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第62話 竹藪の廃屋

ジルベルトの態度も気になるところだが、それよりもヴェルさんだ。

狼姿のままのヴェルさんにどうしたのか、改めて聞いてみた。


「竹やぶの中からいきなり変な建物が出てきたのだッ!!」


どうやら恒例の竹伐採をしていると竹やぶの中に隠れるように建っていた家を見つけたようだ。

しかも、


「昨日まではそんなものは無かったんだね」


「あぁ、あんなものがあれば遠目からだって我輩ならすぐ気づくはずなのだ……」


「そんな変なものなの?」


「ここらへんでは見たことがない。

 それに人も居なさそうなのだ。

 ほら、見て回ったときに見た家のような感じで」


突然現れた家は廃屋らしい。

……認識させない魔法とかで隠されていた?


「我輩にそんなものは効かん」


「いや、効いてます効いてます」


割り込んできたのはジルベルトだった。


「我輩を愚弄するのか?」


「いえ、そもそも僕はそれを使ってここに来たので」


ハハ、と乾いた笑みを浮かべるジルベルト。

ヴェルさんがちょっと泣きそうな感じで伏せてしまったので思いっきりじゃれて気持ちを紛らわせた。


「解説しますと、魔法も進歩するものです。

 この森に入るために僕は自身に3種の認識阻害系の魔法をかけました」


1つ、視覚への認識阻害

2つ、消音

3つ、消臭


「消臭?」


「原理は簡単です。

 土地の匂いと自分の体臭を同化させるんです。

 変性魔法の1つですね。

 私が考えたんですよ♪」


楽しそうに解説するジルベルトをヴェルさんは睨みながらそれでもしっかりと聞いていた。

なるほどヴェルさんは視覚ではなくて臭いと音で獲物を発見していたわけか。


「スズキ、くやしい」


「あっ、うん。

 色々片付いたら対策を考えてみようか。

 いくつか思いつくことはあるし」


出来るかどうか分からないけど体温感知とか、そもそも魔力を追うとかね。


「いやッ、この秘術を破られたら僕が困るんだけどッ!?」


え、それ秘術だったの?


「でもこっちが対策を考えたからって破れるかどうかなんてわかりませんよ?」


「破るんだよッ! 異世界人はッ!! 例外なくッ!!!」


何かを思い出したのだろうジルベルトが蹲った。

……何をやったんだ、異世界人。


まぁそれはそれとして、対策を考えないという選択肢は俺には無いけどね。

ジルベルトは何度か地面を叩いた後、立ち上がって服についた土を払い落とした。


「……失礼、取り乱しました。

 話を戻しますがその廃屋、僕もついていって良いですか?」


「なぜ貴様なぞを……」


「偉大なるヴェルフール様、端的に申して恐らくその廃屋は異世界人の遺物です。

 そして異世界人は例外なく変じ……

 いえ、サトウさんをバカになどしていませんのでヴェルフール様、どうか睨まないでッ!!

 じょ、常識に囚われない方が多いので貴方でも危険です。

 何せ、中には神を殺した異世界人も居るのですから」


ヴェルさんに睨まれてしどろもどろになりながらジルベルトはそう断言した。

いや、ホント何してくれてんの異世界人さん。

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