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第54話 オッサンの毛刈り体験

本日2回目の更新です。

次回から19時投稿になりますので、よろしくおねがいします。

ヾ(⌒(_´๑・ω・๑)_ジタバタ

さて掃除も終わったところで、毛刈り体験を行うため羊たちの元へと向かった。

一声ヴェルさんが吠えれば一斉に羊達が集まってくる。

牧羊犬ならぬ牧羊狼かな?


前は断念したが今回は違う。

何せ魔法でプールも作ったし、石鹸もある。

更にはアルさんのお陰でウールをふんだんに使ったベッドも作れる手筈になっていた。

……まさか本当に石鹸1つでベッドを作ってくれるとは思わなかったけど。


とはいえ、ベッドの基礎部分は藁を使用するのでベッドパッドやヘッドボードなどの部分にウールを使うことになる。


ウレタンはこの世界に無いし、作り方を知らないのでそれも致し方なし。

……藁の部分全部羊毛にすればよくね?

とか思ったのはナイショだ。


羊はこの地方ではあまり見かけないそうで、買うとなると相当値が張るようだがそこは先代さんのお陰でプライスレス。


「ラブちゃん達はあの人以外には懐かなかったですからな」


イルカ曰く、羊毛を売るときは遠くの村から買い付けた事にしていたらしい。

羊を売るということもなかったそうな。


「よくバレなかったな」


「そこは老いても元旅人でしたから。

 私もいたのでどんな手練れの尾行だって楽勝ですよ♪」


ケタケタと笑うイルカ。

使い方次第では、杖を地面に当ててレーダー的な事も出来るとのこと……やっぱこの杖やばくね?


……まぁ今はいいや、とりあえず再度羊達を見てみることにしよう。

相も変わらず、禍々しい角で俺に対しては威嚇してくる羊達だが、その姿は毛玉のようだった。

前にネットで見た“6年毛刈りをしなかった羊”よりもひどい状態。


やっぱりこの羊達品種改良が進んだ種のようだ。

軽く杖を当ててみると、羊達についての情報が出てきた。

……アルさん、たまにこいつらの毛刈りやってたのかよ……ッ?!


アルさんは現在、人化の魔法を覚えて街へ向かったので後の祭りではあるが、毛刈りの仕方を知ってたなら教えてから旅立ってくれれば良かったのに。

そういや、俺達が羊毛を集めるといった時……、


「あらそう?

 助かるわ♪」


と喜んでいたことを思い出す。

……そう意味だったのか。


落ち着くために息を吐いたあと、俺は先代さんの残していった鋏を取り出す。

とにかく今は毛刈りだ。


ベッド関係なく、羊毛は欲しい。

板間に羊毛敷いてモッフモッフしたいし。


もちろんやるからには、事前情報はしっかり調べて刈り方も頭に入れた。

……しかし、羊たちは俺に近づいてこようとしない。


何故だろう、羊が俺を疑っているような気がする。

なんでお前に身を任せにゃならんのだ、と訴えている気がする。


ヴェルさんが見かねて、


ガウッ!


とが吠えた。

すると羊達の中の1匹が寄ってくる。

他の羊達がざわめきだす。

何故だろう、


『馬鹿野郎!』


『死ぬ気か!?』


『可愛い嫁さんはどうする気だ?!』


と言っている気がする。


メェーッ!


今度は寄ってきた羊が一鳴きして羊達を黙らせた。


何故だろう、


『I'll be back!』


と言った気がする……。

と、とにかくこ、これは責任重大である。


「よ、よろしくお願いします!」


こうして俺の人生初毛刈りが始まった!

ヴェルさんのイラストもアップしたいと考えているのですが、如何せん出来に納得が出来ないので、少々難航中。

(´×ω×`)

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