第53話 オッサン、好奇心に負ける
本日からまた更新再開。
まったりとがんばるぞい♪
(p`・ω・´q)
魔法は一体何処まで出来るんだろう。
そもそも人化の魔法がある時点で俺の常識なぞ通用しない分野である。
果ては鉄の精錬、水の生成に流体操作、温度操作……と、この世界で科学が流行らない理由をまざまざと見せつけられた。
まさに万能の力である。
そして、良くわからなければ試してみたくなるのがまた人情。
ということで個人的な好奇心を満たすため、ヴェルさんの了解を得て、昨日ちょっと実験を行ってみた。
──その結果、只今ヴェルさんは水魔法を高圧洗浄機のように指先から発射しながら棲家の外観の汚れ落としに夢中になっていた。
魔法をあてた先から、外壁にこびり付いたコケや汚れが一瞬で落ちていく。
水しぶきを浴び、虹を作りながら精を出すヴェルさんは元気溌剌栄養ドリンクだった。
どうにも棲家が綺麗になっていく感覚が癖になってきているようだ。
稀に、ちょっと前まで野生の狼だったとはとても思えない行動をとるなぁ……ヴェルさんは。
そんな彼女の姿をぼんやりとチラ見しながら俺は物件巡りの際に手に入れたデッキブラシでお風呂場を掃除中。
まぁ、この掃除もヴェルさんがやったほうが綺麗に速く終わることはわかっているのだが。
正直、だからと言って押し付けてしまうのは俺としては非常にモヤッとするし、なにか違う気がする。
それに掃除というのはわりと考えを纏める行為としてはもってこいなのだ。
今なら掃除が神道の大切な神事であることも理解できてしまうかもしれない。
まぁ、掃除用具は箒ではなくデッキブラシだけれども。
決して、魔法の底が見えなさすぎて現実逃避しているわけではない。
高圧洗浄機の動画と俺の素人丸出しな解説だけで出来るなんてどうなってるんだ、とか。
調子に乗ってウォータージェットを教えたらサクッと岩くらいは切断できた、とか。
その前に教えた指弾がライフル並みだった、とか。
……たぶん、ない。
うん。
最近、たまにヴェルさんが未来のネッコに見えてきたけど気のせい気のせい。
指弾は鹿狩りで役に立っているぽいのでセーフ。
ぎりぎりセーフ。
さて、掃除掃除……。
「スズキーっ!」
もう終わってしまったらしいヴェルさんが悠々と手を振りながらこちらに向かってきた。
「こっちにも私の魔法をかけてやろう!」
楽しそうにお風呂場すら高圧洗浄しまくるヴェルさん。
めっちゃ笑顔。
「その魔法気に入った?」
「あぁっ!
水で汚れを吹き飛ばすなんて発想、我輩には全く無かったぞ!」
そうなのかな、そうなのかも。
……うん、ありがとうヴェルさん。
──ショッギョムッジョッ!
俳句を詠みたくなる気分にはなったものの、ヴェルさんが笑顔なら別に良いか。
ちょっとお休みしていた際に色々考えた結果、試験的に次回より更新時間を19時に変更しとうございます。
ということで、本日は19時に2回目の更新しますのでよろしくお願いいたします。
╭(๑•̀ㅂ•́)و
……まったり更新とは一体(汗)
( ´・ω・`)




