第135話 大罪
ゴウさん曰く、世界が滅亡した日にほぼ全ての神々がやってきた異世界人に敗れたそうだ。
現在生き残っているのはメーテ、ゴウ、ヌマ、そして運命を司る神のみだそうな。
「では、父もそれで……?」
「……いや、責任を取って異世界人に首を差し出した。
お前の母も異世界人の慈悲で主神の後を追った」
「戦いすら……しなかったのか?」
「非はこちらにあったからな」
当時、この世界は異世界転移魔法の乱発によりこの地に住む人たちは異世界人を礎に最盛期を誇っていた。
その召喚された異世界人たちを助けに来たのが世界を破滅させた者だった。
「それはつまり、ヴェルさんのお父さんは人族達の犯した罪の責任を取られたということですか」
「そういう事だ」
「……なんてことだ」
「ヴェルさん……」
「あぁ……スズキ。
心配するな、そこまで悲しくないんだ……。
いつか殴ろうと思っていた奴らがいなかった……ただ、それだけだ……。
ポンコツ、その世界を破壊した者は先ほど言っていた、『根源的破滅招来体』とやらでもないんだろ?」
「違いますね、どこかの世界で創造神と同等の力を持つに至った種族だと思います。
その呼び名がふさわしいのは当時のこの世界の方でしょうね」
確かに、ただ異世界転移魔法を使うのは悪ではないが、私利私欲のため人を略取・誘拐をしていたのとほぼ同義だろう。
「……だろうな。
この世界に何かしてくることも無いのだろう?」
「メーテさんに伺ったところ、その可能性はなさそうですね。
滅亡の日に帰還を望んだ異世界人たちは“元に戻して”送り返したようです」
「元に戻して……ですか」
「深く聞かない方が精神衛生上安全ですよ」
つまりは“そういう”ことなんだろう。
「……ありがとう。
憂いが取れたのだ」
「どういたしまして、ヴェルフールさん。
しかし、この世界で無茶で非道な異世界転移を行っていたお陰で様々な因果、縁が流れになって佐藤さんをここに運んだんですから、何が作用するかわからないものですね」
え、そうだったの?




