第16話 細やかな作業がしやすくなって快適だな、この身体♪(ヴェルさん談)
いつもよりさらに短めです(´・ω・`)
修理も終わって身軽になった俺たちは内件に内件を再開した。
1つはまたしても廃墟。
物件としては空振り。
しかし錆びたナイフと研ぎ石を見つけた!
ナイフは柄もボロボロだったが、他の物件で拾ったぼろ布で添え木とまいたら使えそうだ。
しかし研ぎ石でしくじってナイフが折れた。
簡単に研ぎ方を調べてからの挑戦だったのに……。
やはり刃物を研ぐということ自体が初めてだったからどこかで失敗してしまったのだろうか。
くそぅ、ナイフ1本でもあれば劇的に生活が変わるのに……。
「これは失敗というより、ナイフが限界だったようだ。そうしょげるな」
「うん……」
ヴェルさんに顔をすりすりされる。
ちょっと癒された。
ちなみに前の物件以来、人とは遭遇していない。
移動中のヴェルさんを見たら現地の人が騒ぎ出すだろうし、ヴェルさんもきっと気を使って人気のない経路を辿っているのだろう。
そして最後の内件地。
最後の最後で当たりを引いた。
「まさか、家がそのまま残っているとはな……」
ヴェルさんが驚いている。
俺も驚いている。
誰か手入れでもしているのか、そう思うくらい地図に出てきた画像と変わっていない。
山々に囲まれた高原にひっそりとたたずむ平屋のログハウス。
周囲の風景もアルプスの少女チックで素敵だ、近くに大きな木々もある。
あれは防風林だろうか?
ヴェルさんが主をしている森も一望できる……というか結構な高地だな、ここ。
水場がないのが気になるところだが、そもそもそんなところに人は住まないのでどこかに川ないし井戸があるのだろう。
「ヴェルさん、ここいらに人の気配ってある?」
「……いや、人間はいなさそうだ。動物は複数いそうだが……」
「や、やばいやつ?」
「おそらく小型だ……詳細はわからんが先にそっちを調べるか?」
どうしようか考えて、先に中を見てみることにした。
生活臭がすれば未だこのあたりには人が居ることになるし、先に住めるのかどうか中も確認したほうが良いだろう。
その有様はここに住む者がいないことを示すには十分な荒れ具合だった。
注:劇中オッサンがヴェルさんに顔をすりすりされていますが、ヴェルさんは大きい狼の姿です。




