見え始めたので、見えた穴から順に塞ぎ、最後に天辺も塞ぐ。
後は山が冷えるまでこのままだ。
その間暇なので、このまま窯も作ってみよう。




