第30話 はじめましてのご挨拶
本日から第3章。
まったりとがんばるぞい♪
(p`・ω・´q)
激動の1日から一夜明けた朝。
自分の匂いを嗅ぎながら俺と一定の距離をとるヴェルさんを尻目に、俺はゴーさんから貰った木彫りの人形について考えていた。
この人形……というよりは偶像(?)は所謂1つの119番。
身心的に困ったことがあればこれに向かって神頼みすれば神様が全て解決してくれる素敵道具である。
んで、この世界にいる神様に会った身からすると……。
「一度ご挨拶した方が良いよなぁ……」
これが俺のいた世界ならばここまで悩まなかったと思う。
だって元の世界で神様とか見たことないし。
ちらりとヴェルさんを見る。
「うぇ……っ、ぁう……」
わたわたしてシュンとしてた。
尊い。
まぁ、何が言いたいかと言えば。
半神ですらこんなに表情豊かで、鍛冶の神様のゴーさんに至っては鍛冶バカ。
とても人間臭い。
そんな神様相手に危なくなったら頼るとか、礼儀的に失礼な上に気分を害したらどうしよう……と思わずにはいられない。
ならばサクッとご挨拶のひとつもすれば良いのだが、小心者の俺に初対面の神様とお話とかハードルが高すぎる。
何を今更と思わなくもないが、話しかけられると話しかけるでは心的ストレスは天と地ほど差があるというものだ。
……ということで一度ご挨拶することは確定していても心の踏ん切りがなかなかつかなかった。
「えぇい、こなくそ!」
こういうことは経験上早いに限る!
正座で姿勢を正して土下座!
「不肖、異世界人の佐藤須々岐です!
癒しの神様、出来るだけ安全に気を付けながら日々を過ごしたいと考えております。
ですが、もし不慮の事故等に合ったりなどしましたら、何卒よろしくお願いいたします!」
勢いで押しきる作戦に出ることにした。
れ、礼儀はこれでいいのか、言葉はちゃんとしていたかなど考え出すと胃がキリキリしてきたが、
「よ、よろしくお願いします!」
と、俺の隣で同じ体勢で同じくお願いをするヴェルさんを見て少しだけ心が軽くなった。
ありがとうヴェルさん。
さほど間を置かずに像が淡く光だす。
『“癒しの”からのお言葉を授けます』
脳内に直接響くアルトボイスに辺りを見渡す俺達。
もちろん誰もいない。
少々性別の判別のつかない声の主は続けてこういった。
『お気になさらず』
おぉ、寛大。
やはり癒しの神様、ゆるふわ系の優しいお姉さ……
『あと今度“様”付けで呼んだら右ストレートでぶっ飛ばす、とのことです』
「……アッハイ」
……ダメだ、怒りのポイントがわけわかめだ。
『では、良い日々を』
そう言って声の主は通話を終了した。
光の納まった偶像をマジマジと見つめる俺達。
「……気にせずとも、困ったときに助けてくれるなら良いのではないか?」
「……そうね」
ヴェルさんが肩をポンポンと叩いて慰めてくれた。
とりあえず癒しの神様の事は名無しの権兵衛さんとでもしておこう。
もう一度通話すれば名前くらい教えてくれるかも知れないが、心がブロークンしているのでまた今度にしたいと思います。




