第2話 優しい狼さん(大きさは考えないものとする)
設定ガバがあったらゆるしてゆるして……
。・゜・(。´ノω・`)。ウウゥゥ
話しかけてきたクソデカ狼さんについてだが、実は知らない仲ではない。
……とはいえ、一方的に知っている程度の仲だ。
この森に来た初日から見かける狼で、よく野草を食べていた。
俺はその狼が立ち去った後に、食べていた野草と同種の物を食べて1週間生き残ったのだ。
狼さんとは、その後も1日1回程度のペースで遭遇している。
何度か目と目が合う瞬間もあったが、素知らぬ顔で立ち去っていく。
太ったブタ体型だった俺を見て襲って来なかったので、たぶん害はないのでは、とは思っていたが、それと話しかける勇気を持てることは別の問題だ。
誰が何と言おうと野生動物は怖い。鹿とかだってマジ怖い。
ちなみに、食事は首の皮1枚つながっていたものの、水辺は見つけられなかったので、夜露と瑞々しい葉を食んで何とか凌いでいた。
「そう考えるとなんで歌なんか大声で歌ってたんだろう……」
小さな滝のある水辺に浮かびながらそんなことを考える。
狼さんの案内の元、コダマたちに背負われ水辺に投げ飛ばされた俺は、水分を補給し、なんとか正気に戻った。
川の水は衛生上良くない?
菌がいたらどうする?
そんなこと言う奴がいたら一度死にかけてみれば良いと思う。
深くない流れの遅い川だったので歩いて川辺に戻る。
寝ていた狼さんが気づいて顔を上げた。
「大丈夫か?」
やさしい狼さんだ。
「ありがとう、俺はしょうきにもどった」
「ずぶ濡れだが、なんだか満足気だな。風邪を引くなよ?」
それもそうか。俺はいそいそと服を脱いで水辺にある岩で乾かす。
ショルダーバッグもすぶぬれだが多少の防水性能があるのでまぁ、大丈夫だろう。
とはいえ、中に入っているのはスマホに財布にイヤホンのみである。
充電も切れているので今や思い出の品と化していた。
……混乱させるのもアレなので閉まったままにしておこう。
ボクサーパンツ一丁になった俺を見て、狼さんが顔をしかめる。
「筋肉のない白いオークだな」
「これでもたぶん少しやせたんだぞ?」
どっかりと腰を下ろす。ちょっと大きめの石が尻肉を直撃して『あひん!』と変な声を出してしまった。
「変な奴だ……」
「異世界人だから仕方ない!」
フンスフンス!
……狼さんが目を丸くしている。
「本当か?」
「たぶんな! 日本という国に聞き覚えはないだろう?」
「人間の国など1つも知らん」
「おっふ。まぁ人間以外の喋れる生物もコダマも創作物にしかなかったからたぶんそうなんだよ」
「コダ……あぁ、こ奴らか。森の精霊だ。貴様の位置を知らせてくれていた」
なんともまさか本当に精霊の類だとは思わなかった。
役割的にはそうだったけど、鳴子なんて思ってごめん。
……ん?
精霊が知らせていたということは……、
「ということはお前は森の主だったりするのか?」
「頭が回るな。吾輩のことをお前呼ばわりするのは関心しないが……」
「名前知らんからね」
「そうだったな。偉大なるヴェルフールだ」
「俺は佐藤須々岐だ、呼ぶときはヴェルでいいか?」
「なれなれしい奴だな……吾輩のことが怖くないのか?」
「既に死ぬ間際だったからな! ヴェルは俺を襲わない、それだけわかっていれば十分だ!」
わざわざ助けた奴を襲ったりはしないだろう。
襲われたらそれはそれである。
ぶっちゃけ悟りを開いたかのように生への執着が薄れている気もするが……。
「不敬な態度を取れば襲うかもしれんぞ?」
「そういうのを気にする奴は言う前に激昂して押さえつけてくるだろ?」
「無駄に知恵と口が回る奴だ……」
「とにかく命の恩人だ! 俺に出来ることなら何でもやるぞ?」
「じゃあ、吾輩の食糧となれ」
「死ぬのは嫌だ! ……まぁ、冗談はここまでとして、俺に何か用事があるんだろ?」
じゃなきゃ助けないはずだ。
ヴェルがため息をつく。
「……本当に知恵の回る奴だな。ではとりあえず服が乾いたら移動する。ついてこい」
「おう! あともう1つだけお願いがあるんだがいいか?」
「なんだ?」
「寒いので抱きしめていいか?」
脂肪はあるが、寒いものは寒いのだ!
あとモフりたい!
「……まぁ許そう。火も満足に起こせんのだろう?」
「そのとおりだ、感謝する!」
ヒャッハー!
モフモフじゃあ!
しかもケモノ臭いと思っていたが、どこか甘い匂いもするぞ!
良い匂いだぞ!
「川で汚れを落としたとはいえ、獣臭いな、貴様」
狼に獣臭いと言われてしまった。
まぁ石鹸もないんじゃ仕方がない。
それにしても適度に暖かくて良い匂いだ。
……。
……ぐぅ。
オッサンはこの1週間、まともに寝ていませんでした。
(´・ω・`)<森の中でまともに睡眠取れるわけが無いんだよなぁ
まだちょっと投稿時間が安定しませんが、明日から更新の際は12:00に投稿する予定です。