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第36話 遠出先で浮かれる2人

ファンタジー版のでかいアニサキスが飛び出してくる以外は順調に、蟹の甲羅鍋代わり計画は進んでいく。

途中、有鉤条虫とアニサキスをごっちゃに覚えていた俺がヴェルさんに平謝りするシーンもあったが、ヴェルさん曰く、


「胃を食い破られるならどっちにしろ怖いのだ!」


と顔を青くしながらふるふる震えていた。

……ごもっとも。


閑話休題。

塩を煮詰めるための簡易なかまど作りはヴェルさんにお願いし、俺はせっせと甲羅を洗う。

ぼろ布をさらにぼろ布にしながらかまどへと戻ると立派なかまどが出来ていた。


「むふん、どうだスズキ?」


「すっげぇよヴェルさん!」


全裸で小躍りする2人。

早速甲羅をセットして海水を流し込んでみると少々……いや、かなり濁っていた。


「う~ん……濾過が必要だったかな……」


「ロカ?」


ヴェルさんに軽く説明すると、なんと魔法で出来るとのこと。

えっそんなことまで……と思ったが、鉱石から鉄のみ抽出することが出来るんだから不思議でもないかもしれないと考え直した。


「フフン、また私の有能さが証明されてしまうな」


と言いながらヴェルさんが魔法を発動。

甲羅の下に沈殿物が出来るに従って、中の海水の透明度が上がっていく。


しっかり澄んだ水になったところで魔法で沈殿物を綺麗に取り除き火を入れて沸騰させてみた。

結果、


「……消えたのだ」


「綺麗に蒸発したね……」


魔法のおかげで不純物どころか塩水を通り越して純水化したのか、甲羅の中の海水は綺麗さっぱり蒸発していた。


ヴェルさんが頭を抱えてうずくまる。

俺は彼女を慰めながら食事にしようと提案した。


「我輩……あんまり役に立たない……役立たず……」


へこみ方が尋常じゃないがそれは謙遜というものだよヴェルさん。

如何にヴェルさんが偉大か語って聞かせながら蟹の身を茹でた。


蟹はでかい分大味だった。


「俺なんて……どうせ俺なんて……」


今度は俺がヴェルさんに慰められた。

人生、世界が変わってもそうそう上手くいくもんじゃないなぁ……。

2人の依存度がちょっと増加しました。

(n╹ω╹)η ♥ n(╹ω╹n)

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