第136話 佐藤須々岐と偉大なるヴェルフール
「この際だ、他に聞きたいことはねぇか?」
ゴウさんがそういうので、高橋氏の“仕事”について聞いてみた。
「あいつは“調停者”の役を買って出てもらってんだ」
「そのときに滅亡の詳細を聞くとなんたらって説明されたような気がするんですが?」
「ありゃあ、俺らの勇み足だった。
当時はお前の人となりが解らなかった上に賢者の杖を持っていたからな。
世界をしっちゃかめっちゃかにされる前に釘を刺そう思っただけだ。
滅亡の件をヒト族たちに流布されると色々面倒なんだわ」
「それは……神々の恥的な意味で?」
「直球投げつけてくんなよ。
ヒト族に俺の悪評が広まろうが気にしねぇ。
ただ萎縮されると困るんだよ」
魔法があるこの世界でも異世界召喚及び転移魔法は上位に入るらしい。
ただ、それが滅亡のきっかけだったと知られればヒト族が魔法を忌避する可能性があるそうだ。
掻い摘むと、なんでもないような事を言っただけで世界が壊れる(というよりミーム汚染してしまう?)的なことだろうか?
それなんて、俺何かしちゃいましたかね、案件……。
「事実、爆心地は今でも魔法を使う奴らを“悪魔の子”やら色んな呼び名で迫害しまくっている。
これ以上俺らが原因で発展が遅れるなんて事はしたくねぇ」
あの、その迫害されてる子とか、救わないんですかね?
「その子を救う事は最終的にこの世界がウルトラバイオレットになるのと同義ですのでどんな神様でもやりませんよ?」
良い笑顔でとんでもないことを言ってくるな、うちの創造神様。
それにゴウさんは、「一応、運命のアレが救われるきっかけくらいは与えてますよ」 とため息をついた。
細かな調整とか面倒臭そうっすね。
「ヴェルフールに関してもそうだな。
知ってるか?
お前に対面するまで俺達はお前の事“禍つ神”だと思ってたんだぜ?
あの時ほど人の噂はあてにならねぇって思ったことはねぇな」
「我輩に対するヒト族の態度は知っているのだ」
ヴェルさんがニヒルに笑う。
「少しは自分の悪評を拭っておけよ」
「そんな気持ちは300年前に置いてきた」
結構諦めずに頑張っていたヴェルさん、いじらしい。
「神は多忙なれどヒトは地で繁栄したりって処だな。
結構脱線したが、そろそろ最初の話題に戻るとするか。
サトウスズキ、ヴェルフール。
帰る準備は整った、お前達はこっちの世界とあっちの世界どちらを選ぶ?」
俺達は重ねた互いの手を握りながら一度頷いて答えた。
「こっちの世界です」
「あっちの世界なのだ」
……。
「「アレッ?!」」




