第44話 アラクネのアルケニー
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ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
「のびちゃったけど、そろそろ私がここに来た目的、話しても良い?」
ふぅ、とアルさんが一息つきながら聞いてきた。
「あっはい。
改めまして、異世界人の佐藤須々岐です。
佐藤が苗字で須々岐が名前です」
「異世界人?
まぁいいわ。
こっちも改めて、私はアラクネのアルケニー。
今あなたに座っているヴェルフールの古い知り合い……いえ顔見知りってところかしら。
あまり会っていないし」
「それにしては仲が良いような……」
「殺し合いしたこともあったし、共闘したこともあった。
ついでに図体について相談されたこともあるわ。
長く生きてると色々あるのよ」
今の内容を聞いていると“顔見知り”というのも変な表現だと思うが、要するにさほど親しくない仲だと言いたいのだろうか。
良く分からないが複雑なようだ。
アルさんにいい加減下りたら、と尋ねられたヴェルさんは俺の胡坐を掻いた足の上から動かず、フルフルと顔を横に振る。
「それにしても、あんたいつからそんなに寂しがり屋になったのよ」
「マーキングしているだけなのだ」
「別にそんな白い豚体型の人間、とったりしないわよ」
ヴェルさんはお構いなしに自分のおなかの前に俺の両手を持ってきて遊んでいる。
これでもこの世界に来てから痩せた(やつれた?)んだが……身体はぷにぷになので返す言葉もない。
「ハァ……まぁいいわ。
それでサトウ、早速本題なんだけどあなたがヴェルフールをその姿にしたの?」
「人化の魔法のことですか?
なら俺が賢者の杖で調べてヴェルさんに教えましたね」
「人化の魔法ね……まさかそんなものがあるとは思わなかったわ……
その魔法を教えて」
「別にいいですけど、ヴェルさんに聞いたほうが早いのでは?」
「ヴェルフールは忙しいの1点張りで教えてくれなかったのよ。
その忙しいがこの家に早く帰りたいだけだったとは思わなかったけど」
それを聞いて俺はヴェルさんの頭を撫でる。
「むふふ」
「満ち足りた顔してんじゃないわよ……」
「まぁまぁ。
それで別にまた調べるだけなんで構いませんけど、人化してどうするんです?」
「もしかして、人を襲うために使うかもって疑ってる?」
「単純に好奇心です」
「本音は?」
「もしそうなら逆恨みされるのは勘弁かなぁ、と」
「そんなことしないから安心なさい。
単純に人里を見たいだけよ」
アルさんの説明では極々たまに人里近くまで降りていって裁縫技術やファッションを見学研究しているのだとか。
ただ、そこはモン娘。
人間が怖がって討伐対象としかみなさないため遠目に見ることしか出来ず、独学ゆえファッションはいざ知らず技術的な成果はさほど上がらないようだ。
「何度か見つかって殺されかけたわ」
「マジですか」
「とばっちりで我輩も殺されかけた」
「マジか」
「ってわけでお願いできる?」
「そういうことなら良いですよ」
俺はさくっと魔法の情報を検索してアルさんにディスプレイを見せた。
ちょっとアルさんが面食らってる。
「ちょ、ちょっと、話が早いのは助かるけど、私が嘘言ってるかもとか不安にならないの?」
「いや、どう考えても教えた方がこっちに被害なさそうですから」
とばっちりで殺されるなんて真っ平ゴメンだ。
「冷静というかなんというか……」
アルさんが頭を抱えている。
なかなかに失敬なことを考えているような気がするな。
あっ、と思い出した。
「対価は貰いたいかもですね」
「私にサクッと欲しいもの渡しておいて今更そんな事いうの?
悪いけどあんた、商人には向かないわね」
「はっはっは」
「笑ってごまかさない。
まぁ良いわよ、出来る範囲なら。
先に言うけど夜のお相手は嫌よ」
的確に胸を隠された。
見ていたことは認めるけどそういうのは望ん、ヴェルさんが俺の手を抓ってる。
痛い痛い痛い痛い!
「いやそういうのではなくっ!
裁縫面でッ!
色々と、欲しいなと!」
「そういうことなら良いわよ。
それとヴェルフール、そろそろ離してあげなさいな」
ヴェルさんがやっと緩めてくれた。
軽く回復魔法をかけられているが、そんなことするなら始めから抓らないで欲しい。
「面白くなったわねヴェルフール」
「……ふん」
「フフ、それでどんなのが欲しいの?
自慢じゃないけど私、何でも作れるわよ?」
フラグ臭いけど本当だろうか?
とりあえず色々画像を検索して出してみた。
……やはりフラグだったか。
アルさんが固まった。
ちょっと再起動まで時間がかかりそうだ。




