第8話 ヴェルさんが盆・ダンスの鼻歌を歌うようになりました。
念願成就!
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俺たちは一度川べりに戻ってきた。
理由はすぐにヴェルさんの姿を確認できるようにするためだ。
コダマたちにはフリーサイズ風のローブを借りた。
かなり大きく、被って着るタイプなので融通は利くだろう。
ヴェルさんは投影された映像を見ながら、魔法陣の準備をしている。
木の枝を使って地面に描いている姿はなんとも器用だ。
暇になってしまったので水切りをしていたらコダマが寄ってきた。
投げ方を教えるとみんな俺よりうまくなった……解せぬ。
みんな楽しそうなので良しとしよう。
なんて遊んでいるうちにヴェルさんの魔法陣が出来上がり準備完了。
何度も見返し、手順も確認する。
「いざ……」
ヴェルさんが覚悟を決める。
緊張感が走り、渦になった何かが頬を撫でる。
風ではない、ちょっと怖い。
ヴェルさんの身体が光る。
うぉ! 眩しい!
光が収まるとしばしばと瞬きながらゆっくりローブを持ってヴェルさんに歩み寄る。
「だ、大丈夫か……?」
視力が回復していないので手さぐりで探す。
「あ、あぁ……せ、成功……か?」
「ちょっと光にやられて見えないから、とりあえず今のうちにローブを……」
「わ、わかった」
たぶんヴェルさんがローブを掴みいそいそと着替えている。
衣擦れの音だけが聞こえるので、その間にしゃがんで目をこする。
めちゃくちゃ涙が出てくるが、徐々に視界は回復し、地面がはっきり見えてきた。
「こっちはどうにか回復……ヴェルさん、そっちはどうですかね?」
「お、おぉ……おぉ!」
なんとなく喜んでる雰囲気。
顔を上げて水面を覗きこんでいるローブを着た人影を見つけて近寄ってみる。
一緒に水面を覗き、目を見開いた。
「成功……成功だ!! 吾輩は成し遂げたぞぉ!!」
ローブの上からでもわかる立派なものを携えた白い犬の顔の人がそこにいた。
というかこれあれだ、イヌケモさんだ。
しかも髪が生えてるタイプのイヌケモさん。
髪は絹のような銀色の長い髪、変身した直後だからか、皮脂にも汚れずサラサラだ。
「スズキ、やった! やったぞ!! これでこれでたくさん食べなくても良いし、屋根のある住処で暮らせるぞ!!」
手を握られ二人でぴょんぴょん跳ねる。
指は5本だが末節と手掌部分が肉球ぽい。他は白い毛でおおわれている。
頭の追いつかない俺を置いて、ヴェルさんはよほどうれしかったのか抱き着いてきた。
ご立派様が押し付けられて俺のすべてが弛緩した。
良い匂いが俺を包む。
まぁ、ヴェルさんが喜んでるなら別にいいや。
ご立派様前
スズキ(え、それ失敗してない? 人間じゃなくない?)
ご立派様後
スズキ(こまけぇこたぁいいんだよ!!ヾ(´∀`ヾ))
ご立派様(胸部装甲)は偉大。
(*´・ω・)(・ω・`*)ネー




