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第7話 ヴェルさんに教えて貰ったので食べられる野草の種類は増えました。

コダマ回c(・ω・`c⌒っ

さて多少おなかも膨れたところで、人化の魔法についてさらに調べてみる。


まずは習得方法だが、初回は魔法陣が必要らしく、慣れるとイメージのみで魔法使用が可能だそうだ。

トリガーは戻るときのみ、一度戻ると再度魔法を使用しなければいけない。


失敗の場合は不発とのこと。

これは所謂1つの安全装置らしい。


実はこの魔法、“小型化の魔法”を研究改良したものだった。

理論構築などは読み飛ばしたものの要約すると、


『失敗して小型化の魔法を発動しないようにするため』


だそうな。


また、人化の魔法は本人のイメージが大切らしく、その容姿は初めて魔法に成功した容姿で固定される。

そのため龍族はある程度の年齢に達した同族たちに教えるようだ。

知能も必要で人語を解さないドラゴンにも教えない。

これは諍いをもたらさないための処置でもある。


さらになぜ“人”に化ける魔法なのかと言えば、端的に人族の器用さを利用し、真似るためであるらしい。

理論上、改良次第でどの姿にもなれる魔法ではあるものの、需要がそこまで見いだせなかったようだ。


「ふむふむ……ヴェルさんや、魔法陣を改良できればそのまま小さくなることも可能そうですよ?」


「そのためには、魔法理論を身に着けなければいけないのだろう? 残念ながら吾輩には学がない。スズキがやってくれるか?」


本音をさらけ出したからか、名前呼びしてくれるようになったヴェルさん。素直にうれしい。

あと、そわそわしてるのに努めて冷静でいようとする姿が尊い。


「年単位で時間がかかりそうすな。将来的には良いのかも」


「吾輩はそこまで待てんぞ?」


「だよね、危ないこともないので早速……」


そう言って立ち上がろうとして気づく……ラッキースケベのフラグが立っていることに。

俺はわくわくが止まらないヴェルさんを落ち着かせる。


「どうしたのだ? 早速やろうではないか!」


「ウェイト、プリーズウェイト……ヴェルさん、人化した際に裸だとまずいッス」


「……? 吾輩は今も裸だぞ?」


くそ、お約束で返してきやがった!


「そうでなくて。人になると毛皮がなくなるかもしれんので風邪引く可能性がでてくるかもッス」


俺も男なので、自分が得する『誰も傷つかないラッキースケベ』が期待できることは分かっている。

しかし、彼女は恩人。

おいらみたいなデブの欲情した目線に彼女の無垢な身体を晒させてはならぬ……!!

階段で上にミニスカ穿いた女性がいても目をそむける男、それがこの俺、佐藤須々岐!!


「な、なんだか頭を抱えているが、どうした……?」


「ふっ、己と戦ってただけさ……とりあえず、風邪は万病の素。健康管理の側面から見ても服を調達する必要がある!!」


「……健康か。しかし、人里に下りるつもりか? 人間は“金”というものが必要なのだろう? それはどうする?」


確かに普通に考えれば“金”の問題はついて回る。が、金を獲得する前に、俺には若干の“あて”があるのだ。


「コダマに水袋を渡されただろ? もしかしてコダマは服も持ってるんじゃないかと考えているんだけど」


ヴェルさんがそうなのか、と話を振るとコダマたちは一斉にある方向に向かって歩き出した。


「ついてこいという事か……スズキ、行こう」


俺はしっかりと杖を持ってヴェルさん達の後についていく。

結構遠くまで行くのかと思ったが、目的の場所はすぐ近くだった。


そこは大きな木の根元であり、その木の枝にはたくさんのコダマたちがいた。

コダマたちの家だろうか?


「ここはどうやら精霊たちにとっての倉庫、もしくは集会場といったところだろう」


ヴェルさんと中を覗く。服やいろんなものがたくさん散乱している。

しげしげと見ているとコダマの1人が手を見せる。


「なるほど対価次第で交換できるということか?」


コダマがうなずく。


「しかし交換できるようなものは……」


「そのかばんはどうだ?」


「NO!!」


ヴェルさんが提案してくれたが反射的に拒否する。


「コレ思イ出、コレ大事」


片言になりつつも死守の構えである。この中身は俺にとって、それほどまでに尊いのだ。

想い出大事!


「す、すまん……軽率だった」


ヴェルさんがしゅんとしてる。


「あ、いや……俺も大人げなかった……でも、ごめん」


「そうか……ま、まぁ裸だからと言ってすぐ死ぬわけでもあるまい。あれだったらすぐに戻れば良いのだし」


それもそうか……そうなら、試されるのが俺の理性だけだから乗り切れる気がしないでもない。

自信はないが……。


意気消沈していると、ズボンのすそを引っ張られる。

コダマが何か言いたげにこちらを見ている。


「あぁ、ごめん交換できるものはないんだ……」


と謝ると、コダマはフルフルと顔を横に振り、いつぞやのシャークダンスを踊り始めた。


「えと……これは……」


「もしや……踊りを教えてやれば対価になるんじゃないか?」


ヴェルさんに言われてそうなのかと問いかけてみると、コダマたち全員が飛び跳ねた。


「どうやらそうらしいな」


ヴェルさんが笑う。

それくらいならお安い御用だ。

しかし、あの踊りは極限状態のテンションで出たいわゆる奇跡という名の黒歴史だ。

なので、ここは真面目に生まれた地域の盆・ダンスを教えてみよう。

子供向けならきっとコダマにも踊れるはず!


ということで教えてみたが、恐ろしい勢いで広まっていく。

歌は所々うろだったので、試しに杖で検索をかけてみると昔見た光景とそっくりな踊る動画が出てきた。

どうやら記憶をコピーするというのは本当らしい。


しかもその映像は音付きで細部まで鮮明に映し出されていた、精度すげぇ。

……こんなことなら向こうにいるときに、少しでも多く実家に帰っておけばよかった。


コダマたちに歌と同時に円を描いて踊るものだと教えると、何重にも円を描くように並び踊り始める。


「精霊たちが踊りが好きだとは……知らなかった」


ヴェルさんが呆気にとられた顔で言う。


「なぁ、スズキ……吾輩も踊れるかな……?」


「人間の姿になればわけないと思いますよ?」


実際子供が踊る盆・ダンスを教えたのできっとできるだろう。

ヴェルさんは朗らかな笑みを浮かべていた。

盆ダンスは地域差があるので調べてみると面白いです。

( ・`ω・´)

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