第71話 磨きのかかる変態
「え~と……こちらは?」
ジルベルトが全裸で仁王立ちしている筋肉モリモリマッチョマンの変態について尋ねてきたので、鍛冶の神様だと答えた。
「これだから……これだから異世界人はッ!!」
水面をばしゃばしゃ叩くイケメン。
気持ちは分からなくはない。
「神様がこれだからなぁ……」
「これとか言うな、異世界人」
「ちがうそうじゃない」
総ツッコミされてしまった。
まぁ、ジルベルトが何を言わんとしているのか分かるけどね。
自分の世界の神様と異世界人が知り合いとか軽く理不尽を感じるよね。
そんな事を考えていたら変態が勝手に湯船に浸かりながら、
「あ゛~~~……」
と喘いだ。
何故か俺の近くに入ってきたので、若干距離を取る。
「何故離れるんだ、異世界人?」
「……あんたのイチモツに聞いてくださいよ」
そう、今日の変態のイチモツは何故か温度変化にも堪えずにさらにエレクトしていた。
何故だ?
前に来たときは格好以外は変態じゃなかったはずなのに。
「フム、訳のわかんねぇ事を。
例え俺が男色だったとしても、そのだるんだるんの身体のどこに魅力があるというんだ。
……おい、ドラゴンのジルベルト=ヴリ=ガーダー。
何故お前まで尻の穴を押さえながら俺から距離を取る?」
「な、何故ですかね……?
それよりも、僕のことをご存知なのですか?」
「当たり前だ。
と言いたいが、少々訳ありでな」
「訳あり……?」
怪訝な表情を浮かべて考え込んでしまっているジルベルトに変わって俺は手を上げて質問する。
「あの……本日は何用で?」
「お前の言っていた調理器具の一部が出来たからそれの配達だな。
さっきヴェルフールに渡しておいたぞ」
おぉッ、マジですかッ!?
「お前がくれたリストの半分も言ってないがな。
そういや、渡した後ヴェルフールがちらちらと風呂のほうに視線を向けていたな」
きっとどう使うのか聞きたいのだろう。
あと、あれだ。
「分かりました、じゃ、先あがります」
「ちょっ、サトウ君ッ?!」
「まぁまぁ、野暮ったい事してやるなよ竜族のジルベルト。
ゆっくりしていけっ」
俺と同時に出ようとしたジルベルトの腰にしっかりと片腕で抱きついた変態は、そのまま彼を湯船へと引きずり込む。
ヘルプミー的な言葉が聞こえるが、問題ないだろう。
だって変態の目的はたぶんジルベルトだ。
良かったなジルベルトッ!!
多少空気の読めるオッサンはクールに去るぜッ。
神様と同じ湯船に浸かるなんてそうそうあることじゃないぞ♪
……だから、その呪詛みたいな言葉を吐くのはやめてくれ。
ヴェルさんに調理器具の説明をし終えてしばらくして、ヴェルフールの湯から、
「あんのッ、クソお義兄様あああぁぁぁッ!!」
という絶叫が聞こえた。
「うるさいドラゴンだなぁ」
「ハッハッハ、まぁ神様相手だから仕方ないんじゃない?
それよりも、櫛の感じどうかな?
痛かったりしない?」
「問題ないぞ。
仕上がりが楽しみだ♪」
……うん、責任重大だ。
頑張ってヴェルさんの髪を綺麗にするぞ!




