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第32話 サンキュー神様ッ

某映画で一躍有名人(?)になったサバイバルナイフ。

それ1本で何でもこなし生存することを目的としていて、時には鉈のように、時には武器として使うことも求められる万能ナイフ。


どうやらゴーさんが作ったものはハンドルが中空の物ではなく、ハンマー代わりに出来るものを採用しているらしく先端が多少ごつくなっている。

ギザギザ部分も日本のノコギリでいうアザリのような形状に似せているため、多少木材の加工に便利かもしれない。


刃も厚くて頑丈。飾り気ないその見た目はなんというか全体的に“質実剛健”って言葉がしっくりくる見た目になっていた。


……まぁなんでここまで俺が詳しく知っているかと言えば。


「わかりましたか、サトウさん?」


このドヤってる顔でニヤニヤしているイルカ、引いては賢者の杖のおかげだったりする。

俺が昔興味を持って調べたことだったのにまったく覚えていないのはご愛嬌。

俺の雑学なんてこんなもんだ。


そしてヴェルさんの評価はといえば、


「なんだか可愛くないな……」


とこんなもん。

さっさと興味のなくしたヴェルさんは今現在石鹸についての画像を別ウィンドウで見ていた。

どうやら形にもこだわりたいようでウサギやクマの形のカラフルな石鹸を見つめてはうっとりとしていた。


何とも気の早い……。


しかしナイフ……刃物が手に入った事で出来るようになったことがひとつある。


それは……


「いい匂いがするのだ……」


ヴェルさんが寄ってきて俺の手元をクンクンする。


「火傷するよ?」


「フフン、このくらいの炎で我輩が、あちちっ」


言わんこっちゃない。


そう、俺は今念願の肉を焼いていた。

種類は鹿肉。

泥と皮を落として軽くスライスした肉をナイフに刺して焚き火で焼く。

野外で随分とワイルドだが致し方なし。


「しかしスズキ、家にある火の魔道具は使わないのか?」


「滅茶苦茶汚れそうだからあっちはフライパンとか鍋とか手に入れたら使うよ、てか一応種火として使おうとしたんだけど……」


「種火なら我輩が出せばよかろうなのだ」


フフン、と得意気なヴェルさん。

まぁ間違っちゃいないんだけどさ……。

ナイフを手に入れてもヴェルさん依存が止まらないといいますか……。


「しかしなるほど。乾いた枝や葉があれば常時魔法を使わずとも良いわけか」


いつか話してくれたエピソードを思い出したのか、ウンウン首肯くヴェルさん。


……ヴェルさんのためになってるなら良っか。


ちなみにナイフの使い心地だが、めちゃくちゃ切れ味が良い。

鹿の骨も力を込めれば粉砕玉砕大喝采。


足りなかったのは俺の精神的な部分で、皮を剥がす段階で思い切り躊躇した。

結果は散々。

肉自体もかなりボロボロで皮なんかもう悲惨。


正直すまんかったと鹿に謝りながら、次回は余すとこなく綺麗に調理しようと心に誓う。


ちなみに、肉を食わないという選択肢はない。

そんなことしてたら俺の中の線引きが怪しくなるからだ。

家があるとはいえ、1年はサバイバル生活……こう言うのは早めに慣れよう。


「スズキ……? 震えているが大丈夫か?」


おぅ、問題ないでげす!

……空元気なのはご愛嬌。




そして肉が焼けて実食!

……久々のお肉に感動して泣けた。

臭みがあったし血抜きもしっかりしてないけど旨かった。

塩なんてものがなくても旨かった。

焼き加減は最高だった。


「そ、そんなに旨いのか?」


涎を浮かべているヴェルさん。

肉を焼くとメイラード反応で旨くなるわけだけど、そんな小難しい事を言っても仕方がないので簡潔にヴェルさんに伝えよう。


「外はカリッとしていて、噛めば中から肉汁が溢れて旨いっ」


ちなみに焼き加減はレア。

鉄分とか大事だよね。


「肉汁……血か?」


首を横に振る。


「ち、違うのか……?」


俺は物欲しそうなヴェルさんの視線に負けず、焼いたお肉を完食してグッとヴェルさんに親指を立てた。


「串を作るから焼いて一緒に食べよう!!」


「おおっ!」


待っていましたとばかりのヴェルさんがお肉を取りに行く。


その間おれは簡単な串作り。

いやぁナイフ様々だ!

文化的で最低限度の生活が牛歩の如く、おっさんに迫り来る……ッ(誇張)

(((((((((((っ・ω・)っ ノソノソノソ

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