第49話 1週間のエトセトラ
更新が遅くなって申し訳ありません。
キーボードさんがお亡くなりになりまして急遽買いに行っておりました。
キーボードさんもお酒には勝てなかったようです。
……やっちまったぜ。
(;´ェ`)
石鹸は油は使いきったものの何とか完成した。
正確にはその雛型だろうか。
途中、
混ぜる器として使っていた甲羅を魔法でお風呂並みに温めたら鹸化がスムーズに進んだり、
貝殻で型どりしようと思ったら貝模様は別の型を作らないと難しい事に気づいてヴェルさんに平謝りしたり、
手が荒れたりと色々あったがそれも良い思い出と現実逃避……。
とはいえ、あと一歩で完成というところで石鹸作りは更なる暗礁に乗り上げてしまった。
その暗礁の名は“熟成”。
石鹸の完成が最短でも1ヶ月以上先だと気づいた俺は思いっきり凹んだ。
賢者の杖がいくらハイスペックでも使う人間の目が節穴だと大事な情報を見落とすのも当然。
そんな馬鹿な奴がここにいますよ、ハハっ。
凹んでいる間、俺は何かに執り付かれたように物作りをした。
……本当はヴェルさんをモフモフスリスリしてずっと抱きついていたい衝動にも駆られたのだが、そこは歯を食いしばって、ヴェルさんが撫でて欲しそうな時だけ優しく撫でる程度で我慢した。
そんなムラムラも一緒に竹と木材を使って物作りして発散!
お陰で竹食器は充実したし、ついでに竹を利用して鹿とキノコと山菜で蒸し焼きなんかも作れた。
やるじゃん、竹。
やるじゃん、サバイバルナイフ。
ヴェルさんも気に入ったらしいが箸は使えず、竹のフォークを使って食べている。
初めは素手で漢らしく食べていたのだが手のベタベタが許せなくなったようで今のスタイルに落ち着いた。
鹿肉にも変化がある。
新しく狩った鹿から血抜きを始めた。
森にある蔦を使って吊るしての血抜き。
血生臭さが減って味が格別に良くなった。
今気づいた。
鹿の体重を支える蔦ってなんだ?
あ、植物型の魔物の蔦ですか。
……俺はもう絶対に1人で森に入ったりしないぞッ!
ちなみに皮なめしは失敗し続けている。
半ば諦め気味だ。
そして凹みそうな時は物作りだ!
そして時折ヴェルさんに心配されながらやっとの思いで……木製の櫛が完成した。
頑張った、俺頑張った……。
何度も何度も失敗したがやっとのことで出来たこの櫛はもちろんヴェルさんのために作ったものだ。
ヴェルさんを梳かしたいという多少の邪念が入っている事は認める。
だがまだ形が完成しただけで実際に使えるかは別問題。
なので早速、自分の髪で実験。
「あいたたたたたたたっ!」
毛羽立ってて髪の毛が持っていかれたっ!
結構持っていかれたがはげ……てはいない。
三十路を過ぎても強い毛根を遺伝させてくれた両親に感謝!
どうやら毛羽立っているところに毛が挟まるようだ。
本当なら旋盤やサンドペーパーで仕上げたいところだがそれも難しい……。
とりあえず櫛を遠火で炙ってみた。
……多少毛羽立ちは無くなったかな?
変わってないように見えるけど無くなったと信じたいな……。
油を染み込ませるという手もあるか……既に植物性の油がないので使うとしたら鹿の油になるわけだけど動物性は臭いがきつくてあまり使う気にはなれない。
という感じで遠い目をしているとあっという間に1週間が過ぎ、アルさんが再び我が家にやってきた。




