第52話 どうしてこうなったのかは、誰にも説明できない
良く分からないけど上手くいくこと、あると思います。
(=ω=.)
結論から先に言おう。
出来た。
魔法をかけてからものの数分で熟成された石鹸が出来上がった。
その魔法の名は“狂化”。
変性魔法の一種でかけた相手を痛みをものともしない狂戦士に出来るらしい。
簡単に言えばバーサク?
……
何でッ?!
うん、俺もそう思った。
でも出来た。
手を洗ってもぴりぴりしない極上石鹸。
泡立ちも悪くないとぅるっとぅるっ!
1ヶ月かかるところ、ほんの数分で出来てしまったことに感動しなければいけない場面だろうが、困惑が勝ってしまって素直に喜べない。
「“狂化”ってね、色々と不可解なのよ」
曰く、対峙した相手が使ったはずなのに凶暴になるどころか冷静になった、とか。
捨て身攻撃をするから強くなるのは分かるけど、明らかに攻撃力が上がっているのは何故だ、とか。
「とあるところではこの魔法は“狂化”じゃなくて“活性化”だという一派もいるそうよ」
忍び込んだ村で魔法使い達がそんなこと言い合ってたわ、とアルさんはしみじみ言った。
要するにこんな短期間で熟成し終わったのは、魔法によって反応が活性化して石鹸が燃え尽きたということだろうか。
『燃え尽きたぜ……真っ白にな……』
石鹸から何故か幻聴が聞こえた。
お前黄色がかってるじゃないか。
……と、とりあえず出来たことに喜ぼう、うん。
「あわあわ……」
「(コロン……コロン……)」
夕日に照らされて綺麗に光るシャボンを見つめながらボーっとするヴェルさん。
同じくそれを見つめるコダマ達。
「泡立ち良いわね。
ちょっとこれ私にも1つくれない?
対価はそうね、ベッドとかどう?」
魅力的な提案をずうずうしくしてくるアルさん。
俺は1人、手でシャボン玉を量産しながら途方にくれていた。
この世界は何でもありかよッ!
ここまでの読了ありがとうございました。
お風呂と石鹸が手に入ったので、ここで1度一区切りとします。
今回も登場人物を一度まとめたあと1週間後あたりからまた投稿を再開しとうございます。




