第48話 学生時代の勉強はバカに出来ない。
しっかり遊んで事前の下調べも準備万端!
念願の石鹸作りを始めていこう。
今回出来れば作りたいのはナトリウム石鹸、いわゆる固形石鹸というものだ。
名前から分かる通り、必要なのはナトリウム。
ということで砂浜で採ってきた貝殻を砕いて焼く。
魔法って便利。
「何で我輩に手を合わせているのだ?」
気分です。
炎の温度は大丈夫だろうか?
大丈夫だと信じよう。
ちょっと惨事が起きた。
甲羅が1つ割れてしまった……無理をさせすぎたか、まだ1つ残っているからどうにかそれで乗り切ろう。
石板を代用して焼きを続ければ生石灰の出来上がり。
これを水を張った水に出来た生石灰をドボン。
早速ブクブクと反応している。
その光景にヴェルさんとコダマ達の目が釘付けになっていた。
「熱くなってるから気をつけてね」
「火も使ってないのに熱いのかっ?
むむむ……興味深い……」
化学について後で詳しく教えたらヴェルさん喜ぶかな?
とりあえず生石灰が水と反応して消石灰の完成。
反応が収まるのを待ってから竹に移す。
入れ物がないので竹にしたが少し不安……いや、竹の力を信じよう。
次はこれまた砂浜で採ってきた海藻を灰にする。
灰は炭酸ナトリウム……のはず。
で、あってほしい。
不安感を何とかぬぐい。
消石灰と灰の水溶液を作成。
混ぜます。
混ぜます!
「何か顔が青くなっているが大丈夫か、スズキ?」
「上手くいくか不安なだけだから大丈夫大丈夫。
あとこの液体は洒落にならないくらい危ないものだから触っちゃダメ」
「そ、そんなものを使って何が出来るのだ?」
石鹸です。
たぶんこの液体は強アルカリのはずだから危ないの。
かき混ぜてると下に白い粉が沈殿し始める。
成功を確信して思わずガッツポーズした。
「せ、石鹸が出来たのかッ!?」
「あっ……ごめんなさい、まだです」
「そうか……」
先走りました、ごめんなさい。
ヴェルさんは白い粉が石鹸だと思ったようだった。
「この粉は焼いた貝殻と同じ成分のものですよ」
「えっ、貝殻が出来たのかッ!?」
ちょっと違うので、やっぱり暇な時に化学についてちょっと教えてみよう。
……その後魔法で無双するヴェルさんの姿が浮かんでくるけど考えない考えない。
ちなみに今回の化学式はこんな感じ。
Ca(OH)2 + Na2CO3 → CaCO3 + 2NaOH
化学式にすると途端に分かりづらくなるのは何故だろう。
消石灰+海藻灰→生石灰+苛性ソーダ×2
……うん、こうすると分かりやすい。
手順が合っているか終始不安だが出来ていると信じて、生石灰を濾した水溶液に油を加えて混ぜる。
とりあえず数滴。
頑張れ頑張れ……。
頑張れ頑張れ……。
油を足す。
「頑張れ頑張れ……」
「頑張れ頑張れ……」
からんころん
ころんからん
泣きそうになりながら頑張って混ぜた。
スタンドミキサーで20分混ぜる行為を竹を使って人力で混ぜるという暴挙。
( ・ὢ・ ) ムムムッ
下調べしまくったもののここ最近一番の不安回。
突っ込みバッチこい(空元気)!
╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !




